ハードバップな演奏がてんこ盛り
2週連続の台風が去って、今日はグッと冷え込み始めた。今日の夕方なんぞ、ひんやり冷や冷や、涼しいの何のって。というか、ちょっと寒い。秋たけなわ、秋が進むにつれて、ジャズ鑑賞にピッタリの季節になった。芸術の秋、ジャズの秋である。
ジャズというジャンルの音楽の雰囲気をダイレクトに判り易く伝えてくれるジャズ演奏のスタイルが「ハードバップ」。ジャズの王道といってもいい演奏スタイルである。ハード・バップは1950年代半ばから60年代に隆盛を極めた演奏スタイルで、中心となったのはニューヨークの音楽シーン。
ジャズも音楽なので、同じスタイルの演奏を聴き続けると「飽き」が来るわけだが、このハードバップという演奏スタイルは、その演奏表現のバリエーションが豊かで、そのバリエーションの豊かさに加えて、演奏ミュージシャンの個性が加わると、様々なニュアンスの演奏が百花繚乱となって、なかなか「飽き」が来ない。
とまあ、ジャズを聴こう、ジャズを聴くぞ、となると、まず聴きたくなるのは「ハードバップ」となってしまいますね〜。ということで、芸術の秋、ジャズの秋は、とりあえず「ハードバップ」で、ということになりますなあ。ということで、今日のハードバップ盤はこれ。
トランペットのアート・ファーマー(Art Farmer)とテナー・サックスのベニー・ゴルソン(Benny Golson)の双頭リーダーのバンド、ジャズテットのデビュー盤『Meet the Jazztet』(写真左)。1960年2月の録音。パーソネルは、Art Farmer (tp), Benny Golson (ts), Curtis Fuller (tb), McCoy Tyner (p), Addison Farmer (b), Lex Humphries (ds)。
冒頭の「Serenata」から、ラストの「Killer Joe」まで、何から何までハードバップ。ハードバップって、どんな雰囲気な演奏なんですか、と訊かれたら、このアルバムを取り出すことが良くある。それほどまでに、このアルバムには、良質のハードバップな演奏がギッシリと詰まっている。
加えて、サックスのベニー・ゴルソンは編曲家としても有名。彼の編曲スタイルは「ゴルソン・ハーモニー」と呼ばれ、その独特な個性のユニゾン&ハーモニーは、一聴すると直ぐにそれと判るほどの個性的で心地良い響きである。このアルバムの演奏の中に、要所要所でこの「ゴルソン・ハーモニー」が織り込まれ、この「ゴルソン・ハーモニー」が、ハードバップの香しさが増幅されるのだ。
ファーマーのペット、ゴルソンのテナー、フラーのボーンの3管の「ゴルソン・ハーモニー」は見事。この3管それぞれのアドリブ・ソロも見事。ファンクネスをグッと押さえて、趣味の良いソウルフルでジャジーな響きを振りまいて、鑑賞音楽として実に優れたハードバップ・ジャズを聴かせてくれる。
ハードバップな演奏がてんこ盛りの『Meet the Jazztet』。良いアルバムです。秋たけなわのこの季節にピッタリの、絵に描いた様なハードバップ盤。「ジャズを聴き込む入り口」といってもいい演奏スタイルであるハードバップ。ジャズの王道ですね。
★震災から3年7ヶ月。決して忘れない。まだ3年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« 初リーダー作でプログレッシブ | トップページ | 戸惑うジャズ者、微笑むジャズ者 »
コメント