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2014年10月18日 (土曜日)

怪しげな「ユーラシアの印象」盤

デイブ・ブルーベック・カルテットには「Impression」シリーズという企画盤ものがある。題材となった地域としては、日本とか米国とかニューヨークとかがあるが、一番怪しげな企画盤が、Dave Brubeck Quartet『Jazz Impressions of Eurasia』(写真左)。

まず、ジャケット写真からして「怪しい」(笑)。デイブ・ブルーベックは「パン・アメリカン航空」の回し者か、と思ってしまう。どう見たって、パン・アメリカン航空の宣伝ポスターである(笑)。ブルーベックと一緒に写る女性達は、どう見てもインド系の女性達。このアルバムは1958年7月から8月にスタジオ録音されている。インドにジャズが流行っていたとは思えないのだが・・・。

さて、ジャズの歴史を振り返ってみると、デイブ・ブルーベックは、1958年2月から壮大なツアーに出ている。何が切っ掛けだったかは判らないが、これがまあ壮大なツアーなのだ。英国ロンドンを起点にまずは北欧諸国。続いて、ポーランドに入る。そこから、ソ連には入らず、中東はトルコ、イラン、イラクへと飛ぶ。

ここまで来て、1958年の時代に、ポーランドはともかく、トルコ、イラン、イラクでジャズ演奏することに意義があるのかどうか、ちょっと疑問ではある。それからが凄いというか豪快ですらある。訪問演奏する意義があるかどうかなんてもはやどうでも良い。なんと、中東からインドに飛ぶ。パキスタン、アフガニスタン、セイロン(今のスリランカ)をも訪問し、1958年5月に米国はニューヨークに帰国している。

結局、ユーラシア大陸(欧州+アジア大陸)の諸国14ケ国で80回のコンサートを行ったとある。これはもう、ジャズをメインした外交大使である。しかも1958年、昭和33年の時代である。飛行機での移動もまだまだ、かなり大変だっただろう時代。ブルーベックって凄いんやね、というか偉大ですらある。

この壮大なツアーの移動に貢献したのが、当時の「パン・アメリカン航空(通称パンナム)」。僕達、1950年代生まれには懐かしい、米国の大航空会社である。低価格化競争に敗北し、1991年12月に会社倒産し消滅したのだが、この1958年という時代には、このパンナムの影響力は絶大なものがあった。
 
 
The_impression_of_eurasia
 
  
そんな大航空会社が、恐らく、このブルーベックの壮大なツアーを積極的に支援したと思われる。そのお礼というか見返りに、このパン・アメリカン航空の宣伝ポスターの様なジャケットがあるんだろう、と想像している。

さて、そんな壮大なコンサート・ツアー時に訪れた国や地域の印象をジャズ曲にして取りまとめたアルバムがこの『Jazz Impressions of Eurasia(ユーラシアの印象)』。その収録曲と題材にされた国や地域は以下の通り。

1. Nomad : トルコの遊牧民のこと
2. Brandenburg Gate : 当時東西に分かれていた首都ベルリンの門の名称
3. The Golden Horn はトルコのイスタンブール、 ボスポラス海峡に架かる橋
4. Thank You (Dziekuje) : ポーランド語の「ありがとう」
5. Marble Arch : ロンドンのハイドパークにある演説用のお立ち台
6. Calcutta Blues : 旧英領インドの首都カルカッタ

「ユーラシアの印象」というタイトルなので、エスクックな怪しげな雰囲気の曲や、インド音楽風の怪しげな雰囲気の曲が出てくるのでは無いか、と警戒する向きもありますが、思い切って(笑)聴いてみると、全くそんなことはありません。というか、エスニックな雰囲気やインディアな雰囲気は全く無い。ちょっと物足りない位に、普通の、当時の純ジャズなブルーベック・ジャズでまとめられています。ちょっと拍子抜けする位に、真っ当な純ジャズが展開されています。

当時のブルーベック・カルテットの演奏を愛でるのに最適なアルバムの一枚です。といって、じゃあ、ブルーベック・カルテットを代表するアルバムなのか、と問われればちょっと戸惑ってしまいます。内容は整っていて上質ですが、ブルーベック・カルテットを愛でるのに真っ先に飛びつくアルバムでは無いでしょう。ブルーベック・カルテットのマニア向き。良いアルバムではあります。
 
 
 

震災から3年7ヶ月。決して忘れない。まだ3年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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