ジャズメンは初リーダー作で決まる
ジャズメンの個性や特質は初リーダー作を聴けば良く判る。初リーダー作で個性や特質について印象に残らないジャズメンは生き残ることは出来ない。ジャズメンに大切なのは個性であり特質である。ジャズメンは「個人商店主」なのだ。ジャズメンは「個」の力が絶対である。
ロックバンドの様に、ルックスや音楽性に着目してレコード会社がデビューさせてくれて、グループで練習を積んで経験積んで、アルバムを重ねて個性が形作られ、特徴が出てくるといったゆるやか感じでは、ジャズの世界では生きてゆけない。ロックは「グループ」で勝負するが、ジャズは「個」で勝負する。
ロックの世界ではファーストアルバムって、意外と代表作にはならない。第2作目から第3作目に代表作が来ることが多い。しかし、ジャズの世界では、ジャズメンの個性と特質については、絶対に初リーダー作だ。初リーダー作で表現された個性と特質は、一生、そのジャズメンの個性であり特質である。
例えば『Johnny Griffin』(写真左)。小柄な体格ながら豪快に吹き上げるテナーが個性のジョニー・グリフィンが、地元シカゴで録音した記念すべきデビュー作。1958年のリリース。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Junior Mance (p), Wilbur Ware (b), Buddy Smith (ds)。
この初リーダー作にして、ジョニー・グリフィンの個性が全開である。さすがに少し硬さを感じるものの、豪快に余裕を持って吹き上げるテナーはジョニー・グリフィンそのもの。冒頭の「I Cried For You」を聴くだけで、このテナーはグリフィンと判る。それほどまでに、この初リーダー作に、グリフィンの個性と特質がギッシリと詰まっている。
初リーダー作なんで、まだユーモアを交えて余裕綽々というブロウでは無いが、初々しくて溌剌としていて、豪快に吹き上げるテナーはまさに「リトル・ジャイアント」。栴檀は双葉より芳し、というが、優れたジャズメンは皆そんなものだ。優れたジャズメンは「初リーダー作」より個性と特質が芳し、である。
グリフィンがNYに出る直前のシカゴでの録音とのことだが、内容的にはしっかりとハードバップしていて聴き応えがある。シカゴの録音ではあるが、ピアノのジュニア・マンス、ベースのウィルバー・ウェア、ドラムのバディ・スミスと充実のリズム・セクションがバックに控えて、実に内容の濃いハードバップ演奏が展開されている。
良いアルバムです。グリフィンを愛でるには、この初リーダー作はマストアイテムでしょう。ちなみに、この盤のジャケットは『カンガルー・スプリットパック』とかで言う真ん中から左右に分かれる変則ジャケットです。僕は紙ジャケで再現されたジャケットを持っていますが、扱いにくいことこの上無しです(笑)。LPサイズではもっと扱いにくかったんだろうなあ(笑)。
でも、この変則ジャケットも個性と言えば個性。ジョニー・グリフィンの初リーダー作は内容からジャケットまで充実の一枚です。
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