柳ジョージ&レイニーウッドの傑作
ジャズの合間の「耳休め」に、1970年代のJポップを聴く。今日は和ロック。柳ジョージ&レイニーウッドである。ベースは英国ブルース・ロックとスワンプ・ロック。そこに、R&Bなテイストを織り交ぜた音は、日本の中では唯一無二。バンドの演奏レベルも高く、玄人受けする「大人のロックバンド」だった。
僕は、この柳ジョージ&レイニーウッドがお気に入りで、彼らのデビュー・アルバムが『Time in Changes』が1978年2月のリリース。僕がちょうど大学に入った年で、このデビュー盤に収録されていたシングル曲「酔って候」が痛く気に入り、柳ジョージ&レイニーウッドを追いかけることになった。
1978年にデビュー・アルバムをリリース、1981年に解散しているので、まさに僕の大学時代、まったくのリアルタイムで聴きこんだ日本のロックバンドのひとつで、解散から33年経った今でも、柳ジョージ&レイニーウッドのアルバムは、ジャズのアルバム鑑賞の合間の「耳休め」として今でもよく聴く。
そんな柳ジョージ&レイニーウッドの最高傑作と言えば、1980年7月にリリースされた『Woman and I... OLD FASHONED LOVE SONGS』(写真)だろう。柳ジョージ&レイニーウッドがアトランティック・レーベル移籍後にリリースした通算5作目のオリジナル・アルバム。その内容たるや、柳ジョージ&レイニーウッドの集大成とも言える、バンドの個性満載の秀作である。
発売当時、LP2枚組のボリューム。これだけのボリュームのアルバムであれば、収録曲の数曲は内容の伴わないものや趣味性が高い凡作だったりするものなのだが、この『Woman and I...』は捨て曲は全く無し。いずれの収録曲もその出来は上々で、当時の柳ジョージ&レイニーウッドのバンドとしての実力の高さが窺い知れる。
とにかく収録曲が良い。サム・クックのカバー「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」で幕を開けるところが「渋い」。柳ジョージのボーカルの魅力満載。スモーキー・ロビンソン&ミラクルズのカバー「ユーヴ・リアリー・ガッタ・ホールド・オン・ミー」でR&Bテイストの魅力全開。
カバー曲の魅力はまだまだある。ロック・ワルツなアレンジが思いっきり秀逸な「テネシー・ワルツ」。エディ・フロイドの「634-5789」のカバー、この『Woman and I...』は、柳ジョージ&レイニーウッドが手掛ける、様々なR&B系の名曲のカバー曲の出来が秀逸なのだ。バンドとしてのオリジナリティを損なうこと無く、原曲の魅力もしっかり伝える柳ジョージ&レイニーウッドの演奏力と表現力には脱帽である。
オリジナル曲も負けずに秀逸。柳ジョージ&レイニーウッドのファンであれば、イントロのシンセのメロディーを聴くだけで落涙もののバラード名曲「青い瞳のステラ、1962年夏…」、男気溢れる柳ジョージのボーカルが冴え渡る「娘よ…」、僕達の大学時代のオールディーズな雰囲気を彷彿とさせて、思わず目頭が熱くなる「ハーバー・フリーウェイ」そして「アフリカの夢」、ゴスペルチックなコーラスが圧巻の「一羽の鷹」、柳ジョージのダンディズム溢れるボーカルが炸裂する「ブライト・ライト・イン・ザ・シティ」。
こうやってこのアルバムを聴き直せば、この柳ジョージ&レイニーウッドは、日本の音楽シーンの中で、絶対的な個性を振りまいた、唯一無二なロックバンドだったことが判る。特に、日本語で歌うロックは圧巻で、英国ブルースとスワンプ、そしてR&Bのエッセンスを上手く織り交ぜたアレンジと共に、日本語ロックの素晴らしい成果として、今の耳にも新しく響く。
日本語ロックの秀作です。当時、日本語はロックに合わない、日本語はロックに乗らない、などと悲観的な評価を展開していた評論家達を軽く笑い飛ばしてしまう様な、柳ジョージ&レイニーウッドのパフォーマンス。今でも胸がすく思いです。
震災から3年7ヶ月。決して忘れない。まだ3年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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