Eric Dolphy in Europe, Vol.2
エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)は、早逝の天才アルト奏者。1928年6月生まれ、1964年6月に鬼籍に入っているので、享年36歳になる。ジャズ・ミュージシャンとしてはこれからという年齢である。まことに惜しい早逝の天才であった。それでも、ドルフィーはまずまずの数の音源を残してくれているので助かる。
そんなエリック・ドルフィーを体感するには、どのアルバムが適当なのか。僕は『Eric Dolphy in Europe』シリーズを挙げる。vol.1からvol.3までの3枚で構成される『Eric Dolphy in Europe』シリーズ。このライブ音源が、エリック・ドルフィーとは如何なるジャズメンなのか、を教えてくれる。
さて、今日は『Eric Dolphy in Europe, Vol.2』(写真左)。昨日のVol.1に続いて、1961年9月6日、コペンハーゲンでのライブ音源。ちなみにパーソネルは、Eric Dolphy (as,fl), Bent Axen (p), Erik Moseholm (b), Jorn Elniff (ds)。ベースは、Vol.2では、Erik Moseholm一人が務める。リズム・セクションは当時のデンマークを代表するジャズメン達。
このVol.2でも、アルトのドルフィーはまだ出てこない。冒頭「Don't Blame Me」「Don't Blame Me (take 2)」の2連発はフルートのドルフィー。Vol.1のフルートとはちょっとイメージが異なった、エモーショナルで少しフリーキーなアドリブが展開される。ここで、ドルフィーの持つ個性である、アブストラクトで捻くれたフレーズが顔を出す。が本格的では無い。
この冒頭の「Don't Blame Me」2連発を聴いて思うのは、ドルフィーは本当にフルートが上手いということ。これだけ、ピッチがばっちり合っていてストレートで端正な、エネルギッシュで疾走感溢れるジャズ・フルートはなかなか無い。それでも、ジャズ紹介本で、優れたフルート奏者としてドルフィーが紹介されることはほとんど無い。不思議なことだ。
そして、3曲目の「The Way You Look Tonight」から、いよいよ本職のアルトのドルフィーが炸裂する。この「The Way You Look Tonight」は親しみ易い旋律を持った楽曲なので、ドルフィーも挨拶代わりに意外と端正に吹いているのだが、4曲目の「Les (Miss Ann)」からラストの「Laura」にかけて、ドルフィー節が一気に炸裂する。
ドルフィーのアルトが縦横無尽に虚空の空間を駆け巡る。アドリブ・フレーズはピッチが少し外れての堂々の捻れ方。アブストラクトで複雑なフレーズを織り交ぜつつ、らせん状に捻り上げていくドルフィーのアルト。疾走感と飛翔感がない交ぜになった、幾何学的にフリーキーなインプロビゼーションが凄まじい迫力。
この『Eric Dolphy in Europe, Vol.2』では、ドルフィーはフルートも良いけど、やっぱりアルトがスゲーや、と心から感心するライブ盤である。スゲーのですが、このライブ盤でのドルフィーのアルトはまだまだ大人しい。ドルフィー者の僕にとっては物足りない。逆に、このVol.2のドルフィーのアルトが「どうもな〜」と感じる方は、他のドルフィーのアルバムは聴けないと思う。
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