Xmasの季節のユーミン盤です
1970年代から80年代前半のユーミンのアルバムには、季節性を感じさせる名曲が多数収録されていて、これがそれぞれに絶品。それぞれの曲を聴けば、その曲の中で唄われる季節を感じ、その季節の雰囲気を追体験する。特に、その歌詞の世界は絶品であり、この時代のユーミンは「詩人」であった。
さて、今年もそろそろXmasである。最近はテレビや商店街での派手なXmasイベントや装飾が控えめになって、意外と静かな年の瀬である。僕としては好ましいことで、Xmasの季節は厳かに過ごして然るべきだと思っている。
さて、このXmasのシーズンになると、必ず聴きたくなるユーミンのアルバムがある。バリバリに季節性を感じさせる名曲「ロッヂで待つクリスマス」が冒頭に入っている、そのアルバムとは『流線形’80』(写真左)。
結婚を機に一旦活動を停止、1978年3月に『紅雀』で、荒井由実から松任谷由実に名前を変えてカムバックしたユーミンが、8ヶ月という短期間でリリースした、松任谷由実名義のアルバムとしては2枚目の『流線形'80』。
アルバム全体の雰囲気としては、ユーミンとしては絶好調とは言い難い内容ではある。日本の新しい感覚のポップスもあれば、意外と俗っぽい歌謡ポップス調の曲もある。どちらの方向に行こうとしているのか、よく判らないアルバムではある。
しかし、この「日本の新しい感覚のポップス」の類の曲は絶品である。「真冬のサーファー」は、山下達郎がバック・コーラスに参加した絶品。山下達郎アレンジのコーラス・ワークは渾身の出来である。このコーラス・ワークはそれまでの日本には無かったものだ。
「入り江の午後3時」は、軽快なポップス・ソング。この穏やかな軽やかさは米国には無い。日本ならではの穏やかな軽やかさ。暖かい日だまりの様な軽やかさ。ユーミンの面目躍如な名曲。「かんらん車」は、世田谷・二子玉川園の観覧車をモデルにした、雪も舞う寒い冬に独りで閉園前の観覧車に乗るという、まさにユーミン・ワールド。
そして、このXmasのシーズンを彷彿とさせるユーミンの名曲が「ロッヂで待つクリスマス」。これはどこから聴いても名曲。明らかに、このXmasのシーズンにぴったりの、聴けばこのXmasシーズンを必ず思い出させてくれる名曲中の名曲である。
逝った人たちへの「レクイエム」が心に沁みる。とにかく歌詞の世界が絶品である。アレンジも厳かでしみじみとしていて絶妙。
小さなつむじ風が 尾根をかけ降りるたびに 縞模様広がる
月のゲレンデ 夢を見るように 私はガラスにほほよせる
ゲームにはしゃぐ人も 炎を見ていた人も いつか表に出て
熱のある日は 部屋に残された 子供の私が蘇り座ってる
君の君の声のこだま追いかけ 窓もドアも越えて 心は滑る
やがて響きわたる 花火の音を ロッヂで待つクリスマス
ライトアップされた図書館脇のクリスマス・ツリーを眺めながら、聖歌隊の賛美歌を聴きつつ、遠い空の下にいる人のことを慮りながら、しみじみとその季節感を噛みしめていた学生時代を思い出す。さあ、あと4日でXmasイブ。
震災から3年9ヶ月。決して忘れない。まだ3年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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