グルーシンの最初のピークである
フュージョン時代、僕は二人のキーボード奏者がお気に入りだった。この二人は優れたマルチ・キーボード奏者であり、作曲家でありアレンジャーであり、プロデューサーである。その二人とは、ボブ・ジェームス(Bob James)とディブ・グルーシン(Dave Grusin)。
ボブ・ジェームスは高校1年生の頃から、ディブ・グルーシンは大学2回生の頃から。二人については、約35年から40年の付き合いになる。そう思って振り返ると、いや〜長い付き合いやな〜。と言うことで、今日は、Dave Grusin『Out of The Shadows』(写真左)を聴く。
1982年、グルーシン主宰のGRPレーベルからのリリース。1977年の『One of a Kind』から、フュージョン・ジャズまっしぐら。その優れたキーボード・テクニック、その優れた作曲&アレンジ能力、そして、プロデューサーとしての素晴らしいセンス。それらを総動員して『Mountain Dance』という傑作をリリース。
そして、この『Out of The Shadows』は、その傑作の後、グルーシンの最初のピークを捉えたアルバムである。このアルバムには、グルーシンの個性のひとつ、キーボードの特徴的なフレーズ、音の重ね方、アドリブの弾き回し、まず、グルーシンのキーボード奏者としての個性がギッシリと詰まっている。
加えて、シンセサイザーの扱い方が上手い。フュージョン・ジャズの世界で、シンセサイザーを扱わせ、弾かせたら、このグルーシンが一番クールだと僕は思う。このアルバムには、その趣味の良いシンセサイザーのフレーズが要所要所に散りばめている。
そして、グルーシンのコンポーザー&アレンジャーの特徴がギッシリと詰まっている。どの曲も暫く聴いていると、グルーシン作の曲の、グルーシンのアレンジの特徴に出くわす。そして、ああこれはグルーシンの曲だ、グルーシンのアレンジだ、と判りワクワクする。
前作の傑作『Mountain Dance』からはジャジーな感覚は後退して、スムース・ジャズの走りの様な音作りになっているが、聴き易さの中に、グルーシンのキーボード・テクニック、作曲&アレンジ能力、プロデューサーとしての素晴らしいセンスが散りばめられていて、フュージョン・ジャズの成熟した音として、聴き応え十分である。
良いアルバムです。フュージョン・ジャズの完成形のひとつとして、十分に楽しむことができる、実に優れたアルバムだと思います。特に、フュージョン・ジャズのマニアの方にはお勧め。
しかし、このアルバム・ジャケットのデザインだけはなあ。グルーシンの写真がドカッと載っていて、デザインのセンスも何もあったもんでは無い。いかに米国のアルバム・デザインとは言え、いかにフュージョン・ジャズのアルバムとは言え、この凡百なデザインには困った者である。これだけが減点材料(笑)。
震災から3年6ヶ月。決して忘れない。まだ3年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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