驚愕のアグレッシブなオルガン 『A New Sound-A New Star』
ジャズ・オルガンと言えば「ムーディー」という雰囲気がするが、意外といずれのジャズ・オルガンも「アグレッシブ」である。特に、ジャズ・オルガンの祖である、ジミー・スミス(Jimmy Smith)は、そんな中、とびきりアグレッシブである。1956年2月の録音。
そんな思いっきり尖ったアグレッシブさを感じることができるアルバムがこれ。ジミー・スミスのデビュー・アルバム。ブルーノートの1512番。『Jimmy Smith At The Organ, Vol.1 - A New Sound-A New Star』(写真左)である。
これがまあ、凄まじいばかりのアグレッシブなオルガンなのだ。昔、EL&Pのロック・キーボーディストとして名を馳せたキース・エマーソンが、注目するオルガニストとして、このジミー・スミスの名を挙げていた様な思い出がある。ジミー・スミスのオルガンは凄い、と。攻撃的でハイテクニックで凄い、と。
ふ〜ん、そうなんや、と手にして聴き始めて、冒頭の「The Way You Look Tonight」の前奏からのアグレッシブさにビックリ。真からビックリした。「驚愕」の一言である。もともとこの「The Way You Look Tonight」という曲はムーディーで柔らかい曲である。それを、思いっきりオルガンを弾き倒して、思いっきりアグレッシブな曲に変身させた。
以降、ジミー・スミスのオルガンは、ただただアグレッシブにダイナミックに疾走していく。ピアニッシモからフォルテッシモまで、オルガンの音のダイナミック・レンジが凄く広い。オルガンでこれだけダイナミズムを表現出来るオルガニストはそうそうにいないだろう。
ちなみにこのアルバムのパーソネルは、Jimmy Smith (org), Thornel Schwartz (g), Bay Perry (ds)。オルガンは、オルガンのベースペダル鍵盤または低音の手鍵盤でベースライン弾くことが出来るので、基本的にグループの中にベーシストは存在しない。が、ギター、ドラム共に、知名度の低いミュージシャンである。
あまりにジミー・スミスのオルガンが全面に出て、前に出過ぎるので、ギターとドラムはリズム・キープに徹している。ギターは時にソロを取ることはあるが、それはあまり誉められたソロでは無い。それでも、きっとオルガンのジミー・スミスからすると、この無名に近いギターとベースがジミー・スミスにとっては気心知れた間柄であり、好きにオルガンをプレイしてもトラブルにならない二人なんだろう。
とにかく、このアルバムは、突出した表現力、凄まじいばかりのアグレッシブさ、広大なダイナミックレンジという、ジャズ・オルガンの祖、ジミー・スミスのオルガンを心ゆくまで堪能できるアルバムです。とにかく刺激は強いです。うっかりしていると「やられます」(笑)。
当時、ブルーノート・レーベルお抱えの録音技師、ルディ・バン・ゲルダーは、この広大なダイナミックレンジを誇る、このジミー・スミスのオルガンを上手く録音し、リマスタリングすることが出来なかった。それほどまでにこのジミー・スミスのオルガンのダイナミックレンジは広大なのだ。
そして、このデビュー盤が録音されて1ヶ月半後。1956年3月27日にリベンジの録音をすることになる。いやはや、凄まじきはジミー・スミスのオルガンである。
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