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2014年9月25日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・35

ジーン・アモンズは、米国本国では「テナー・サクソフォン界のボス(The Boss)」とか「ジャグ(Jug)」の愛称で呼ばれるように、かなり人気のあったテナー・サキソフォン奏者であったようである。

確かに、ジーン・アモンズのアルバムをいろいろと聴いてみると、野太いジャズ・テナーでありながら、とても聴いていて楽しいポップなものが多い。加えて、ジャズの流行を捉えた演奏スタイルをさり気なく取り入れていて、その内容は古さを感じさせない、トレンディなものである。

なんで日本ではウケなかったのかなあ。このポップな演奏の存在と、流行のスタイルをさり気なく取り入れた「如才の無さ」が、1960年代〜1980年代の日本人ジャズ者にウケなかった原因でしょうか。当時の日本のジャズ者の方々は、ジャズ・テナーに対しては、生真面目さや求道的な雰囲気が大前提だったからなあ。

ここにジーン・アモンズの遺作がある。Gene Ammons『Goodbye』(写真左)。1974年3月18日の録音。アモンズが亡くなったのは1974年7月23日だから、逝去する4ヶ月前の録音。恐らくアモンズは、このアルバムを録音した時は、4ヶ月後に鬼籍に入るなんて、全く思っていなかっただろう。

ちなみにパーソンネルは、Nat Adderley (cor), Gary Bartz (as), Gene Ammons (ts), Kenny Drew (p), Sam Jones (b), Louis Hayes (ds), Ray Barretto (conga)。 マイルスにも見初められたアルト・サックスのゲイリー・バーツの参加が「とっても違和感」(笑)。他は1950年代後半からのハードバップの強者ジャズメンばかりがズラリと並ぶ。
 

Gene_ammons_goodbye

 
冒頭の「Sticks」が、実にポップで良い。ジャズって大衆音楽の一ジャンルだったよな〜、と思わず思い直す。聴いていて楽しい。そして、音の雰囲気はソウル・ジャズ。しかし、アモンズのテナーとバーツのアルトが、トレンディーな響きでグイグイ迫る。アモンズのテナーなんて、まるで「コルトレーン」(笑)。バーツのフレーズは、モーダルな雰囲気を宿した旋律で、やっぱり「新しい」。

このアルバム、このバーツの参加が大正解で、バーツがアドリブ・フレーズをプププ〜と吹くだけで、新しいジャズの雰囲気が一気に広がる。アモンズもジャズのトレンドを捉えて、コルトレーン風に、はたまた、チャールズ・ロイド風に吹き進めていくのだが、それを凌駕するバーツの新しさ。ジャズって面白い。

意外と、ペットのナット・アダレイやピアノのケニー・ドリューは目立ちません。逆に、リズム・セクションのベースのサム・ジョーンズとドラムのルイ・ヘイズが、ガッチリとリズム&ビートを支えていて、存在感抜群。バレットのコンガも良いアクセント。

冒頭の「Sticks」に続く「Alone Again (Naturally)」が、これまた良い。重厚なテナーで、ややアブストラクトに吹き上げて行く。原曲は、英国のシンガーソングライター、ギルバート・オサリバンの1972年のヒット曲。柔らかでセンチメンタルなバラード曲なんですが、アモンズはなかなか硬派に、旋律を吹き上げていきます。良いです。ニュー・ジャズ・スタンダードの走りですね。

他の曲も充実に演奏で、このアルバムはアモンズの代表盤の一枚に挙げても遜色無い内容です。ラストのタイトル曲「Goodbye」を聴けば、万感な思いがこみ上げてきます。ジーン・アモンズの遺作のタイトルが『Goodbye』とは。思わず、こんなアルバムあったんや、にノミネートさせていただきます。

 
 

震災から3年6ヶ月。決して忘れない。まだ3年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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