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2015年1月の記事

2015年1月31日 (土曜日)

リンダの1973年スタジオライブ

今から約35年前。学生時代に好んで聴くロックのジャンルと言えば「ウエストコースト・ロック」。ロサンゼルス、サンフランシスコを拠点に活動するロックであり、C&W風の爽やかでフォーキーなノリと、小粋な兄ちゃん達の小粋なソング・ライティングが中心。カリフォルニアの爽やかな太陽と風のイメージが、1970年代のロックの思い出と共に蘇ります。

そんな「ウエストコースト・ロック」の歌姫と言えば「リンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt)」。パンチのある豊かな声量と色艶のあるボーカルが身上で、バックのロック色の強い演奏にも負けること無く、それを従えるが如くのボーカルは爽快感抜群。

小粋な兄ちゃん(イーグルスやニール・ヤング、ジェームス・テイラー、ジャクソン・ブラウン、J.D.サウザー等々)の提供する楽曲を唄いまくったり、小粋な兄ちゃん達をバックバンドに採用してメジャーな存在に引き上げたり、姉御肌な一面もあって、米国西海岸の歌姫として、「ウエストコースト・ロック」の重要な役割も担うミュージシャンの一人として、その名を残しています。

僕はその大学時代に、そんなリンダ・ロンシュタットがお気に入りで、彼女のアルバムはよく聴いていました。行きつけの喫茶店や博物館学実習や古墳調査の遠征時の車の中とか、はたまた徹夜麻雀のBGMに、リンダ・ロンシュタットのアルバムが流れていました。

昨年の9月、そんなリンダのライブ盤がリリースされています。Linda Ronstadt『Sausalito '73』(写真左)。このアルバムは、1973年11月、カリフォルニア州の「The Record Plant」スタジオ(地元のFM放送局)でのライブ音源を元にCD化したものとのこと。まだまだこんな音源が残っているんですね〜。
 

Linda_ronstadt_sausalito73

 
発掘音源レベルのものですが、録音状態はまずまずで、ウエストコースト・ロックのマニアの方々が触手を伸ばしても問題無いレベルです。選曲は当時のリンダのおなじみの代表曲ばかりで単純に楽しめます。バックバンドの演奏も実にゴキゲンなレベルで、当時のウェストコースト・ロックのライブの臨場感と高い演奏レベルが体感できて、なかなかの内容です。

主役のリンダのボーカルも活き活きとしていて、溌剌とした歌いっぷりは、さすが「ウエストコースト・ロック」の歌姫と呼ばれる所以で、1970年代の米国ロック界を代表する女性ボーカルの一人です。1970年代前半の音のトレンドが色濃く漂っていて懐かしいですね。こんな「はっちゃきな」リンダのボーカルは今でも大お気に入りです。

しかし、リンダ・ロンシュタットはパーキンソン病を患い、歌うことが出来なくなってしまいました。なんという辛いニュースなんだろう。人間は年齢を重ねていくうちに様々な運命に翻弄されていくものですが、リンダのこのケースはかなり辛い。そのリンダの心の内はいかばかりかと心が痛みます。

でも、リンダは様々な音源を残してくれています。その様々な音源を通じて、リンダの歌声を追体験することが出来ます。闘病するリンダ、1970年代の歌姫のリンダに思いを馳せながら、そろそろ、リンダのアルバムを聴き直してみようかな、と思い始めた今日この頃です。

 
 

震災から3年10ヶ月。決して忘れない。まだ3年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2015年1月30日 (金曜日)

ラテン・フュージョンの草分け

今日はかなり冷え込んだ、我が千葉県北西部地方。家の周りは雪にはならなかったが、市川駅付近は雪になっていた。朝も夜も冷え込みは今年の冬一番。駅から家の間、歩いていると、急激に顔が冷たくなっていくのが判る。

これだけ冷え込んだ時には、聴いて気持ちが温かくなるジャズが良い。そういう訳で、今日、聴き込んだアルバムが、松岡直也&ウィシング『Fiesta Fiesta』(写真左)。ラテン・フュージョン・ジャズの草分け。底抜けに楽しい、エレクトリックなラテンのリズム&ビート、ラテンの調べをベースとしたエレクトリックなユニゾン&ハーモニー。

1979年リリース。松岡直也&Wesing名義の2ndアルバムになる。素晴らしいラテン・フュージョンな演奏であるが、その演奏のパーソネルが凄い。松岡直也 (key), 大村憲司 (g), 高橋ゲタ夫 (b), 村上秀一 (ds), ベッカー, 中島御, 横山達治 (per), 宮沢昭 (fl), 向井滋春, 粉川忠範 (tb), 武田和三,  中沢健二(tp), 士岐英史, 清水靖昇 EVE, 吉田美奈子, 榊チエコ (vo)。

曲によって入れ替わり立ち替わりなパーソネルではある(ベースはほぼ全曲が高橋ゲタ夫が担当)。パーマネントなバンドメンバーでは無いが、今から振り返ると、錚々たるメンバーではないか。1979年の時代の若手ジャズ・ミュージシャンの精鋭達がズラリ名を連ねる。
 

Fiesta_fiesta

 
そんな精鋭達が、松岡直也の下、エキサイトなラテン・ジャズを奏でる。圧倒的な迫力あるパフォーマンス。優れたテクニックとクールなインプロビゼーション。全編、結構硬派で熱い演奏が詰まっている。ラテンに加えて、レゲエ調あり、ディスコ調ありで、ヴァリエーション豊かな内容。1979年という時代の音のトレンドを感じる。

1979年と言えば、僕はジャズ者初心者2年生。この松岡直也&ウィシング『Fiesta Fiesta』はリアルタイムで聴きました。行きつけの喫茶店「みちくさ」で毎日、店内に流して貰っていました。朝、モーニング・セットをいただきながら、昼下がりにちょっと居眠りしながら、夕方、晩ご飯の前の憩いのひとときに、この『Fiesta Fiesta』が流れていました。

そんな松岡直也であるが、惜しくも昨年4月、前立腺癌の為、逝去。享年76歳。70歳を過ぎても精力的に活動を続けておられただけに残念な思いが募りました。まさに日本を代表するラテン・フュージョン・ミュージシャンでした。

 
 

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2015年1月29日 (木曜日)

硬派やな〜ハードやな〜、っと

聴いて楽しい、聴いて易しいジャズも良いが、硬派でシリアスでハードなジャズもこれまた良い。今日はハードなメインストリームなジャズを一気聴き。そのアルバムとは、森山威男『Live at Lovely』(写真左)。ジャケ写もモノクロで硬派な格好良い、ポリリズミックな情熱ドラマー、森山威男のライブ盤である。

1990年12月28日・29日、名古屋のライブハウス「Lovely」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、森山威男 (ds), 井上淑彦(ts,ss), 板橋文夫 (p), 望月英明 (b)。純日本のメンバー構成。

1978年録音の佳作『Hush-A-Bye』(2013年8月29日のブログ参照・左をクリック)の時と、ピアノの板橋、ベースの望月が同じ。つまり、リズム・セクションは『Hush-A-Bye』のリズム・セクションそのまま。

収録された曲については以下の通り。板橋の作品が名曲「渡良瀬」「グッドバイ」を含む4曲。加えて、スタンダードの「Hush-A-Bye」で全5曲となります。1曲目の「Sunrise」と4曲目の「Hush-A-Bye」が、1978年録音の佳作『Hush-A-Bye』に収録されていた。恐らく、森山のお気に入りなのだろう。
 

Live_at_lovely

 
1.Sunrise
2.Watarase
3.Exchange
4.Hush-A-Bye
5.Goodbye

このライブ盤『Live at Lovely』では、先にご紹介した1曲目の「Sunrise」と4曲目の「Hush-A-Bye」の演奏も素晴らしいが、板橋の作品の4曲がこれまた素晴らしい出来。特に、名曲「渡良瀬」は筆舌に尽くしがたい演奏。エモーショナルで切れ味鋭いアドリブ・フレーズが満載。カルテットが渾然一体となって、畳みかけるようにインプロビゼーションを展開していく。

硬派なメインストリーム・ジャズ、時々フリー・ジャズ。演奏全体の雰囲気は、後期コルトレーン・ジャズ。しかし、テナーの井上は決して「シーツ・オブ・サウンド」をやらない。力強く墨絵のようにモーダルなフレーズを漂わせていく。森山も絶好調、板橋も絶好調、望月も絶好調。渾然一体となったモード・ジャズ。

硬派やな〜、ハードやな〜。でも、聴いている間の、そして聴き終えた後の爽快感は格別なもの。聴いて楽しい、聴いて易しいジャズも良いが、硬派でシリアスでハードなジャズもこれまた良い。ジャズ者初心者の方々にはちょっとビターですが、これもジャズ。一度は聴いて欲しい『Live at Lovely』です。

 
 

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2015年1月28日 (水曜日)

ネアカなゴキゲン・ジャズです。

ソニー・ロリンズの聴き直しシリーズ。1984年に突入する。1983年がリリースが無くて、2年ぶりの1984年のアルバムと言えば、Sonny Rollins『Sunny Days, Starry Nights』(写真左)。

ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Clifton Anderson (tb), Mark Soskin (p), Russell Blake (el-b), Tommy Campbell (ds)。ロリンズ以外、知らないメンバーばかりになった。

これまでのアルバムのパーソネルはどちらかと言えば、有名どころを集めたオールスター・バンド的なものだったので、このロリンズ以外知らないメンバーばかりのバンドにはちょっと戸惑った。大丈夫なのか、と不安になった。しかし、今の耳で聴いてみると、ロリンズのオリジナル・バンドという感じで、ロリンズにピッタリ合ったバッキングが良い感じです。

ロリンズはと言えば、このアルバムでも「我が道を行く」。こうやって、ロリンズのアルバムを年代順に聴き直してみると、1981年の『No Problem』、1982年の『Reel Life』、そして、この1984年の『Sunny Days, Starry Nights』の3枚は、ロリンズの「我が道を行く」シリーズである。バックのメンバーが誰であろうが、周りのトレンドがフュージョン・ジャズ一色だろうがお構いなし。
  
Sunny_days_starry_nights
 
この『Sunny Days, Starry Nights』なんぞは、ロリンズお得意のカリプソ・ナンバーが2曲も入っている。カリプソがやりたかったんだろうな〜、ロリンズ。思いっきりご機嫌なカリプソ・ナンバーが魅力。ロリンズのテナーは思いっきり飛ばしています。

そして、スタンダード・ナンバーが2曲、「I'm Old Fashioned」と「I'll See You Again」なんですが、これがまた、カリプソ・ナンバーに負けない位の「ご機嫌」なアレンジで、ロリンズが豪快にテナーを吹き上げています。むっちゃネアカな「I'm Old Fashioned」は聴きものです。聴いていて「とても楽しい」。

とにかく、全編、ネアカなゴキゲン・ジャズのオンパレード。振り返れば、1981年の『No Problem』、1982年の『Reel Life』、そして、この1984年の『Sunny Days, Starry Nights』の3枚が、このネアカなゴキゲン・ジャズのシリーズであった。ロリンズの「我が道を行く」ネアカなゴキゲン・ジャズ3部作。そのラストの『Sunny Days, Starry Nights』は思いっきり楽しい。

しかし、この3部作を聴き通すと、ちょっと飽きが来る。しかし、次のアルバム、1985年には、ロリンズはとんでもないアルバムをリリースする。そのロリンズの「とんでもない」アルバムについては、また後日。 
 
 
 

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2015年1月27日 (火曜日)

あくまでも超然とマイペース

今日もソニー・ロリンズの聴き直しシリーズの続きである。今日は、1982年8月録音の、Sonny Rollins『Reel Life』(写真左)。「Reel」とは「フィルム・テープなどの巻き枠」の意だろう。ジャケット写真を見ればそう思う。リールの上に、ロリンズが小さくチョコンと座っている(笑)。

ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Bobby Broom (g), Yoshiaki Masuo (g), Bob Cranshaw (el-b), Jack DeJohnette (ds, cong, maracas)。日本のジャズ・ギタリスト、増尾好秋がカムバックして、ボビー・ブルームと共にツイン・ギターを形成。ドラムにジャック・デジョネットが座る。ベースはロリンズのお気に入り、エレベのクランショウ。

ツイン・ギターに、デジョネットのポリリズムが絡むのだから、このバックに相対して、ロリンズはバリバリ吹きまくるのか、と思えばそうでは無く、あくまでもロリンズはマイペースで吹いている。まあ、この頃のロリンズは、バックによって吹き方やアプローチを変えるなんてことは無く、あくまでも超然とマイペースで吹く。そう、もはや「超然」とした存在なのだ。

冒頭のタイトル曲「Reel Life」は、出だしで、茫洋とノンビリしたロリンズのブロウに面食らうが、すぐにご機嫌なネアカな純ジャズが展開。ツイン・ギターも好調にバッキングし、デジョネットのドラミングはあくまでロリンズのサポートに徹する。こんなに殊勝で自分を前に出さないデジョネットも珍しい。
 

Sonny_rollins_reel_life

 
2曲目「McGhee」と6曲目の「Best Wishes」では豪快なブロウで度肝を抜かれ、3曲目の「Rosita's Best Friend」のロリンズお得意のカリプソ調の底抜けに明るい演奏に心躍らされる。やっぱり、ロリンズのカリプソは良いな〜。この頃のアルバムには、必ず1曲はカリプソ調の楽曲を取り入れている。

4曲目の「Sonny Side Up」の格好良い展開に、切れ味良くアドリブ・フレーズを展開するロリンズは凄いな〜と思い、5曲目「 My Little Brown Book」の豪快なバラードを聴いて、やっぱりロリンズのバラードは良いな〜と感心する。とにかく、このアルバムのロリンズは、どの曲でもポジティブにネアカにテナーを吹きまくる。

全体が明るい雰囲気で覆われている分、ポップな感触が実に心地良いアルバムである。フュージョン・ジャズの最後期のポップな純ジャズのロリンズ。やはりこのアルバムでも、ロリンズは「我が道を行く」である。

 
 

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2015年1月26日 (月曜日)

ロリンズは「我が道を行く」

ソニー・ロリンズの聴き直しシリーズ。2008年から延々と続いているのであるが、やっと、1979年5月の録音、『Don't Ask』まで来た。次のアルバム『Love At First Sight』は、2009年8月29日のブログ(左をクリック)でご紹介したので、その次のアルバムへ。

1981年12月の録音。1980年代に入って2枚目のアルバムになる。そのアルバムとは、Sonny Rollins『No Problem』(写真)。ロリンズが自由に吹きまくるポップなジャズ盤です。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Bobby Hutcherson (vib), Bobby Broom (g), Bob Cranshaw (b), Tony Williams (ds)。錚々たるメンバーである。

錚々たるメンバーなのだが、アルバム全体はロリンズ色で染まっている。ピアノレスのクインテットなので、ロリンズのブロウには、かなりの自由が与えられている。そして、ボビー・ハッチャーソンのヴァイブが、演奏全体にポップな雰囲気を醸し出している。1981年と言えばフュージョン末期。ソフト&メロウなフュージョン・シーンの中での、ロリンズなりのポップなジャズがこの盤に満載。

ポップでキャッチャーな曲が多くて、リラックスして聴けるところがこの盤の良いところ。冒頭のタイトル曲など、ゆったりとした親しみのあるメイン・テーマから、途中4ビートに変わったり、なかなか聴き応えのあるポップな純ジャズな演奏になっています。2曲目の「Here You Come Again」もポップな雰囲気が魅力のブロウ。
 

Sonny_rollins_no_problem_2  

 
4曲目の「Coconut Bread」は、ロリンズお得意のカリプソ・ナンバー。少し速いフレーズで疾走感溢れるブロウを聴かせてくれます。6曲目の「Illusions」は短めのバラード曲ですが、これがジックリと聴かせてくれる、さすがはロリンズというブロウ。そして、ラストの「Joyous Lake」はこれまたご機嫌なノリノリのポジティブな演奏。

この『No Problem』は、ロリンズのポップで明るい純ジャズなアルバムですね。バックのメンバーも錚々たるメンバーなのですが、ロリンズ・ジャズに合わせて、ロリンズ・ジャズに染まって、独特の明るいポジティブなグルーブを醸し出しています。さすがですね。

この頃のロリンズは「我が道を行く」という雰囲気のブロウで、ジャズのトレンドやブームなど関係無し、ロリンズならではのブロウを吹き続けるという、自由人「ロリンズ」という感じの演奏が魅力です。

もはや、フレーズがどうの、テクニックがどうの、吹き方がどうの、という次元を超えていて、聴いていてワクワクします。プロデューサーがソニー・ロリンズ自身というのも納得です。

 
 

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2015年1月25日 (日曜日)

近未来的なピアノ・トリオの音

このユニットも日本発の「テクノ・ジャズ」のひとつと言って良いだろう。ピアノ、ベース、ドラムスによる伝統的なアコースティック・トリオとプログラミングを融合させ、アコースティック独特の美しいメロディと有機的なリズム&ビートが近未来的な響きを醸し出し、ジャズ・ピアノ・トリオの未来形とも言える音を提示する。

日本人ピアニストによる、エレクトロニカ=インストゥルメンタルと表現しても良い。そのユニット名は「Schroeder-Headz」。「シュローダー・ヘッズ」と読む。「シュローダー」とは、アメリカの有名なアニメ「PEANUTS」(日本名:スヌーピー)に登場する、トイ・ピアノを弾くシュローダー君のこと。このシュローダー君に因んだユニット名である。2010年に『NEWDAYS』にてデビューしている。

さて、そんな「Schroeder-Headz」のアルバムの中で、我がバーチャル音楽喫茶『松和』でヘビーローテションになっているアルバムが『Synesthesia』(写真左)。Schroeder-Headzは百戦錬磨のキーボード奏者&クリエイターである渡辺シュンスケのソロ・プロジェクト。このアルバムには、近未来的なピアノ・トリオの音が充満している。

アルバム紹介文を紐解くと「美しいメロディを奏でるリリカルなピアノを中心にベース、ドラムが紡ぐオーガニックなビートとプログラミングを融合させたオリジナリティ溢れる音楽世界」とある。確かに、この紹介文の通りの音作りで、とにかくアコースティック・ピアノの音が実に美しく響く。
 

Synesthesia

 
しかし、アコースティック・ピアノの音が美しく響くだけだと、それだけのピアノ・トリオ盤で終わるのだが、そこにプログラミングされた有機的なリズム&ビートが絡むと、その音世界は一変して「テクノ・ジャズ」の雰囲気に早変わりする。しかし、アコースティック・ピアノの音の美しさは変わらない。そこが面白い。

一言で言うと、アコースティックなピアノ・トリオ音とシーケンス音とストリング音が整然と混在し、生音と電気音が自在に交差する感じ。主宰の渡辺シュンスケいわく「人間とシンセサイザーが汗をかいて一緒にやっているようなものになった」。う〜ん、なるほど、と感心。

アルバム・タイトルの「Synesthesia」とは「共感覚=色に音を感じたりする特殊な知覚現象」の意。鍵盤楽器の音の美しさと躍動感に、聴き手の知覚が共鳴する感覚のアルバムである。

『Synesthesia』のジャケットは、人気イラストレイターの中村佑介さんによるもの。このジャケットって、このアルバム『Synesthesia』の音世界を上手く表現している。『Synesthesia』の音世界って、イラストにしたら、確かにこんな感じやね。実に美しく的確なジャケットです。

 
 

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2015年1月24日 (土曜日)

クールでアーバンなエレ・ジャズ

1970年代後半、シンセサイザーやシーケンサーを使用した「テクノ・ポップ」というジャンルの演奏形態が台頭した時、恐らく、そのうち、ジャズの世界の中でも「テクノ・ジャズ」的な演奏形態が出てくるだろうと思っていた。それも、恐らく、日本が中心になるのでは、と予測していた。

その「テクノ・ジャズ」として、納得の出来のユニットが出現したのが、2001年のこと。そのユニットの名前は「東京ザヴィヌルバッハ」。伝説のエレ・ジャズ・ユニット、ウェザー・リポート(WR)のキーボード奏者ジョー・ザヴィヌルと「音楽の父」バッハを併せ持ったユニット名。日本発と言うことで「東京」が冠に付く。

主に現代音楽の分野で使われていた自動変奏シーケンスソフト「M」にリズム隊を担当させ、その上にキーボードやサックスがインプロビゼーションしまくる、まさに「テクノ・ジャズ」と呼ぶに相応しいユニット。「M」が繰り出すポリリズムとエレクトロニック・リズム&ビートが素晴らしい個性。

そんな東京ザヴィヌルバッハの2012年の秀作。タイトルは『AFRODITA』(写真左)。東京ザヴィヌルバッハは、2010年以降、坪口昌恭ソロ主体の活動にシフトしており、この作品も坪口昌恭の単独制作。とは言え、坪口昌恭ではなく東京ザヴィヌルバッハ名義の作品。ここでも、自動変奏シーケンスソフト「M」がリズム&ビートをガッチリ押さえている。
 

Afrodita

 
このアルバムを聴いて、思わずニンマリする。メイン楽器は、シンセサイザーではなくエレクトリック・ピアノなのだ。シンセではなくフェンダー・ローズがメインになっているところが実に良い。

東京ザヴィヌルバッハの個性、自動変奏シーケンスソフト「M」が繰り出すポリリズムと気紛れなエレクトロニック・サウンドの上に、フェンダー・ローズが乱舞する。フェンダー・ローズの音が大好きで、シーケンサーのリズム&ビートが大好きな僕にとっては、こんなに聴いていて心地良いアルバムは無い。

エレピがメインではありながら、シーケンスソフト「M」のアフリカ的なポリリズムとフェンダー・ローズの「丸いクールさ」が融合して、「テクノ・ジャズ」的なアーバン・イメージがアルバム全体に漂う、不思議な雰囲気を持ったエレクトリック・ジャズである。加えて、聴き障りが良い。アンビエント・ミュージック風のアレンジが実に「恣意的」だ。

こういうジャズが日本から発信される時代になったことを強く実感出来る、東京ザヴィヌルバッハの『AFRODITA』。クールなアーバン・エレクトリック・ジャズ。ラストのWRの「8:30」のカバーが、僕達、WR者にはたまらない。

 
 

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2015年1月23日 (金曜日)

格別な、萩原健一『熱狂雷舞』

1970年代のJポップやJロックについても「マニア」っぽくあるのだが、最近、なかなか通好みのアルバムがCDリイシューされているので、これはこれで嬉しいことである。

特にこのアルバムには「参った」。萩原健一『熱狂雷舞』(写真左)である。1970年代の日本のロック・ニューミュージックを代表するBOURBONレーベルの作品が限定リイシューされる中での一枚である。これがまあ、実に渋い、実に鯔背なロック・ライブなのだ。

萩原健一=ショーケンのボーカルは「味がある」ボーカルである。ボーカルはテクニックがなければ認めない、という向きには、全く合わないボーカルではある。といって、下手かと言えばそうでは無い。味があって個性があるボーカルである。はまればトコトンだし、合わなければ全く駄目な、個性豊かなボーカルである。 

そんな萩原健一が歌いまくるライブ盤。ショーケンの歌い方は独特で、最初聴いた時は、ショーケンは酔っぱらっているのか、と思った(笑)。しかし、聴きすすめるにつれ、その何ともいえない「凄み」に圧倒された。なんと表現したら良いのか。崩れが魅力の鯔背なボーカルである。
 

Kenichi_hagiwara_nekkyo_live_2

 
そして、バックを務めるのは、柳ジョージ&レイニーウッド。これがまた渋い。これがまた鯔背なロック・バンドなのだ。そんな鯔背なロック・バンドがバックを務め、ショーケンのボーカルを盛り立て支える。全編に渡って、絶妙なサポートに心底感心する。演奏にコーラスワークにその実力を遺憾なく発揮する。そして、徹底的にショーケンをサポートする。絶対に前には出ない。素晴らしい。

収録された楽曲も秀逸な出来の曲が多く、当時LP2枚組のボリュームにも関わらず、全く飽きない内容になっている。「酒と泪と男と女」や「祭ばやしが聞こえる」「大阪で生まれた女」「本牧綺談」などなど、普通の男性ボーカリストがカバるとちょっとスベってしまいそうな「ベタな」曲も、ショーケンのボーカルにかかれば、鯔背なロックとして、ズシンと心に響く。

ショーケンのボーカルは癖があるので、全ての人達に手放しでお勧めすることが出来ないのが残念でならない。僕にとっては、1970年代の日本のロックのライブ盤の中でも「名盤」の位置づけなので、是非とも聴いては貰いたいのですがねえ。

それにしてもこの『熱狂雷舞』は鯔背で格好良いライブ盤だ。選曲良し、演奏良し。柳ジョージ&レイニーウッドのバッグが格別で、聴き応え十分である。ジャケット写真も雰囲気があって良し。僕にとっては最高に鯔背で格好良い日本のロック盤の一枚である。

 
 

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2015年1月22日 (木曜日)

ポールの2007年のライブ音源

昨年の12月になるが、ポール・マッカートニーのライヴ・アルバム『BBC Electric Proms 2007: Paul McCartney (Live)』(写真左)がDL発売された。

このポールのライブ音源は、2007年10月にロンドンのラウンドハウスで行われたBBC主催のフェス<Electric Proms 2007>のライヴ音源。2007年というと、ポールは『追憶の彼方に〜メモリー・オールモスト・フル』(Memory Almost Full)』をリリースした年。今から7年ほど前の音源になる。

7年ほど前と言えば、ポールは65歳。65歳で、しかも『Memory Almost Full』をリリースした年ということを思いながら聴くのだが、このライブ音源でのポールの声は荒い。ちょっとガラガラという感じ。声の伸びもちょっとしんどいし、ふらつきもある。僕は、このライブ音源は、ほんの最近のものなのか、と思い違いをしたくらいだ。

バックの演奏も粗い。今までのポールの単独ライブ盤のバックの演奏を振り返ると、相当に粗い。音質もまずまずではあるが、優秀というレベルでは無い。それではあんまり良くないのか、と問われれば、う〜ん、まずまずではあるが、素晴らしいというレベルでは無い、という感じだろうか。

ライブ盤としての編集も粗くて、曲間はブツ切れになる。それでも、今まではブートで出回ってはいたものの、正式な音源としては今回が初めてのリリースで、ポールのファンにとっては嬉しいダウンロード配信ではある。
 

Paul_bbc_electric_proms

 
1 Magical Mystery Tour
2 Flaming Pie
3 Got to Get You into My Life
4 Dance Tonight
5 Only Mama Knows
6 Blackbird
7 Calico Skies
8 Eleanor Rigby
9 Band on the Run
10 Back in the USSR
11 Live and Let Die
12 Baby Face
13 Hey Jude
14 Let It Be
15 Lady Madonna
16 I Saw Her Standing There
17 Get Back

 
収録曲は、上記の通りになる。ビートルズ時代の曲がちょっと目立つ。ラストの5曲は思いっきり有名なビートルズ曲で占められ、皆で歌おうぜ、というのも解らないではないが、ちょっと俗っぽく過ぎるのでは無いか、と思う。ポールって、ビートルズ解散以降、ソロになってからも良い曲が多々あるのだから、もう少し、選曲に気を遣っても良いのではないかなあ、と思ってしまう。

ネットでは概ね評判・評価は上々なのが、ちょっと意外。ポールのファンの方々には、このDLライブ音源は一度は聴いておきたいものではあるが、一般の方々には、2000年代のポールのライブ音源なら、他のCDでリリースされたライブ音源の方が良いと思う。

 
 

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2015年1月21日 (水曜日)

菊池ひみこ『Flashing』が良い

子供の頃、8年ほどクラシック・ピアノの習っていたので、ジャズについては、ピアノ&キーボードから入った。高校時代、ロックに傾注した時は、プログレッシブ・ロックに凝ったこともあって、シンセサイザーをはじめとしたエレクトリック・キーボードも得意分野である。

よって、フュージョン・ジャズはエレクトリック・キーボードが主役のアルバムが大好き。サックスやトランペットやギターよりもエレクトリック・キーボードである。シンセサイザーをはじめとしたエレクトリック・キーボードが活躍するアルバムは結構入手したし、「隠れ家的な喫茶店」でもリクエストした。

このアルバムは、確か、NHK-FMで3曲ほど流していたのを聴いて、思いっきり気に入って入手に至ったアルバムである。そのアルバムとは、菊池ひみこ『Flashing』(写真左)。シンセサイザーをはじめとしたエレクトリック・キーボードとアコースティック・ピアノまでもが主役のフュージョン・ジャズなアルバムである。

1981年のリリース。懐かしいなあ。長年、廃盤になって久しかったが、昨年の7月、タワーレコード限定でCDリイシューされた。タワーレコードのリコメンド・メールを見て「もしや」と思い、ジャケット写真を見て、即「ポチッとな」である(笑)。とにかく、懐かしい懐かしい。行きつけの喫茶店でヘビロテBGMになっていた盤である。
 

Himiko_kikuchi_flashing

 
菊池ひみこの趣味の良い、クールなキーボード・ワークが魅力である。特に、シンセとアコピの使い方、弾き方が上手い。シンセサイザーをはじめとしたエレクトリック・キーボード者の耳にも十分に応えてくれる、趣味の良いインプロビゼーションである。

冒頭の「Cosmic Dust Blue」の出だしの部分、ロケット発射の場面の音にはちょっと「ひく」が我慢我慢。こういう部分には時代を感じるが、アルバム全体の演奏の雰囲気は「モダン」である。今の耳にも十分に耐える。ソフト&メロウでクールなキーボードは、なかなかに聴き応えがある。

女性ボーカルによるスキャット入りボサノバ・フュージョンの「SUNDAY MORNING」、そして、最後は合唱になるブラジリアン・フュージョンの「AFTER THE FESTIVAL」、サンバ・ジャズなナンバー「Back To Bop」など、ラテン・フュージョンな雰囲気が色濃く漂うフュージョン・ジャズも「聴きもの」。意外とこのラテン・フュージョンな演奏に「はまる」。

懐かしいなあ。今の耳にも十分に耐える演奏なので、入手したそばから、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、ちょっとしたヘビロテ・フュージョン化している。今の耳で聴くと、菊池ひみこのキーボード・ワークに新しい発見があったりして、全く飽きない内容である。

 
 

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2015年1月20日 (火曜日)

お気に入りの女性ボーカル盤

ジャズ・ボーカルのアルバムというのは相当な数に上る。当然、ジャズ・ボーカリストはキラ星の如く、相当な数になる。他の楽器と同様、体系立って、代表的なミュージシャンのアルバムを聴いて、その楽器の傾向と意義を確認する、なんてことが出来ない。とにかく、ジャズ・ボーカリストの数が多すぎる。

といって、1940年代から1950年代に活躍し、メジャーとなって、その後もずっと歌い続けた、ジャズ・ボーカルのレジェンド達のアルバムを聴けば、ジャズ・ボーカルが理解出来るか、と問われれば否と答える。

とにかく、ジャズ・ボーカルは人間が肉声をもって、それぞれの個性を活かして歌うのだから、同じスタイルというものが無い。つまり、ジャズ・ボーカルには、他の楽器の様に、エバンス派とかパウエル派、パーカー派などという演奏に関する「スタイル」が無い。

つまりは、ジャズ・ボーカルを愛でるには、ボーカリストの個性や声質や容貌が気に入って、自分に合ったボーカリストを聴き進めて行くのが手っ取り早いと感じている。

そんなジャズ・ボーカルであるが、僕の好みのボーカリストは、ちょっと他のジャズ者の方々とは違うんやないかなあ、と思って久しい。僕の好きなボーカリストを挙げると、先輩ジャズ者の方々の眉が曇ることが多いのだ。

まあ、先に述べたように、ボーカリストの個性や声質や容貌が気に入って、自分に合ったボーカリストを聴き進めて行くのが手っ取り早いと思っているので、あまり他のジャズ者の方々の評価は参考にはするが鵜呑みにはしないようにしている。

昨年11月に、僕にとって魅力的なジャズ・ボーカル盤がリリースされた。土岐麻子『STANDARDS in a sentimental mood 〜土岐麻子ジャズを歌う〜』(写真左)である。

土岐麻子のソロ・デビュー10周年(2014年時)記念した、なんと9年ぶりとなる「STANDARDS」シリーズの第4弾。土岐麻子はこれまでに、ジャズ・スタンダードのアルバムを3枚リリースしている。そのうち2枚はヴォーカル物としては曲数が少なく、ミニアルバムという趣。今回はフル・アルバムで気合い十分である。
 

Asako_in_a_sentimental_mood

 
僕は土岐麻子のボーカルが好きで、歌い方、個性、声質が僕の耳にフィットする。 ポップス系のシンプルでストレートな歌声であり、英語の発音もしっかりしている。しっとりとした甘い声系ではあるが、コケティッシュでは無い。ちょっとユーモラスでキュートな声回しが微笑ましい。

以前、リリースされたジャズ・スタンダードのアルバム3枚も所有しているし、土岐麻子のポップス系のボーカル盤も幾枚か所有している。今でも時々聴くことがある、長年のお気に入り女性ボーカリストである。

さて、この『STANDARDS in a sentimental mood 〜土岐麻子ジャズを歌う〜』であるが、内容充実で聴き応え十分。父であり日本を代表するサックス奏者・土岐英史のプロデュースもバッチリはまっていて、全く飽きの来ない内容。土岐麻子のボーカルの魅力満載である。

「In a Sentimental Mood」「Round Midnight」「Smile」「Stardust」The Look of Love」「Misty」「Cheek to Cheek」といったスタンダード楽曲に加え、土岐英史作品に英詞を書き下ろしたオリジナル楽曲「Lady Traveler」「After Dark」も収録。 とりわけ、「Smile」の収録が良い。僕はこの「Smile」が大好きなのだ。「Smile」が入っていれば「何でも通し」ですね(笑)。

意外な選曲としてRed Hot Chili Peppers「Californication」が入っていて、ジャズ・シンガーBlossom Dearieのクリスマスソング「Christmas in the City」は、細野晴臣とのデュエットでシットリと聴かせる。

アレンジも良好、父君の土岐英史のアルト&ソプラノサックスに加え、曲によって市原ひかりのフリューゲルホルンがフィーチャーされていて、バックバンドの演奏も良好。良いジャズ・ボーカル盤です。久々に、我がバーチャル音楽喫茶『松和』でも、このジャズ・ボーカル盤がヘビロテになっています。

 
 

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2015年1月19日 (月曜日)

ジャズ・ギターを愛でるには...

Charlie Christian(チャーリー・クリスチャン)は、モダン・ジャズ・ギターの祖とされる。しかし、ジャズ者初心者の方々に、チャーリー・クリスチャンの諸作を「モダン・ジャズ・ギターの祖とされる」理由が良く判るから聴け、というのはちょっと無理がある。

それでは、モダン・ジャズ・ギターを感じ、理解するにはどうしたら良いか。早い話、ジャズ者初心者の方々向けのモダン・ジャズ・ギターの入門盤はどれか、ということになる。ということで、さてさて、と思いを巡らせる。

まず浮かぶのが、Barney Kessel, Shelly Manne, Ray Brownのトリオ盤『Poll Winners』(写真左)。1956年度の『ダウンビート』、『メトロノーム』、『プレイボーイ』各誌における人気投票でポールウィナー(ナンバーワン)になったプレイヤーを集めた企画盤。ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g・写真右), Shelly Manne (ds), Ray Brown (b)。1957年3月の録音。

バーニー・ケッセルのギターは、チャーリー・クリスチャンを源とするビ・バップ・ギターを洗練させ、ビ・バップ・ギターの奏法を取りまとめて、ひとつのスタイルとして完成させたもの。コード弾きを織り交ぜたシングル・トーンの旋律弾き、伴奏に回った時のクールなコード弾きのカッティング、太いトーンでホーンライクに弾きまくるアドリブ・フレーズ。

バーニー・ケッセルのギター奏法は、源にチャーリー・クリスチャンのモダン・ジャズ・ギターが見え隠れする。このバーニー・ケッセルのギターは、モダン・ジャズ・ギターの原型のひとつだと感じる。

ベースのレイ・ブラウンのテクニックも凄まじいものがある。ブンブンと重低音を響かせつつ「のし歩く」、重戦車のようなウォーキング・ベース。ベースの胴鳴りを感じつつ、中高音を駆使して、ベースをしてホーンライクに弾きまくるアドリブ・フレーズ。
 

Poll_winners

 
ドラムのシェリー・マンも相当に多彩なドラミングを聴かせてくれる。さすが西海岸ジャズのドラムの雄、乾いたスネアの音、硬質なタムタムの音、響きがシャープなシンバル、タイトに響くバスドラ。西海岸ジャズ独特の多彩で豊かなドラミングを、テクニックを駆使して、これでもか、という感じで聴かせてくれる。

この『Poll Winners』というトリオ盤は、ジャズ者初心者の方々向けのモダン・ジャズ・ギターの入門盤として最適な盤である。が、このアルバムを愛でるには、まずまずの性能の再生装置で聴いて欲しい。

1950年代のジャズ・ギターの再生は苦労する。もともと音が細い。繊細といっても良い位の線の細さ。そんなジャズ・ギターのフレーズをしっかりと捉えるには、そこそこの性能の再生装置が必要と感じている。チープな再生装置だと、ギターの音が薄くなる。とても貧弱な音になるので、聴いていてつまらなくなる。それでは元も子もない。

レイ・ブラウンのベースもそうだ。チープな再生装置だと、重低音の部分、胴鳴りの部分、弦鳴りの部分が聴き分けられない。ギターとドラムの音にかき消されて、ベースの存在が無くなる。そうすると、トリオ演奏がスカスカになる。これはまずい。

シェリー・マンのドラムは、さすがにドラムなので、チープな再生装置でも埋もれることはないが、細かなニュアンスが伝わらない。ドラムの叩く部分しか響かず、マンの多彩なドラミングの違いとニュアンスを感じることが出来ない。アルバムを聴き進めるうちに、リズム&ビートに飽きが来る。

ジャズ者初心者とは言え、モダン・ジャズ・ギターを感じ、理解するには、そこそこの再生装置で聴くことをお勧めする。この『Poll Winners』という盤も、再生装置次第で、名盤にもなれば、スカスカ薄々の駄盤にもなる。

しかし、再生装置を選べば、モダン・ジャズ・ギターとはいかなるものか、を十分に感じることが出来る。ジャズ・ギターを愛でるには、アルバムの再生装置に気を遣う。

 
 

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2015年1月18日 (日曜日)

耽美的で繊細なバレルのギター

寒い日が続きます。昨日の午後から今日の午前中にかけては、風が強くて体感温度がどんどん下がって、寒いのなんのって。これだけ寒い日が続く冬も珍しい。運動不足は大敵なんですが、なかなか外に出て散歩する気にならないですね。

さて、寒い日、暖房の効いた部屋で聴くジャズは、耽美的で静謐感のある落ち着いたジャズが良い。さて、何を聴くか、ということで選んだアルバムがこれ。Kenny Burrell『Moon and Sand』(写真左)。1979年12月の録音。1980年のリリースになる。ちなみにパーソネルは、John Heard (b), Roy McCurdy (ds), Kenny Burrell (g), Kenneth Nash (per)。

リリースされた1980年は、フュージョン・ジャズ全盛時代なのだが、リーダーのケニー・バレルはフュージョン・ジャズに流れることなく、しっかりとメインストリーム・ジャズに残って、聴き易い、イージー・リスニング風のアルバムを残している。このアルバムのそんな中の一枚で、コンコード・レーベルからのリリースになる。

ケニー・バレルのギターは、漆黒のブルージー・ギターという印象が強いが、このアルバムでは、耽美的で繊細な面も前面に出ていて、バレルのギターの懐の深さを十分に感じられる内容になっている。
 

Moon_and_sand

 
このアルバムでは、アコギとエレギを使い分けており、特に、アコギの演奏が印象に残る。冒頭のタイトル曲「Moon and Sand」がその好例で、バレルのアコギは実に「耽美的で繊細」。最初に聴いた時は、絶対にケニー・バレルが弾いているとは思わない。ブルージーな雰囲気はしっかり残っているが、そのブルージーさもかなりライトなもので、どっぷりとジャジーという雰囲気では無い。

5曲目の「Blue Bossa」もアコギの演奏で秀逸。ボサノバ・ジャズの名曲であるが、ボサノバを意識して、リズム&ビートを必要以上に跳んだり跳ねたりせず、しっとりとしたボサノバ・ビートの上で、バレルのアコギが耽美的に繊細にアドリブ・ラインを紡いでいく。絶品である。

メリハリのある、バレルのギターがバリバリ弾きまくられるアルバムでは無いが、耽美的で繊細な演奏がアルバム全体にぎっしりと詰まっている。この耽美的で繊細な演奏はイージーリスニング風で、フュージョンぽいと言えばフュージョンぽいが、バックのリズム・セクションであるベースとドラムは、しっかりとメインストリーム風のリズム&ビートを供給しており、意外と硬派な演奏はしっかりと耳に残る。

一聴すると地味で繊細なアルバムで、これってジャズかなあ、なんて第一感で思ったりしますが、聴き込むほどに、このアルバムの耽美的で繊細なバレルのギターが癖になります。1970年代のケニー・バレルの佳作の一枚でしょう。

 
 

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2015年1月17日 (土曜日)

グッドマン楽団のクリスチャン

モダン・ジャズ・ギターの祖であるCharlie Christian(チャーリー・クリスチャン)。1916年7月生まれ、1942年3月没。25歳8ヶ月で亡くなったことになる。早逝の天才であった。

チャーリー・クリスチャンは、ベニー・グッドマン楽団に在籍していたことでも有名である。1939年、音楽評論家でありベニー・グッドマンの相談役でもあったジョン・ハモンドに見出され入団。1942年3月に没しているので、3年程度の短期間の在籍だった。

しかし、このスイング・ジャズの雄、ベニー・グッドマン楽団への入団により、チャーリー・クリスチャンの存在が世間に広く認知され、ジャズ・ギターの新しいスタイルが確立された。彼の出現によってギターはソロ楽器としての地位を獲得したと言って良い。

そんなベニー・グッドマン楽団でのチャーリー・クリスチャンのギターを堪能出来るボックス盤がある。そのボックス盤とは『Genius of the Electric Guitar』(写真左)。このCD4枚組ボックスセットには、1939年から1941年にかけての、チャーリー・クリスチャンのベニー・グッドマン楽団での演奏が収録されている。

未発表だった別テイクが多数収録されていて、ベニー・グッドマン楽団でのチャーリー・クリスチャンの演奏を十分に堪能出来る内容であり、しかも、CD4枚目には、めずらしいリハーサル・テイクも収録されていて、ベニー・グッドマンとクリスチャン、プロデューサーのジョニー・ハモンドの緊張感溢れるやりとりが聴かれ、なかなかに興味深い。
 

Genius_of_the_electric_guitar

 
チャーリー・クリスチャンのモダン・ジャズ・ギターが十分に堪能出来る内容になっている。ホーンライクなシングルトーンの旋律弾き。しかも、紡ぎ出される旋律が実にモダンで格好良い。コード弾き中心の「リズム楽器」としてのプレイも見事だ。そして、さすがはベニー・グッドマン楽団、クリスチャンのギターのみならず、他の楽団メンバーの演奏も素晴らしい。

このCD4枚組ボックスセットは、チャーリー・クリスチャンのモダン・ジャズ・ギターを愛でるだけでなく、ベニー・グッドマン楽団の演奏を愛でることの出来る優れものだ。
 
特にリーダーのベニー・グッドマンのクラリネットは、溌剌としていてエモーショナル、ダイナミックなアドリブ・ラインが魅力で、スイング・ジャズというより、1950年代のハードバップの様な力強い演奏が凄い。

このCD4枚組ボックス盤、聴いて見たらビックリするのだが、実に音が良い。1939年から1941年の間の演奏の録音にも拘わらず、音質が良い。これだけ音質が良いと、内容的にも、スイング・ジャズの良い部分を体験出来る内容でなので、ジャズ者初心者の方々にもお勧め出来る。

チャーリー・クリスチャンのモダン・ジャズ・ギターは、ありとあらゆる電気ギター奏者のルーツと言っても過言ではない。このCD4枚組ボックス盤は、ベニー・グッドマン楽団の優れた演奏を含めて、その事を十分に教えてくれる。

 
 

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2015年1月16日 (金曜日)

モダン・ジャズ・ギターの祖

Charlie Christian(チャーリー・クリスチャン)は、モダン・ジャズ・ギターの祖とされる。その「モダン・ジャズ・ギターの祖とされる」理由は、このライブ盤を聴けば判る、とされる。
 
そのアルバムとは、Charlie Christian『Live At Minton's Playhouse』(写真)。1941年5月、ハーレムにあるミントンズ・プレイハウスで行われた「ビ・バップ誕生前夜」の必殺ライブ盤。収録曲は以下の通りになる。

1. Swing to Bop
2. Stompin' at the Savoy
3. Up on Teddy's Hill
4.Stardust
5. Kerouac
6. Stardust
7. Guy's Got to Go
8. Lips Flips
 
ちなみにパーソネルは、Charlie Christian (g,tracks: A1 to A3, B4, B5), Nick Fenton (b), Kenny Clarke (ds), Kenny Kersey, Thelonious Monk (p), Don Byas, Unknown Artist (ts), Dizzy Gillespie, Joe Guy, Unknown Artist (tp)。チャーリー・クリスチャンは、1曲目から3曲目、そして7曲目、8曲目の計5曲でギターを弾く。
 
アルバム収録曲の全てで、クリスチャンがギターを弾いていないのが疑問と言えば疑問なのだが、これはまあ仕方が無い。それでも、その計5曲の演奏で、チャーリー・クリスチャンの弾くギターの特徴が良く判る。
 
 
Live_at_mintons_playhouse  
 
 
とりわけ、冒頭の「Swing to Bop」を聴けば、チャーリー・クリスチャンが「モダン・ジャズ・ギターの祖とされる」理由が良く判る。ホーンライクなシングルトーンの旋律弾き。しかも、紡ぎ出される旋律が実にモダンで格好良い。洗練されたアドリブ・フレーズが、ギターのホーンライクなシングルトーンで弾きまくられる。

それまで、ジャズの中でギターはコード弾き中心の「リズム楽器」の位置付けだった。が、このチャーリー・クリスチャンのお陰で、ギターは「リズム楽器」の位置付けに加えて、テーマやアドリブを担当する「フロント楽器」の位置付けを担うことになった。それが良く判る『Live At Minton's Playhouse』でのクリスチャンである。
 
しかし、このライブ盤の音質とアレンジで、ジャズ者初心者の方々に、「モダン・ジャズ・ギターの祖とされる」理由が良く判るから聴け、というのはちょっと無理がある。音質は中の下。あまり良くない。ジャズ者中堅の方々からジャズ者ベテランの方々には、この音質でも演奏される音の本質を聴き分けることは可能だろうが、ジャズ者初心者の方々には荷が重い。
 
それでも、僕がジャズ者初心者の頃、1970年代後半のジャズ入門本を紐解くと、このCharlie Christian『Live At Minton's Playhouse』が、ジャズを理解する上での入門盤の中に挙げられている。今でも、ジャズギターの入門盤の中に挙げられていたりして、これはちょっ無茶やな、と思ってしまう。
 
あくまで、このCharlie Christian『Live At Minton's Playhouse』は、ジャズ者中堅の方々からジャズ者ベテランの方々向け。「モダン・ジャズ・ギターの祖とされる」理由を自分の耳で体験するのは、ジャズ者中堅のレベルになってからでよろしい。それまでは、チャーリー・クリスチャンが「モダン・ジャズ・ギターの祖とされる」ことを知識として理解しているだけでも罰は当たらない。
 
 
 

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2015年1月15日 (木曜日)

その名も『JIMBO de CTI』

このアルバム・ジャケットを初めて見た特、思わず爆笑した。これって『Deodato 2』(写真右)のパロディー・ジャケットやん(笑)。いや〜、良い趣味してますね。このジャケットを見て、このアルバムの内容が思わず推察される。デオダートのカバー・アルバムか、CTIレーベルの有名曲のカバー・アルバムかのどちらか。

CASIOPEA 3rdでも活躍中の日本フュージョン界のトップ・ドラマー神保 彰のカバー・アルバムの新作である。その名も『JIMBO de CTI』(写真左)。このアルバム、デオダートの名曲をはじめとするCTIレーベルの有名曲のカバー・アルバムである。2015年1月7日のリリースしたてのホヤホヤ。

収録された演奏は結構ぶ厚いが、トリオがベースのコンパクトな編成である。ちなみにパーソネルは、神保 彰 (ds), エイブラハム・ラボリエル (b), オトマロ・ルイーズ (p)。新しい感覚のクロスオーバー・サウンドが個性である。

収録された楽曲は以下の通り。1970年代、クロスオーバー・ジャズの諸作に親しみ、とりわけCTIレーベルのアルバムを聴き漁った「CTI者」にとっては、思わず嬉しくて爆笑ものの「懐かしの名曲」がズラリ。

1. Super Strut
(エウミール・デオダート『ラプソディ・イン・ブルー』より)
2. Also Sparach Zarathustra(2001)
(エウミール・デオダート『ツァラツストラはかく語りき』より)
3. Tombo In 7/4(アイアート『フィンガーズ』より)
4. Carly & Carole
(エウミール・デオダート『ツァラツストラはかく語りき』より)
5. Stone Flower
(アントニオ・カルロス・ジョビン『ストーン・フラワー』より)
6. Red Clay(フレディ・ハバード『レッド・クレイ』より)
6. Skyscrapers
(エウミール・デオダート『ラプソディ・イン・ブルー』より)
7. Spirit Of Summer
(エウミール・デオダート『ツァラツストラはかく語りき』より)
8. The Answer Is Yes(ジム・ホール『アランフェス協奏曲』より)
 

Jimbo_de_cti

 
エウミール・デオダートの楽曲が、8曲中5曲を占める。ジャケット・デザインが『Deodato 2』をパロっているのも納得がいく選曲である。ここまで来たら「Rhapsody in Blue」も、あのデオダートのアレンジでカバーして欲しかったなあ。

実は、私もエウミール・デオダートの大ファンで、ジャズというものに初めて触れて、初めて聴き込んだアルバムが、この『Deodato 2』。他のデオダートのアルバムも大学時代、1970年代後半に聴き漁り、デオダートの楽曲の有名どころはしっかりと今でも押さえている。

よって、この神保 彰のデオダートの名曲をはじめとするCTIレーベルの有名曲のカバー・アルバムは、私にとっては実に嬉しいリリースであり、内容なんですね。聴いていて嬉しくなって、ついつい頬が緩みっぱなし。1970年代、クロスオーバー・ジャズの諸作に親しみ、とりわけCTIレーベルのアルバムを聴き漁った「CTI者」にとってはマストアイテムですね。

ちなみに、神保 彰は1959年2月27日生まれ。なんだ、僕と同じ学年やん。冒頭の「Super Strut」に対する神保 彰のコメントが「この曲こそが僕の原点。やはり1曲目はこれしかないという感じです」。なるほど、同世代やね。私もその気持ち、よく判ります。同世代だからこそ共感出来る感覚がある。なんだか、改めて嬉しくなりました。

いつかは出てくると思っていたが、日本のジャズメンが、デオダートの名曲をはじめとするCTIレーベルの有名曲のカバー・アルバムをリリースするとは思わなかった。嬉しい「不意打ち」である。

 
 

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2015年1月14日 (水曜日)

ドゥービー兄弟は眠らない

ドゥービー・ブラザース。訳して「大麻兄弟」。振り返ってみれば、凄いネーミングのバンドである。1960年代後半から1970年代まで、ウェストコースト・ロックを代表するバンドのひとつ。1982年に一旦、解散したが、1989年、正式に再結成し、今日に至る。

バンド当初の野性味あふれる快活なギター・ロックから、途中、マイケル・マクドナルドの加入により、R&Bの影響を受け洗練されたAOR色の強いものへと変化。硬軟併せ持った、二つの顔を持つ、ウェストコースト・ロックの代表格。

そんなドゥービー・ブラザースが、昨年11月、カントリー・ミュージック界の人気アーティスト達を迎えた新スタジオ・アルバム『Southbound』(写真左)をリリースした。これがまあ、往年のドゥービー者にとっては、なかなか充実した内容なのだ。

内容的には、楽曲毎に異なるアーティストを迎えたコラボレーション・カントリー・ミュージック・アルバムとなっており、ドゥービー・ブラザーズが過去に発表した楽曲を取り上げたセルフ・カバー集。このセルフ・カバーというのが良い。

収録曲と共演のカントリー・ミュージック界からの人気アーティストは以下の通り。

冒頭の「Black Water」から、続く「Listen to the Music」、そして「What a Fool Believes」から「Long Train Runnin'」、これでもうお腹いっぱいなんだが、さらに「China Grove」から「Takin' It to the Streets」、加えて「Jesus Is Just Alright」と畳みかける。8曲目の「Rockin' Down the Highway」で一息つくが、続いて「Take Me in Your Arms」が出てきて、思わず「仰け反る」(笑)。
 

Doobie_brothers_southbound

 
1. Black Water (with Zac Brown Band)
2. Listen to the Music
   (with Blake Shelton and Hunter Hayes on Guitar)
3. What a Fool Believes (with Sara Evans)
4. Long Train Runnin' (with Toby Keith)
5. China Grove (with Chris Young)
6. Takin' It to the Streets (with Love and Theft)
7. Jesus Is Just Alright (with Casey James)
8. Rockin' Down the Highway (with Brad Paisley)
9. Take Me in Your Arms (Rock Me) (with Tyler Farr)
10. South City Midnight Lady (with Jerrod Niemann)
11. You Belong to Me
 (with Amanda Sudano Ramirez of the band Johnnyswim
  with Vince Gill on guitar)
12. Nobody Intro13 Nobody (with Charlie Worsham)

 

10曲目の「South City Midnight Lady」以降は、もう「どうにでもなれ」である(笑)。目眩くドゥービー・ブラザースの名曲の数々がズラリと並ぶ。そして、それぞれの楽曲のカントリー・ミュージック界の人気アーティストが絡むのだから、米国ルーツ・ミュージックのマニアとしては堪らない。

ドゥービー自体の演奏も良い。アルバム全編に渡って、元気な歌声、演奏を聴かせてくれています。単純に嬉しいですね。原曲のアレンジに忠実にセルフ・カバーしてくれていて、これまた単純に嬉しい。ボーカルをカントリー・ミュージック界の人気アーティストが担当している分、新しい雰囲気も垣間見えて、飽きが来ません。

いや〜、ドゥービー・ブラザースは眠らないね〜。こんな企画もののセルフ・カバー集が出てくるとは思いませんでした。意外性が高かった分、このアルバムは実に楽しめます。気軽にチョイスして、気軽に聴ける、往年のウェストコースト・ロックの雰囲気が味わえる好盤です。

 
 

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2015年1月13日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・43

ジャズというジャンルの音楽を聴き始めて約40年になる。よくまあ飽きずに聴いてきたなあ、と思うし、それだけ、ジャズは裾野が広くて奥が深いということになる。とにかく飽きない、というか、毎回毎回、新しい発見というか、新しい感覚があって面白い。

そんなジャズ者ベテランにも、ジャズ者初心者の時代が絶対にある。いきなり、ジャズを聴き始めて、一朝一夕にジャズ者ベテランになる訳が無い。今から思えば、ジャズ者初心者の頃に聴いたら、もっと早くジャズに親しめたのになあ、と思うアルバムがある。

そんなジャズ者初心者向けのジャズ盤が幾枚かある。時折、我がバーチャル音楽喫茶『松和』でもかけるアルバムである。そのアルバムとは、The Super Jazz Trio『The Standard』(写真左)。1980年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), Reggie Workman (b), Joe Chambers (ds) 。

フラガナンをリーダーにした、企画型のピアノ・トリオである。スーパー・ジャズ・トリオなんていう、凄い「ベタ」なバンド名が付いているが気にしないでおこう。収録曲を見渡せば、全編通して超有名曲ばかりが続く「凄まじい選曲」。これは、硬派なジャズ者ベテランの方々から不評を買いそうな「問題盤」である(笑)。

まあ、確かに、硬派なジャズ者ベテランの方々からは、「こんな超スタンダード曲ばかりのピアノ・トリオ盤なんて、今更聴けるかい」というブーイングが聴こえて来そうだ。でもね、ジャズ者初心者って何時の時代にも存在するし、ジャズ者ベテランの方々だって、必ずジャズ者初心者の時代があったはず。
 

The_super_jazz_trio_the_standard

 
こんな超スタンダード曲ばかりのピアノ・トリオ盤って、ジャズ者初心者にとっては助かるんですよね。ジャズを聴き進める上で、超スタンダード曲というのは「必須科目」みたいなもので、超スタンダード曲に馴れ親しむには、ジャズ者初心者にとっては早ければ早いほど良い。

確かに、超スタンダード曲を詰め込んだお気楽な出来の悪い企画盤も無いでは無いが、このアルバムは違う。内容も充実していて、聴き応え十分。このアルバムは、ジャズ者初心者の方々に最適なピアノ・トリオ盤。加えて、ジャズ者ベテランの方々にも聴いて貰いたい「超スタンダード充実盤」である。 

「いぶし銀の様なピアニスト」とか「名盤請負サイドメン」とか評されるが、僕はそうは捉えていない。ピアニストのトミー・フラナガンは「ハード・バッパーなピアニスト」である。メリハリ効いたタッチで、グイグイ弾き倒す、そんなピアニストである。だからこそ、バラード演奏が繊細で美しく映えるのだ。

そんな「ハード・バッパーなピアニスト」を支えるベースのレジー・ワークマンが、これまた「凄い」。テクニックを駆使して、ブンブン低音響かせ弾きまくる弾きまくる。そして、ジョー・チェンバースも、これまた「凄い」。テクニックを駆使して、コンコンドンドコ低音響かせ叩きまくる叩きまくる。

このピアノ・トリオ盤、企画ものでありながら、ジャズ者ベテランの耳にも十分に響く「優れもの盤」だと思います。とにかく聴き易くて、かつ退屈しない。内容的にもかなり充実していて聴き応え十分。良いピアノ・トリオ盤です。ジャケットも雰囲気があって良し。

 
 

震災から3年10ヶ月。決して忘れない。まだ3年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2015年1月12日 (月曜日)

渡辺香津美の全編アコギの傑作

渡辺香津美の考えるフュージョン3部作、1979年リリース、異種格闘技風の香津美フュージョンの傑作中の傑作『KYLYN』から、続く1980年リリースの『TO CHI KA』、そして、1981年リリースの『頭狂奸児唐眼(TALK YOU ALL TIGHT)』。

『KYLYN』での、当時YMOのメンバーであった坂本龍一、高橋幸宏との異種格闘技なコラボレーションから、『TO CHI KA』での米国フュージョン・ジャズの強者の面々とのセッションの経験を踏まえて、その成果を当時のKAZUMI BANDをメインに取り纏めたアルバムが『頭狂奸児唐眼』。

この渡辺香津美の考えるフュージョン3部作(と、僕が勝手に呼んでいるのだ)に続くアルバムは如何なるアルバムなのか。1981年当時、楽しみにしていたら、このアルバムがリリースされた。渡辺香津美『DOGATANA』(写真左)である。

とても不思議なアルバム・タイトルである。これは「渡辺」の漢字から、それぞれ「氵」と「辶」を取ったら「度刀」になる。これを読むと「どがたな」、つまり「DOGATANA」である。なるほど。しかし、この摩訶不思議なアルバム・タイトルから、これまた、意欲的で先進的なフュージョン・ジャズが展開されているのかと思った。
 

Dogatana

 
が、良い意味で、その予想は思いっきり裏切られる。冒頭の「Nuevo Espresso」は、マイク・マイニエリのヴァイブと渡辺香津美のアコースティック・ギターが紡ぎ出す、内省的で耽美的で知性溢れるデュオ演奏。これは絶対に、エレギ中心のフュージョン・ジャズでは無い。

以降、2曲目「Loosey Goosey」では石田長生、山岸潤二、渡辺香津美のギター・トリオが素晴らしいインプロビゼーションを展開。4曲目の「Island」のDavid Liebmanの繊細なフルートと渡辺香津美のアコギのデュオは絶品。7曲目の「Please Don't Bundle Me」は、Larry CoryellとのOvation Adamasでのデュオ。Ovation Adamas独特の音色が実に美しい。

このアルバムは、渡辺香津美が全編にわたってアコースティック・ギターを弾いたことから、当時、大きな話題を呼んだ。僕も最初は面食らった。しかし、このアルバムでの渡辺香津美のアコギは限りなく美しく躍動的だ。この時期に一世を風靡したアル・ディメオラらのスーパー・ギター・トリオと肩を並べる、胸の空くような爽快な内容の好盤である。

このアルバムを聴いて、渡辺香津美のギタリストとしての懐の深さを強く感じた。このアルバムを聴いて、このギタリストとの付き合いは長くなりそうだ、そう感じて早33年。今でも、渡辺香津美の新しいアルバムが出るたびにワクワクしている。

 
 

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2015年1月11日 (日曜日)

四人囃子独特の個性の再確認

1970年代の日本のプログレッシブ・ロックの世界の中で「四人囃子」の存在はもはや伝説であろう。しかし、この「四人囃子」のバンド名に正しく反応する方は、1970年代の日本プログレのマニアしか、いないのではと思う。それほど、この四人囃子の存在については、1980年代以降、再評価されることも無く、歴史の彼方に葬り去られているような状況である。

そんな四人囃子が、1978年にリリースしたアルバムが『包(BAO)』(写真)。「パオ」と読む。前作の『PRINTED JELLY』で、プログレ独特の大作主義と神秘性、幻想性は全く排除され、ストレートでポップなサウンドに変化。複雑な構成や変拍子は目立たなくなり、ストレートで分かり易くなった。

そして、この『包』である。前作であまりにプログレッシブ・ロックな要素が排除されたので、いよいよ次作はインスト中心のフュージョン・ジャズ化か、なんて想像していたのだが、良い意味で期待を裏切られた。意味深なアルバム・ジャケットと相まって、四人囃子らしさが戻って来た。

前作の、複雑な構成や変拍子を排除し、ストレートで分かり易い、ストレートでポップなサウンド路線は踏襲してはいるが、プログレ独特の神秘性、幻想性と、四人囃子独特の「ほんわか感」「不思議感」を元に戻している。特に、四人囃子独特の「ほんわか感」「不思議感」は歌詞の世界で大きくフィーチャーされていて、四人囃子は良い方向に方向転換したと感じた。
 

Yonin_bayashi_bao_2

 
そして、バンド全体の音は、前作にも増して、キーボードの音が前面に押し出されて、ポップなサウンドがアルバム全体に満載である。逆にこのキーボードの比重が高くなったことで、プログレらしさが戻ってきていて、四人囃子独特の「ほんわか感」「不思議感」を漂わせたポップなプログレ・サウンドという、四人囃子独特の音世界をこのアルバムで再確認することが出来る。

収録された曲のバラエティー感、ユーモラス感、ストレートでポップなサウンド。この四人囃子独特のサウンドをベースに、1970年代前半から中盤にかけては、大作主義と神秘性、幻想性を反映させ、プログレッシブ・ロックらしい作品を世に出し、1970年代後半は、時流に乗ったサウンドのコンパクト化、ポップ化を反映させ、『PRINTED JELLY』や『包』を世に出した。

この『包』に収録された曲は長くても5分半という、プログレの大作主義とは無縁な、コンパクトな楽曲でまとめられていて、シンセサイザー中心のややテクノ風なエレクトリック・サウンドが見え隠れするところに、このアルバムがリリースされた1978年の「時代の音」を感じる。

ちなみに、アルバム・タイトルやジャケットからイメージされる大陸的なもの、中国的なものは、インストのタイトルや曲調に少し感じ取れるだけである。プログレッシブ・ロックのアルバム・タイトルやジャケットは、そのアルバムの音世界を的確に表現しているものなのだが、これだけは期待外れである(笑)。

 
 

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2015年1月10日 (土曜日)

渡辺香津美の考えるフュージョン

日本のフュージョン・ジャズの中で、ジャズ者初心者の時代から、ずっと今まで聴き続けてきたアルバムがある。特に、渡辺貞夫、渡辺香津美のアルバム諸作は別格で、特に、渡辺香津美のアルバムは、ことある毎に聴き直すことが多い。

特に、1979年リリース、異種格闘技風の香津美フュージョンの傑作中の傑作『KYLYN』から、続く1980年リリースの『TO CHI KA』はお気に入りで、もう30年以上も聴き続けていることになる。そして、もう一枚、大のお気に入りの香津美フュージョンのアルバムがある。

そのアルバムとは、1981年リリースの『頭狂奸児唐眼(TALK YOU ALL TIGHT)』(写真左)である。漢字の読みは「とうきょうがんじがらめ」と読む。英訳すると「TALK YOU ALL TIGHT」となる。フュージョン・ジャズのアルバムとしては、かなり凝ったタイトルである。

このアルバムは、『KYLYN』での、当時YMOのメンバーであった坂本龍一、高橋幸宏との異種格闘技なコラボレーションから、『TO CHI KA』での米国フュージョン・ジャズの強者の面々とのセッションの経験を踏まえて、その成果を当時のKAZUMI BANDをメインに取り纏めたアルバムが『頭狂奸児唐眼』である。

パーソネルは、渡辺香津美 (g), 笹路正徳 (key), 清水靖晃 (ts), 高水健司 (b), 山木秀夫 (ds) のクインテット構成。このクインテットが当時の「KAZUMI BAND」になります。ちなみに、プロデュースはフュージョン・ジャズの伊達男マイク・マイニエリ。このプロデュースは前作『TO CHI KA』と同じ。
 

Talk_you_all_tight

 
冒頭の「NO HALIBUT BOOGIE」のイントロのギターの音だけで、このアルバムの内容が、当時良くあった「ソフト&メロウな耳当たりの良いフュージョン・ジャズ」では無いことが判ります。テイストとしては、ロックなテイストとテクノポップなテイストがフュージョン・ジャズとが程良くブレンドされていて、独特のフュージョン・サウンドに仕上がっています。

この冒頭の「NO HALIBUT BOOGIE」を聴いてワクワクすれば、当時の先進的なフュージョン・サウンドにバッチリ適応しますが、逆に「やかましいなあ、これ」と眉を細める向きには、この尖ったフュージョン・サウンドに対しては拒絶反応を起こすでしょうね。そんな「踏み絵」の様なオープニングの1曲です。

続く「MARS」から「BRONZE」についても、内容的には尖った硬派な内容のフュージョンで、まさに、『KYLYN』での、当時YMOのメンバーであった坂本龍一、高橋幸宏との異種格闘技なコラボレーションから、『TO CHI KA』での米国フュージョン・ジャズの強者の面々とのセッションの経験と成果を十分に自家薬籠中のものとした、いわゆる「香津美の考えるフュージョン・ジャズ」です。

以降の収録曲もいずれも普通の「ソフト&メロウな耳当たりの良いフュージョン・ジャズ」では全く無く、アコギが中心の曲も、内容的にはしっかり尖っていて硬派。今の耳には、コンテンポラリーなジャズとして違和感無く耳に響きます。香津美フュージョンの傑作の一枚と言えます。

ジャケット・デザインも当時のフュージョン・ジャズのジャケットとは、全くもって「一線を画する」もので、実にシュールで実に趣味の良いもので、アルバムの尖った硬派なフュージョン・ジャズという内容と上手く合致していて、これまたセンスの良いもので感心することしきり、です。

 
 

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2015年1月 9日 (金曜日)

年末年始にピッタリのユーミン盤

去年の暮れから新年にかけて、酷い風邪を引いて散々な目に会った。丸4日間、ほぼ寝たきりの状態で、紅白歌合戦は半分だけ、元旦は、食事時以外は床の中。やっと熱が引いたのが1月の3日になってから。ほんと、久し振りに散々な年末年始であった。

さて、僕にとっての1970年代のJポップには、それぞれの季節に合ったアルバムというのがある。春夏秋冬、それぞれの季節にピッタリのアルバム、そのアルバムを聴けば、そのそれぞれの季節の思い出や風景が脳裏に浮かぶ、そんなアルバムが多々ある。恐らく、1970年代を過ごした多感な学生時代の中で、様々な良い思い出、悪い思い出の中で、印象深いJポップのアルバムが流れていたんだろう。

例えば、松任谷由実、ユーミンのアルバムなどは、その季節性のあるアルバムが多くあって、この年末年始の季節では、1981年11月リリースの『昨晩お会いしましょう』(写真)が、そんな「季節に合ったアルバム」の一枚である。

このアルバムがリリースされた11月1日の頃は、僕は大学4回生。就職先も決まって、卒論にも目処が立ち、卒業までの残された自由な時間を謳歌していた時期でもある。そんな時期にこのユーミンの『昨晩お会いしましょう』はリリースされた。

このアルバムは、ユーミンのアルバムの中でも特に印象深いアルバムの一枚で、冒頭の「タワー・サイド・メモリー」の存在がその理由。この「タワー・サイド・メモリー」の舞台は神戸。ここでのタワーとは「神戸ポートタワー」のこと。僕の大学は神戸にあって、この歌は、ユーミンのご当地ソングの一曲だが、この曲がいたく気に入った。

以降、このアルバムの音世界は、ユーミンお得意の「私小説ソング」のオンパレードで、松任谷正隆の秀逸なアレンジと共に、アルバム全体の出来は非常に良い。捨て曲無し、ユーミンの才能が遺憾なく発揮された代表盤の一枚だろう。

そんな捨て曲無しの中でも、やはり「守ってあげたい」「夕闇にひとり」「カンナ8号線」あたりの出来が抜きんでている。詩、曲、共にベストに近い出来で、今の耳できいても聴き応えがある。

そして、年末年始の季節に合ったアルバムである理由はラストの「A HAPPY NEW YEAR」の存在。1981年当時、この曲を初めて聴いた時、なんて良い曲なんだ、と思いっきり感心した。ユーミンって凄いなあ、と単純に思った。
 

Photo_2  

 
A Happy New Year!
大好きなあなたの部屋まで
凍る街路樹ぬけて急ぎましょう
今年も最初に会う人が
あなたであるように はやく はやく

A Happy New Year!
新しいキスを下さい
そして鐘の音 通りにあふれて
今年も沢山いいことが
あなたにあるように いつも いつも

A Happy New Year!
今日の日は ああどこから来るの
陽気な人ごみにまぎれて消えるの
こうしてもうひとつ年をとり
あなたを愛したい ずっと ずっと

今年も沢山いいことが
あなたにあるように いつも いつも

 

こんな素敵な詩と曲を持った「新年を祝う歌」が今まで日本にあっただろうか。詩の世界も私小説風で実にモダン。曲がこれまた、耽美的かつ深淵、懐深い響きをたゆたえ、シンプルかつリリカル。ピアノの響きが印象的で、これは名曲だと僕は思う。

余談になるが、原田知世主演の映画「私をスキーに連れてって」の中で、この「A HAPPY NEW YEAR」が挿入歌として使われたシーンが僕は大好きで、「明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします」と彼に交際OKの意志を伝える知世ちゃんの台詞には今でもしびれます(笑)。

有名なヒプノシスのデザインのジャケットは「やり過ぎ」であまり好きでは無い。ちなみに発売当時のキャッチコピーは「過去、現在、未来、時の流れは 今 ユーミンに止められた。あなたの青春の一場面が息づく」。う〜ん、これも「やり過ぎ」ですね(笑)。

それでも、このアルバムの内容は上出来で、この『昨晩お会いしましょう』はユーミンのアルバムの中でも上位に位置する「お気に入り」の一枚です。

 
 

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2015年1月 8日 (木曜日)

ピーターソン晩年の優れライブ盤

スイングの権化、アート・テイタムを凌ぐ、圧倒的テクニックを誇ったジャズ・ピアニスト、オスカー・ピーターソンが無くなったのが、2007年12月。早いもので、もう7年が経つ。ジャズ界の最大の損失の一つだった。

オスカー・ピーターソンは、僕にとっては、ジャズ者初心者の早くから「お気に入りのピアニスト」の一人で、長年、聴き親しみ続けて来た。現在、所有する彼のリーダー作はかなりの数にのぼる。

今年になって、そんなオスカー・ピーターソンの晩年の名作を聴き直してみることにした。オスカー・ピーターソンは、1925年8月の生まれ。2007年12月に没しているので、晩年と言えば、1990年以降から鬼籍に入る2007年。年齢にすると、65歳から87歳までの間になる。

1990年以降のピーターソンの名盤と言えば、まずはこれらアルバムの名を挙げなければならない。1990年3月16〜18日、ニューヨークのライブハウス、ブルーノートで行われたライブ音源。The Legendary Oscar Peterson Trioのライブ音源。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Herb Ellis (g), Ray Brown (b), Bobby Durham (ds)。

そのライブ音源は4枚のアルバムに分かれて収録されているが、今日はまずはこの2枚。The Legendary Oscar Peterson Trio『Live at the Blue Note』(写真右)と『Saturday Night at the Blue Note』(写真右)の2枚である。先の一枚が、1990年3月16日の録音。後の一枚が、1990年3月17日の録音。
 

Oscar_peterson_bluenote

 
このライブ盤でのオスカー・ピーターソンは絶好調。往年のテクニックを駆使し、バリバリと弾き続ける。その迫力足るや満点。ドライブ感抜群。スイング感抜群。時々、う〜う〜と唸りながら、疾走を続けるピーターソンのピアノは圧巻である。

よくよく聴けば、絶頂期のピーターソンと比べれば、少しタッチの迫力に欠けるし、スピード感もほんの少し翳りが見える。当たり前の事だが、若き日の絶頂期と比べれば、特に溌剌感と切れ味が違う。しかし、人間は歳を取れば、それは仕方の無いことで、逆に、65歳でこのテクニックと迫力は他の追従を許さない。

逆に余りのテクニックと迫力で、曲によっては「五月蠅い」くらいだ(笑)。しかし、そんな時もピーターソンは、良い感じで歳をとったと思った。若い時の様に、さらに前に前にとは出ない。おっと思って、後ろに控えるいぶし銀ギタリスト、ハーブ・エリスにフロントをスッと譲る。良い歳を取って、素晴らしい余裕。

このピーターソン65歳のライブは、グループ・サウンズとして、とてもバランスが良い。故に、グループ全体の迫力が凄い。しかし、決して耳につかない。音が洗練され、良い音が出ているのだ。まあ、これだけ名うてのベテラン、名手揃いである。とにかく、素晴らしい演奏の数々である。往年のピーターソンがここにある。

しかし、日本の諺に「残り物には福がある」とある。そう、この1990年3月16〜18日、ニューヨークのライブハウス、ブルーノートで行われたライブ音源は、あと残りアルバム2枚ある。実は、この残り2枚のアルバムが絶品なのだ。後日、絶対にご紹介したい。ピーターソンの耽美的で優しいタッチのバラードが心ゆくまで堪能できるのだ。

 
 

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2015年1月 7日 (水曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・35

ビッグ・バンド・ジャズの世界には、ちょっと変わった楽団が存在する。この楽団の音をアルバム2〜3枚聴いた後、ふと思う。この楽団の演奏って、アルバムって、きっと日本では受けが悪かったんやろうなあ。はっきり言って、得体が知れないというか、何だか理解し難い音作りなのだ。

その楽団とは「Sun Ra and His Arkestra」、略して「Sun Ra Arkestra(サン・ラ・アーケストラ)。土星から来たジャズバンドと言われる。もちろん、リーダーのサン・ラは土星人である(笑)。と本人は語っているのだが、1914年、アラバマ生まれのサン・ラは、54年には自己のレーベル「サターン」を設立し、そのころから、自ら率いるビッグバンド「アーケストラ」で精力的な活動を展開していった。

この自身を「土星人」とし、自身が主宰するビッグバンドを「土星から来たジャズ・バンド」として、その呼び名を「アーケストラ」とするところなど、もはや、絶対に日本では「うけない」。日本の真面目なジャズ者の方々は「ゲテモノ扱い」し「際物扱い」する。そして、そのアーケストラの出す音を聴いて、これまた、真面目なジャズ者の方々は「途方に暮れる」。真面目にやってるんだか、ふざけているんだか、日本人の真面目なジャズ者の方々の理解を超えた音なのだ。

例えば、このアルバムを聴けば、そのサン・ラのちょっと「へんてこりん」な音世界がよく判る。Sun Ra Arkestra『Jazz in Silhouette』(写真左)。「silhouette=シルエット」、カナ読みにすると『ジャズ・イン・シルエット』。1959年3月6日、シカゴでの録音。1959年と言えば、ジャズ界はハードバップ真っ盛りの時代。先進的なジャズとしてはモード・ジャズが台頭し、ファンキー・ジャズがポピュラー音楽の一端を担っていた時代。

まずは、ジャケットが怪しい。1959年、ハードバップ真っ盛りの時代に、このジャケット・デザインは凄い。むっちゃシュールなイラスト。むっちゃチープなタイポグラフィー。確かに、雰囲気は1950年代のモダン・アート。でも、この怪しさは、Sun Ra Arkestraの独特の個性に呼応する。
 

Jazz_in_silhouette

 
1959年、ハードバップ真っ盛りの時代にこの音である。基本的には「古い響き」がする。Sun Ra Arkestraの音の基本部分は、スイング・ジャズ時代の響き。オールド・スタイルな音の響き。聴き易いが、この音のどこが「尖っている」のかよく判らん、と思いつつ聴いていると、徐々に、その「へんてこりん」な音世界に気が付き始める。

テナーやトランペットのソロが、そこはかとなく「アブストラクト」なのだ。フリーではないのだが、ところどころ、やけに「アブストラクト」なのだ。これが、オールド・スタイルな音の響きの中で「映える」。そして、バックに回った時のアーケストラのユニゾン&ハーモニーの重ね方が、これまた「アブストラクト」な不協和音で、そこはかとなく「怪しい響き」がバックに充満する。

しかも、この1959年という時代に、エスニックな響きのビッグ・バンド・ジャズが展開され、なんだなんだ、と思って聴き進めると、当時の先進的なジャズ・スタイルである、モーダルなアレンジが疾走する。思わず「はぁ〜?」である(笑)。でも、これが、バラバラでは無く、ほど良く融合され、ハイブリッドな、Sun Ra Arkestraならではの音世界として成立している。1959年という時代からすると、このSun Ra Arkestraの音世界は先進的である。

確かに、こんなに上手くハイブリッドされたビッグ・バンド・ジャズは、Sun Ra Arkestra以外には無い。独特の音世界である。この多様性がどこまで、日本のジャズ者の方々の理解が得られるのか、それはそれで心配になるのだが、僕はこのSun Ra Arkestraの初期の時代の音世界が長年、気に入っている。日本でももっと正統な評価が得られると良いですね。

1993年、サン・ラ没。79歳であった。しかし、サン・ラ亡き後も、Sun Ra Arkestraは、今年91歳になるサックス奏者及びマルチ演奏家、マーシャル・アレンの指揮により、精力的にツアーを続けている。最近、耳にしたのだが、そのちょっと「へんてこりん」な音世界は変わらない。

 
 

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2015年1月 6日 (火曜日)

凄いギターを弾くボーカリスト

ジャズ・ギタリスト&ボーカリストのジョージ・ベンソン(George Benson)の本来の姿は「ギタリスト」なのか「ボーカリスト」なのか。ベンソンの数あるリーダー作をいろいろと聴く度に思うことである。

1960年代後半、マイルスにも見初められ、新進気鋭のジャズ・ギタリストとして登場したジョージ・ベンソン。そのジャズ・ギタリストの腕前は、ウエス・モンゴメリーの再来と謳われ、泣く子も黙るコンテンポラリーなジャズ・ギターの人気者として1970年代前半を過ごし、1970年代後半、そのギターの腕前をも上回るボーカルを披露、遂にはボーカルが前面に出てきて「凄いジャズ・ギターを弾く優れたボーカリスト」としての地位を確立したのが、1980年代前半。

例えば、このGeroge Benson『In Your Eyes』(写真左)などは、そんな「凄いジャズ・ギターを弾く優れたボーカリスト」としての一枚だろう。1983年の録音&リリース。このアルバムはベンソンは、ボーカリストとしての側面を思いっきり前面に押し出し、ところどころで渋くて凄まじいテクニックのジャズ・ギターを披露するという、「凄いジャズ・ギターを弾く優れたボーカリスト」としてのポジションを確立している。

冒頭のソフト&メロウなフュージョン・ジャズの名曲「Feel Like Making Love」を聴くと、この時代のベンソンの特長がよく分かるのだが、このソフト&メロウなフュージョン・ジャズの名曲が、思いっきりファンキーでブラック・コンテンポラリーな楽曲に早変わりしている。いやいや、この「Feel Like Making Love」のフュージョン・ジャズでのアレンジが頭にあると、このベンソンのアルバムのアレンジには思いっきりビックリします(笑)。
 

George_benson_in_your_eyes

 
他の楽曲も、基本路線は「思いっきりファンキーなブラック・コンテンポラリー」で、ベンソンのボーカルは、ジャズのボーカルというよりは、ブラック・コンテンポラリー(いわゆる「ブラコン」)のボーカルそのものと捉えて良い。ジャズのボーカルとして、このアルバムのベンソンのボーカルを捉えると思いっきり違和感を感じてしまいます。

しかし、7曲目の「Being With You」などは冒頭より、ソフト&メロウな心地良いベンソンのジャズ・ギターが炸裂し、アドリブ部では、往年の「ウエス・モンゴメリーの再来と謳われた、泣く子も黙るフュージョン・ジャズ・ギター」を十分に聴かせてくれます。やはり、そのテクニックとアドリブ・フレーズの響きは圧倒的で、なるほど、ベンソンって、確かに「出身はギタリストやったんやなあ」ということを思い出させてくれます。

アルバム全体の雰囲気は「思いっきりファンキーなブラック・コンテンポラリー」ですが、要所で往年の「ウエス・モンゴメリーの再来と謳われた、泣く子も黙るフュージョン・ジャズ・ギター」を聴かせてくれて、その割合から、このアルバムは「凄いジャズ・ギターを弾く優れたボーカリスト」としてのベンソンを的確に表現しています。

1980年代前半のジョージ・ベンソンを知る上で、欠かすことの出来ない佳作盤。フュージョン・ジャズ者の方々には、1980年代前半のフュージョン・シーンの雰囲気を代表する盤の一枚としてお勧めの一枚です。

 
 

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2015年1月 5日 (月曜日)

ピーターソン晩年の「魂の演奏」

オスカー・ピーターソンは僕のお気に入りのピアニストの一人です。僕としては、ジャズ・ピアニストとして「テクニック」は最高、アドリブ・フレーズは歌心溢れ、スインギーでポジティブ。

あまりに上手すぎるピアノなので、「上手すぎるから嫌い」などと訳の判らない評価もされてしまう、ジャズ界の伝説のピアニストです。2007年12月、満82歳で、惜しくもこの世を去りました。近年でのジャズ界の最大級の損失でした。

実は長年、年が明けると、オスカー・ピーターソンのピアノが聴きたくなる「癖」があって、今年もその「癖」が出てきました。う〜ん、オスカー・ピーターソンが聴きたい。ということで、今年は晩年のオスカー・ピーターソンを聴き進めることにしました。

晩年のピーターソンを聴くとなると、まず手にするのが、Oscar Peterson『A Night in Vienna』(写真左)。2003年11月21日、ウイーンでの「ベーゼンドルファー」会社設立175周年記念コンサートのライブ音源。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Niels-Henning Orsted Pedersen (b), Ulf Wakenius (g), Martin Drew (ds)。

ピーターソンは、1993年に脳梗塞で倒れた。歩く事が出来なくなるほどの状態だったが、リハビリを重ね、 その後、まだ左手が不自由ではあったが、再びピアノを弾けるようになった。そして、この『A Night in Vienna』は、2007年12月に鬼籍に入る3年前の、ピーターソン晩年の「魂のパフォーマンス」の記録である。

リハビリを重ねて、再びピアノが弾けるようになったとは言え、ピーターソンの左手は往年の輝きを取り戻せてはいない。左手はシンプルにベースラインを抑えるのみ、まだまだ動く右手で演奏全体のドライブ感をカバーする。アート・テイタムを越えたと言われ、縦横無尽に鍵盤を弾きまくった、元気な頃のピーターソンの面影は霞んではいる。
 

Oscar_peterson_vienna

 
しかし、それに引き替えるかの様に、陰影のある、響きと歌心を前面に押し出した、ロマンティシズム溢れる、印象派のようなピアノが芳しい。3曲目の「When Summer Comes」などがその好例だ。ピーターソンの人生の重みを感じさせる名演である。ちょっと心がメランコリックなら、思わず落涙してしまいそうな「儚さ」。

そして、ラストの「Hymn To Freedom」が感動的だ。邦題「自由への讃歌」。米国黒人の公民権運動に呼応して、ピーターソンが書いた、ピーターソン唯一の思想の入った「革命歌」だ。しかし、公民権運動のリーダー、キング牧師が暗殺されて以来、身の危険を感じ、公民権運動に失望して、ピーターソンはこの曲を演奏することが無くなった。

しかし、ここでその「Hymn To Freedom」をフルコーラスで切々と演奏する。これが実に良い。これが実に心に沁みる。もともと、この曲は1962年の名盤『Night Train』のラストに収録されている「大のお気に入り曲」なのだが、この晩年のピーターソンの人生の重みを感じさせる、陰影のある、響きと歌心を前面に押し出した、ロマンティシズム溢れるピアノで、切々と演奏されると、もうこれは「感動の名演」である。

往年のバリバリ弾き進めるピーターソンはここにはいない。しかし、伝説の名ジャズ・ピアニスト、ピーターソンは、陰影のある、響きと歌心を前面に押し出した、ロマンティシズム溢れる、印象派のようなピアノの響きと共に、しっかりとここに居る。テクニックを超えた「魂の演奏」というのは、この『A Night in Vienna』での演奏のことを言うのだろう。

やはり、オスカー・ピーターソンは素晴らしい。彼はジャズ・ピアノについては、エンターテインメント性を前面に据えたが、どうして、こうやって彼の生前の成果を聴き直してみると、エンターテインメント性と同じくらいに、アーティスティックな面を備えていることに感動を覚える。素晴らしい伝説のピアニストでした。

 
 

震災から3年9ヶ月。決して忘れない。まだ3年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2015年1月 4日 (日曜日)

風邪の床で新年一番に聴いた盤

やっとのことで、明けましておめでとうございます。今年も、我がバーチャル音楽喫茶『松和』をよろしくお願いします。1月2日から再開の予定が、この4日になってしまいました。

というのも、昨年の暮れの29日から体調が悪化、以来、咳が激しく熱が上がったり平熱に戻ったり。熱は最高でも37.7度で、症状的にインフルとは異なりましたが、30日から一昨日の2日までは発熱が引かず、難渋しました。やっと昨日、一日通じて平熱に下がりましたが、振り返れば、満5日間、伏せっていたことになります。体力的にも精神的にも疲れました。
 
しかし、伏せってたおかげで、CDは結構な枚数を聴くことが出来ました(笑)。日頃、なかなか聴くことが出来ないアルバムを、しこたま積み上げて順番に聴いていました。風邪での発熱は辛かったですが、これはこれで、なかなか良かったです(笑)。
 
そんな中で、新年一番に聴いたアルバムが、Keith Jarrett『The Carnegie Hall Concert』(写真左)。2005年9月26日、ニューヨークはカーネギー・ホールでのライブ録音になります。内容としては、キースのソロ・ピアノである。
 
このカーネギー・ホールでのキースのソロはそれまでのソロ・パフォーマンスと趣が異なる。CD2枚組の中で、収録されたソロ・パフォーマンスについては、1〜10曲目までは曲名が明確では無く、いつものソロ・パフォーマンスらしく「Part I〜X」と名付けられている。CDの1枚目に「Part I〜V」までが収められ、CDの2枚目に「Part V〜X」を収録。が、趣が異なるのが、「Part V〜X」以降に唐突に続いて演奏される11曲目以降。
 
11. The Good America - 6:47
12. Paint My Heart Red - 8:30
13. My Song - 8:04
14. True Blues - 7:00
15. Time on My Hands (Adamson, Gordon, Youmans) - 7:30
 
 
Keith_carnegie_hall_concert
 
 
キースのソロ・ピアノとしては、実に珍しく、具体的なタイトルが付いている、どころか、自身の以前ヨーロピアン・カルテットで演奏した名曲「My Song」をソロ・ピアノで再演し、ラストでは、スタンダードの「Time on My Hands」を聴衆の目の前でソロ・パフォーマンスしている。
  
もともと、キースのピアノとは、バルトークやストラビンスキー風の、クラシックな雰囲気が濃く漂う、アブストラクトでややフリーな面と、米国のルーツ・ミュージックをベースとした、ゴスペルチックでアーシーな味わいのフォーキーな面の「2面性」が特徴だと思っている。
 
このアルバムでも、CD1枚目から2枚目前半の「Part I〜X」もそうなんだが、バルトークやストラビンスキー風の、クラシックな雰囲気が濃く漂う、アブストラクトでややフリーな面を前面に押し出したソロ・パフォーマンスは多く出た。これがまあ、内容的には高尚すぎて、ジャズ者の方々にはちょっと重荷になっているかと思います。

しかし、ゴスペルチックでアーシーな味わいのフォーキーな面を前面に押し出したソロ・パフォーマンスはなかなか出てこない。が、この『The Carnegie Hall Concert』のCD2枚目の後半で、その「ゴスペルチックでアーシーな味わいのフォーキーな面を前面に押し出したソロ・パフォーマンス」がドバーっと出てくる。

キースのソロ・パフォーマンスにしては、どういう風の吹き回しなのかは判らないが、キースのソロ・パフォーマンスの「2面性」がしっかり出ていて、このCD2枚組は実に良い内容に仕上がっていると思う。キースのソロ・パフォーマンスの原点に立ち戻ったような『The Carnegie Hall Concert』。新年一番に聴くに相応しいアルバムだと思いました。これも年末年始に寝込んだお陰で、「風邪さまさま」ですね(笑)。

僕も今年は、ジャズ者の原点に立ち戻って、一層、ジャズ盤と70年代ロックそして、70年代Jポップのコレクションを充実させていきたい、と思っています。今年もよろしくお願いします。
 
 
 

震災から3年9ヶ月。決して忘れない。まだ3年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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