グリフィンを再確認する時に聴く
最近、ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)を聴き直している。シカゴ生まれのサックス奏者。1928年4月生まれ。2008年7月、満80歳で惜しくも鬼籍に入った。ニックネームは「リトル・ジャイアント」。グリフィンの身長は170㎝弱で、米国の中では低い方。そんな低い方の背丈で、ダイナマイトの様な大きな音、凄まじいばかりの早吹きテクニックを披露する。ということで、ニックネームは「リトル・ジャイアント」。
グリフィンのテナーは、音は大きく大らか。そして、テクニックは優秀。その速弾きは凄まじいばかり。明朗で明快に吹き上げるテナーはグリフィンの個性。しかし、日本ではあまり人気が無い。
日本ではジャズ・テナーと言えば、コルトレーン、そして、ロリンズ。譲ってモブレー。グリフィンは人気がないなあ。でも、グリフィンのテナーは、コルトレーンを凌駕することは無いにせよ、コルトレーンと同等の力量を持つ。しかもコンスタントにその実力を発揮する、アベレージ・ヒッターである。
そんなグリフィンのテナーの力量が体験出来るアルバムがある。Johnny Griffin『A Blowin' Session』(写真左)。1957年4月の録音。ブルーノートの1559番。スタンダード曲が2曲、グリフィンのオリジナル曲が2曲。グリフィンのリーダー作だけあって、グリフィンが吹きやすい曲を選んでいる。
パーソネルは、Johnny Griffin (ts), John Coltrane (ts), Hank Mobley (ts), Lee Morgan (tp), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Art Blakey (ds)。グリフィン含めて、コルトレーン、モブレーとテナーが3人いる。そう、このアルバムは、テナー3人のテナー・バトルがメインのアルバム。
このアルバムを聴けば、グリフィンのテナーは、まず、コルトレーンと比較して、コルトレーンを凌駕することは無いにせよ、コルトレーンと同等の力量を持つことが良く判る。特に、テクニックはコルトレーンと同等、若しくはコルトレーン以上。特に速吹きは凄い。
このアルバムを通して、グリフィンのテナーを知って欲しい、愛でて欲しい。そんなプロデューサーのアルフレッド・ライオンの気持ちが良く判る。テクニックはコルトレーン以上だよ、って、ライオンは教えてくれているようだ。歌心もあるよ、明朗でユーモラスもあるよ、良いテナーだよ、って、ライオンの親心がビンビンに伝わって来る。
このアルバムはグリフィンをアピールする「比較広告」の様なアルバム。コルトレーンとモブレーには悪いが、このテナー3人のテナー・バトルについては、グリフィンの圧倒的勝利である。逆に、コルトレーンとモブレーは、その場面場面によって、出来不出来の差があるんやなあ、なんてことに気が付いたりする。
そして、溌剌としたトランペットに耳を奪われる。誰だこれ。そう、若かりし頃のリー・モーガンである。加えて、3人のテナーを、それぞれの個性に合わせて鼓舞するブレイキーのドラミングも見事。あれ、ピアノは誰だっけ。そう、ウィントン・ケリーだった。このアルバムでは、ケリーはちょっと地味な存在。
グリフィンって良いな〜、って思う。このアルバムって、グリフィンの「比較広告」の様なアルバム。この盤でグリフィンを愛でることにはならないけれど、グリフィンを知ること、グリフィンとは「お近づき」にはなります。何度も聴きかえすアルバムでは無いけれど、グリフィンを再確認する時に聴くと効果抜群のアルバムです。
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