World Music系のXmasジャズ
12月も10日になる。今年は寒い。既に真冬の寒さがやって来ている。昨年も実感したんだが、マスコミもお店も、あまりクリスマス、クリスマスと騒がなくなった。良いことだ。でも、華やいだところが無くなって、ちょっと寂しくなったか。
さて、ジャズのXmas盤の特集である。今日はこれ。Al Di Meola『Winter Nights』(写真左)。1999年10月のリリース。アル・ディ・メオラの初のクリスマス・アルバム。このアルバムのメンバー構成は通常の構成とは違っている。
基本構成がギター+バンドゥーラ+パーカッション。普通のジャズの様に、ドラムとベースのリズム・セクションがバックにあって、という感じではないので、ちょっと肩すかしをくらいますが、これはこれで、優しい響きが素敵で良い。
ちなみにパーソネルは、Al Di Meola (cajon, dumbek, ac-g, harp, key, mixing, perc, tambur), Roman Hrynkiv (bandura), Hernan Romero (ac-g, mixing, perc, shaker)。このローマン・フリンキフの弾くバンドゥーラという楽器の存在がユニーク。
この楽器バンドゥーラについて、その由来がややこしい。シュメールで「パントゥーラ(pantura)」、ギリシアで「パンドゥーラ(pandura)」と呼ばれた。後に1502年、イギリスで考案された金属弦の低音用弦楽器も「パンドーラ(pandora)」と名付けられた。この楽器は18世紀にはすたれたが、ウクライナでは東方の楽器と結びつき、民族楽器「バンドゥーラ(bandura)」として今日まで残っている。
このバンドゥーラの多弦ギターというか、ハープというか、硬質な弦の和音の響き。ちょっとオリエンタルな心地よい響きをバックに、アル・ディ・メオラがアコースティック・ギターで、その卓越したテクニックを駆使して、クリスマスにまつわる楽曲を弾きまくる。弾きまくるといっても、ホットに弾きまくるのでは無い。あくまで、クリスマスよろしく、厳かに敬虔なタッチで弾きまくる。
まあ、モダン・ジャズって感じの演奏では無いし、聴き応えのあるフュージョンって感じでもないです。敢えて言うなら、アコースティック・ジャズ・ギターをフューチャーしたワールド・ミュージックって雰囲気です。少なくとも、メインストリームなジャズでは無い。
サイモン&ガーファンクルの名曲「Scarborough Fair」や「Have Yourself a Merry Little Christmas」などのXmasの定番ナンバーなどがフィーチャーされていて、聴いていて楽しい。
このXmasシーズンにずっと部屋に流しておくと、なかなかに心地良いアルバムです。ポピュラーな名曲を織り交ぜている割に甘きに流されず、硬派で適度なテンションを保っている所はさすがです。
時には、ベース+ドラムという従来のリズム・セクションを離れて、ワールド・ミュージック系の雰囲気に身を委ねるのも良いものですね。
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