初リーダー作でプログレッシブ
ジム・ホールは、相当に個性的なジャズ・ギタリスト。1930年12月生まれ、昨年2013年12月没。満83歳であった。1930年生まれなので、ビ・バップからハードバップの真っ只中に、ミュージシャンとしての若き日を過ごしたことになる。
初のリーダー作が、Jim Hall『Jazz Guiter』(写真左)。1957年1月、ロスでの録音。米国西海岸ジャズとしての録音になる。ちなみにパーソネルは、Jim Hall (g), Carl Perkins (p), Red Mitchell (b)。西海岸のベースの名手レッド・ミッチェルを擁したドラムレスなギター・トリオ(後年ラリー・バンカーのドラムがオーバーダブされた)。
ジム・ホールのギターには甘さが全く無い。ジャズ・ギターでは滑らかでムーディーなフレーズを旨とするスタイルも多々あるのだが、ジム・ホールのギターについては、滑らかでムーディーなフレーズとは全く無縁。ホールは、独特のパキパキと単音で硬質で野太い暖かい音で、滑らかなアドリブ・フレーズを弾き進めていく。
この『Jazz Guiter』というアルバムは、ジム・ホールの初リーダー作であるからして、ジム・ホールのギターの個性は、若かりし頃、このデビュー盤のリリース時は27歳の頃から、独特のパキパキと単音で硬質で野太い暖かい音だった訳。間を活かした枯れた味わいも漂うところなぞ、かなり感覚的には老成していた感もある。
ホールのギターは、独特のパキパキと単音で硬質で野太い暖かい音でありながら、とても気持ち良くスイングする。リズム・キープに回った時も、アドリブ・フレーズを弾き進める時も、ホールのギターはとても気持ち良くスイングする。この気持ち良いスイング感が、ホールの「二つ目の」独特の個性である。
曲もオリジナルは無く、スタンダード・ナンバー・オンリーで、ドラムレスなギター・トリオで弾きまくる。スタンダード曲ばかりの構成なので、とりわけホールのギターの個性が良く判る。原曲のコード進行を上手く活かしたアドリブ・ラインなどは、ホールのギターが意外とオーソドックスなのが判って面白い。
滑らかでムーディーなフレーズに流れがちなジャズ・ギターの中で、このホールの独特のパキパキと単音で硬質で野太い暖かい音は、突出して個性的。これだけパキパキと硬質なジャズ・ギターの音色は他に無い。そして、硬質なのにスインギー。1957年のこのデビュー盤『Jazz Guiter』にして、ホールのギターはプログレッシブですらある。
しかし、アルバム・ジャケットのホールの写真を見て常に思う。ホールは若くして「老成していた」。この風貌を見れば、誰も27歳とは思わないだろう。ホールの間を活かした枯れた味わいも漂うところは、この風貌からくる個性なのかもしれない(笑)。
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