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2014年9月23日 (火曜日)

僕とブラウニーの出会いと相性

長年、ジャズを聴いていると、それぞれのジャズメン毎に「相性」というものがあるなあ、とつくづく思う。

最初の一枚から、なかなかの内容の名盤と出会って、スッとお気に入りのジャズメンになるものもある。しかし、最初の一枚から、なんか「隔靴掻痒」の感があって、なかなかそのジャズメンの音世界に入り込めないものもある。

例えば、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)という、伝説のトランペッターがいる。1956年 6月、満25歳の若さで交通事故に巻き込まれ、逝去している。そのテクニック、音色、フレーズ、いずれをとっても素晴らしく、その早逝が惜しまれる天才トランペッターである。相性は「ブラウニー」。

このブラウニーが、僕にとっては「最初の一枚から、なんか「隔靴掻痒」の感があって、なかなかそのジャズメンの音世界に入り込めないもの」の一人である。

最初の一枚が、Clifford Brown『Study in Brown』(写真左)。1955年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Clifford Brown (tp), Max Roach (ds), Harold Land (ts), Richie Powell (p), George Morrow (b)。伝説のブラウン=ローチ五重奏団の2枚目のアルバムになる。

これぞ、ジャズ・トランペットの教科書的アルバムである。若くして早逝したとは言え、ブラウニーのアルバムはまずまずの数があるが、僕は、このアルバムこそが、ブラウニーの「完璧」を捉えた、圧倒的名盤であると思う。

とにかく、凄いのひとこと。出だしの「Cherokee」から、ラストの「Take the 'A' Train」まで、圧倒的テクニックとずば抜けた歌心、明るいユーモアとウィットに富んだフレーズがてんこ盛り。最後まで聴き終えると、もう「参りました」(笑)。
 

Study_in_brown

 
しかも、このアルバム、ブラウニーの完璧さに加えて、ドラムのマックス・ローチも、ジャズ・ドラマーとして「完璧さ」を追求する職人肌で、ブラウニーとローチの相乗効果で、完璧さの度合いがグッとアップする。
 
そうすると困るのが他のメンバー。ピアノ、テナー、ベース、それぞれが、ブラウン=ローチの完璧さを必死に追いかけるのだ。テナーのハロルド・ランドとのユニゾンの時など、ブラウニーはランドに合わせて、早弾きの速度を加減したりしている様子も見え隠れする感じなのだ。

しかし、この明るく翳りのない、人格も立派なブラウニーの天才的なトランペットを浴びながら、その「ブラウニーに追従する辛さ」を「ブラウニーと演奏できる喜び」に変えて、明るく翳り無く、演奏をインプロビゼーションを展開していくのだ。

このアルバムは、非の打ち所のない「完璧さ」で、聴く者を圧倒する。しかし、この翳りの無い「明るさ」と優等生的な完璧さが、なんだか、疲労感を感じさせるのも事実。

ちょっと崩れたり、ちょっと弱みを見せてもいいのになあ。どうも、ブラウニーは責任感の強い人で、この様なカルテットなどの編成では、他のメンバーの範となるべく、一生懸命、律儀にまじめに演ってしまうのだろうなあ、と思ってしまう。

この辺が、ブラウニーが、僕にとっては「最初の一枚から、なんか「隔靴掻痒」の感があって、なかなかそのジャズメンの音世界に入り込めないもの」の一人である理由である。

でも、ジャズ初心者の方には、安心して勧めることの出来る「入門的名盤」であることは事実です。僕にとっても、今では大好きなジャズ・トランペット盤の一枚です。

 
 

震災から3年6ヶ月。決して忘れない。まだ3年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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コメント

松和のマスター様 こんばんは

 僕もジャズ入門の一枚としてこのアルバムを聴いた覚えがあります。
この辺りは価格もかなり安いですし。
流麗な演奏でスマートなアンサンブルが楽しめるので
とても聴き心地がよかったです。

 今までは感じませんでしたが
改めて聴いてみると
ご指摘の通り
トランペットとドラム以外は大変そうに思えました。
加えて、ブラウンの気遣いも感じることが出来ました。

この記事のおかげで
新鮮にこのアルバムを楽しむことが出来て良かったです。

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