1970年代マクラフリンの総決算
エレ・マイルスから現れ出でた、自由度の高い、ハイテクニックでジャズ・ロックなエレギ。ジョン・マクラフリンである。この人のエレギは凄い。とにかくテクニックがもの凄い。そして、音色のバリエーションが凄い。そして、出てくるフレーズの自由度が相当に高い。アル・ディ・メオラと並んで、ジャズ・ロックなエレギの最高峰。
そんなマクラフリンの1970年代の演奏活動の総決算的なアルバムがある。John Mclaughlin『Electric Guitarist』(写真)である。1978年のリリース。前半3曲はマクラフリンともう一人のソロイストを中心としたセッション。後半4曲はクァルテット、トリオ、デュオと1曲ごとにメンバーが減っていき、最後にマクラフリンのソロで締めるという構成。
この構成を見ても、このアルバムは、1970年代のマクラフリンの総決算的な位置づけのアルバムということが言える。様々な表現を駆使するマクラフリンを聴くことが出来て、とにかく、マクラフリンの凄さが思いっきり体感できる。
参加ミュージシャンが凄い。冒頭の「New York On My Mind」は、マクラフリン的にハードで捻くれてはいるが、意外とソフト&メロウなフュージョン・テイストのミディアム・テンポが心地良い演奏。Stu Goldbergのキーボード、Billy Cobhamのドラム、Fernando Saundersのベースが効いている。新旧マハビシュヌ・オーケストラが合体したような布陣が凄い。
2曲目は「Friendship」は、サンタナ・バンドと後期マハビシュヌ・オーケストラが合体した様な演奏が凄い。サンタナ・バンドのTom Costerのオルガンが鍵。サンタナのロックなエレギとマクラフリンのジャズ・ロックなエレギは相性が良い。
3曲目は「Every Tear From Every Eye」。これはズバリ、フュージョンな演奏。アルトのDavid Sanbornの参加が効いている。フュージョンの雄、サンボーンに触発されたマクラフリンのフュージョン。この音が1980年代のマクラフリンの音のベースになる。
4曲目の「Do You Hear The Voices You Left Behind?」。これが凄い布陣。Chick Coreaのキーボード、Stanley Clarkeのベース、Jack DeJohnetteのドラム。そこにマクラフリンのエレギ。なんじゃ〜、この豪華で一期一会な布陣は。デジョネット、クラークが叩き出すトロピカルなリズムに乗って、マクラフリン全開。後半、コリアが乱入。凄いなあ。
5曲目の「Are You The One? Are You The One?」は、ドラムにTony Williams、ベースにJack Bruce。初期のライフタイムを再現した布陣。エレ・マイルスに参入していた頃の、マクラフリンのアブストラクトなフレーズが懐かしい。
そして、6曲目の「Phenomenon: Compulsion」が良い。マクラフリンとBilly Cobhamのドラムとのデュオなんだが、これが素晴らしい。このデュオの演奏でのマクラフリンが、このアルバムの中で一番テンションが高い。さすが、マハビシュヌの推進エンジンの二人。凄まじい凄まじい。
そしてそして、ラストのジャズ・スタンダード曲「My Foolish Heart」は、マクラフリンのソロ。これがまあ、やっぱりマクラフリンって、ジャズ・ギタリストなんやなあ、と心から思わせてくれる。マクラフリンの個性を最大限に振りまきながら、唄うようにエレギを弾き上げていく。
当時、マイルスはマクラフリンのプレイを「far in(奥深い)」と表現した。彼のエレギを高く評価していたのだ。そのエピソードが良く理解出来る、1970年代のマクラフリンの総決算的アルバムである。
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こんばんは、お邪魔いたします。
久しぶりに。
最近、あまり激しいのは、体力的にキツくなってきましたが
やっぱり聴きたくなるんですよね。
70年代に育った世代の我々は。
ブレッカーブラザーズなんかはまだ時々聞いています。
このアルバムは実は聞いていません。
体力持つかな。
投稿: jamken | 2014年12月14日 (日曜日) 18時52分