« 新生・四人囃子のポップなプログレ | トップページ | 初期の傑作、グリフィン入門盤です »

2014年12月 3日 (水曜日)

この盤でのモブレーは無敵である

誰が呼んだか「ハンク・モブレー3部作」。ハンク・モブレー(Hank Mobley)のブルーノート4000番台の3枚のアルバム。『Soul Station(BLP 4031)』『Roll Call(BLP 4058)』『Workout(BLP 4080)』の3枚。これを人は「ハンク・モブレー3部作」と呼ぶ。

ブルーノートの4031番『Soul Station』は、2014年11月20日のブログ(左をクリック)でご紹介した。今日はブルーノートの4080番『Workout』をご紹介したい。『Workout』は1961年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Hank Mobley (ts), Wynton Kelly (p), Grant Green (g), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。

主役のモブレーは、人見知りであり、緊張するタイプであったそうだ。演奏する環境が本人の気持ちにピッタリ合えば、素晴らしいブロウを披露するが、演奏する環境が本人の気持ちに合わなければ、萎縮し弱々しいブロウに早変わり。彼のブロウを記録する側のプロデューサーからすれば、とにかく扱いに難しいジャズメンであった。

ブルーノートの総帥、プロデューサーのアルフレッド・ライオンは考えた。モブレーの気持ちをリラックスさせ、ポジティブにさせる環境とは何か。その答えのひとつが、この『Workout』のパーソネルにある。

ベースのチェンバースとドラムのフィリージョーは旧知の仲。様々なセッションで一緒に演奏し、気心も知れている。恐らく、モブレーにとって一番のリズム・セクションであろう。そして、ピアノのウィントン・ケリーも旧知の仲。特に、モブレーがマイルス楽団で苦労している時、ケリーは影になり陽向になり、モブレーをサポートした。
 

Hank_mobley_workout

 
加えて、同じフロント楽器として、ギターのグラント・グリーンを選んだ。同じフロント楽器でも、優しく柔らかなブロウが個性のモブレーのテナーを凌駕する、溌剌とした音の大きいトラペットや同じ系統の楽器、テナー・サックス、アルト・サックスは、モブレーとは相性が悪い。しかし、ギターは良い。モブレーのテナーと音の個性がぶつからない。

このプロデューサーのライオンの思惑は当たった。この『Workout』を聴けば良く判る。モブレーは溌剌とプレイしている。特に、ワンホーンの傑作と言われ、ワンホーンだからこそ、モブレーは溌剌とプレイしていると評価されている『Soul Station』よりも、もブレーは溌剌とシッカリとした音で、テクニック豊かにブロウしている。

これだけ溌剌としてポジティブなブロウを披露するモブレーは無敵である。無敵のモブレーは、優れた自作曲でまず素晴らしい個性を発揮する。この『Workout』に収録された4曲の自作曲はいずれも優れた出来であり、モブレーのブロウは申し分無い。加えて、硬質のパキパキなシングルトーンが個性のグリーンのギターも実に良い味を出している。

そして、その自作曲に輪をかけて素晴らしいブロウを披露してくれるのが「The Best Things in Life Are Free」と「Three Coins in the Fountain」の2曲のスタンダード曲。これが実に良い出来だ。歌心豊かにモブレーがテナーを吹き上げ、パキパキな硬質ギターのグリーンが、そんなモブレーをしっかりとサポートするように弾き上げていく。

「ハンク・モブレー3部作」中の一枚、ギターとの双頭フロントの『Workout』。プロデューサーのライオンの思惑どおり、モブレーは素晴らしいブロウを披露した。この『Workout』でのモブレーのテナーは無敵である。
 
 
 
★震災から3年8ヶ月。決して忘れない。まだ3年8ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 新生・四人囃子のポップなプログレ | トップページ | 初期の傑作、グリフィン入門盤です »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: この盤でのモブレーは無敵である:

« 新生・四人囃子のポップなプログレ | トップページ | 初期の傑作、グリフィン入門盤です »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年8月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー