正規盤で「ロスト・カルテット」
基本的に、マイルス・デイヴィスのアルバムについては、海賊盤(ブート)には手を出さない。マイルスのブートは優れたものが多く、しかも、リリースされた数もかなり多い。マイルスのアルバム・コレクションの対象について、数多い正規盤に加えてブートまでも加えたら、とてもでは無いが、通常のサラリーマンでは資金的に困難が伴う。
よって、僕はマイルスについては正規盤にしか、基本的に手を出さない。であるが、この21世紀に入っても、正規盤にてマイルスの初出の音源が出てくるのだから、マイルスの正規盤に絞ったアルバム・コレクションは手がかかるし、全く終わりが無い(笑)。
このMiles Davis『Bitches Brew Live』(写真左)も、その初出の音源を伴った正規盤。前半の1曲目〜3曲目が、正規盤としては未発表音源。1969年7月5日、ニューポート・ジャズ・フェスティバルにおけるライブ音源。ちなみに、パーソネルは、Miles Davis (tp), Chick Corea (el-p), Dave Holland (b), Jack DeJohnette (ds)。「ロスト・クインテット」と呼ばれる伝説のカルテットのうちの4人。Wayne Shorter (ts) がいない。
何が「ロスト・クインテット」じゃ、4人しかいないじゃないか、これじゃ「ロスト・カルテット」だろう、と思われるかも知れませんが、それは正解です。このニューポート・ジャズ・フェスティバルのライブ音源は「ショーター、交通渋滞による遅刻が原因のロスト・カルテット編成」。まあ、確かに「ロスト・カルテット」ですね(笑)。
このニューポート・ジャズ・フェスティバルのライブ音源については、正規盤ではこれが初出。「ロスト・カルテット(クインテット)」の評判通り、凄まじいばかりのテンションとエネルギー。最も尖ったエレクトリック・ジャズのライブ音源のひとつがここにある。超弩級の重さと疾走感を併せもったリズム&ビート。この凄まじい重量感と疾走感を、たった4人のジャズメンで表現するとは、いやはや、凄い面子である。
ちなみに、この1969年のニューポート・ジャズ・フェスティバルとは言え、何とレッド・ツェッペリン、ジェスロ・タル、そしてスライ・アンド・ファミリー・ストーンを呼んでいる。
ジェスロ・タルが7月4日、マイルスが7月5日、レッド・ツェッペリンが7月6日に演奏しているのだ。この他の共演するロック・バンドの音を考えた時、それに負けない、それを凌駕する為にマイルスが考え抜いた音世界が、この「ロスト・カルテット(クインテット)」の演奏である。
そして、この「ロスト・カルテット(クインテット)」に続く6曲は、有名なワイト島フェスティバルでのライブ音源。こちらは初出では無い。かつて、LP/CDでリリースされたこともあったが廃盤状態。現在ではDVDでのみ視聴できる音源となっており、リマスタリングを施してCDとしてリイシューされたこのCDは、これまた、正規盤を中心にコレクションするマイルス者にとっては、これまた貴重な音源として歓迎されるべきものである。
1970年8月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), Gary Bartz (ts, ss), Chick Corea (el-p), Keith Jarrett (el-org), Dave Holland (el-b), Jack DeJohnette (ds), Airto Moreira (per, cuica)。これまた、伝説のチック=キースのツイン・キーボードを擁したエレ・マイルス七重奏団である。
タイトルは『Bitches Brew Live』なんですが、正確には、あのエレ・マイルスの大名盤『Bitches Brew』発表の前後に行なわれたライブの模様を収録したライブ盤です。Miles Davis 『1969 Miles』に続いて、「ロスト・カルテット(クインテット)」のライブ演奏が正規盤で聴ける世の中になりました。長生きはしてみるものですね(笑)。
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