ルーさんのアルトの本質を感じる
ルー・ドナルドソンはブルーノートの看板アルト・サックス奏者である。日本ではあんまり人気が無い。おそらく、アルト・サックスと言えば「チャーリー・パーカー」が絶対と信じて疑わない、1960年代から1970年代のジャズ評論家のお陰だと思う。歌心があってポップで聴き易いルーさんのアルトは「俗っぽい」。
しかし、そんな評価は気にすることは無い。ジャズの場合、まずは自分の耳で聴いてみること。ジャズ評論家の評価は参考程度に留めておけば良い。まずは自分の耳で感じること。そして、ルーさんのアルトの本質を感じることが一番。そんなルーさんのアルトの本質を感じることが出来るアルバムがこれ。『Lou Donaldson Quartet Quintet Sextet』(写真左)。ブルーノートの1537番。
カルテットのパーソネルは、Lou Donaldson (as), Horace Silver (p), Gene Ramey (b), Art Taylor (ds)。1952年6月20日の録音。
クインテットのパーソネルは、Blue Mitchell (tp), Lou Donaldson (as), Horace Silver (p), Percy Heath (b), Art Blakey (ds)。1952年11月19日の録音。
セクステットのパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Matthew Gee (tb), Lou Donaldson (as), Elmo Hope (p), Percy Heath (b), Art Blakey (ds)。1954年8月22日の録音。
いずれの演奏もアレンジはビ・バップのアレンジの域を出ていない。しかし、演奏の雰囲気はハード・バップに近い。そんな中で吹き上げるルーさんのアルト・サックスは、既に歌心満点でポップで聴き易い。ビ・バップの様に決してテクニック優先に走らない。聴き手を意識し、演奏を聴いて貰うという意識で吹いているのだろう。その辺がビ・バップの演奏とは一線を画する。
ルーさんは、ブルーノートの総帥、プロデューサーのアルフレッド・ライオンがルーさんをスカウトする時、「パーカーの様に吹けるか」と訊いたそうだ。ルーさんは「もちろん」と応えた。しかし、ルーさんは、パーカーの様な音色ではあるが、ルーさんはルーさんならではの個性でアルトを吹いた。
ルーさんのアルトは、パーカーの様な音色ではあるが、パーカーと同様、テクニックも優秀ではあるが、パーカーの個性をコピーした様には吹かない。この辺にルーさんの矜持を強く感じる。ルーさんはプロである。さすが、聴かせてなんぼ、のプロのジャズメンである。
このカルテット、クインテット、セクステットの3つの編成で演奏するルーさんであるが、どの編成でも歌心があってポップで聴き易いルーさんのアルトは全く変わらない。これが素晴らしい。己の個性をしっかりと理解し、しっかりと表現する。ルーさんのアルトは聴き心地満点。僕はこのアルトがお気に入りだ。
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