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2014年9月 3日 (水曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・33

涼しくなった。もう猛暑に戻ることは無いだろう。涼しい風が吹くと、ハードなビッグバンド・ジャズを聴いても汗をかかなくなる。汗をかきながら聴くビッグバンド・ジャズは辛い。

チャールズ・ミンガス(Charles Mingus)のビッグバンド・ジャズは僕は大好きなのだが、このミンガスのビッグバンド・ジャズでどうしても聴きたいアルバムがあった。1989年にリリースされた『Epitaph』(写真左)。縁が無いのか、なかなか手に入らず、やっとのことで中古盤で手に入れた。

ミンガスが逝去したのは、1979年1月5日。それから10年。未亡人(スー・ミンガス: Sue Mingus)は遺作の組曲をまとめ上げ、リンカーン・センターでガンサー・シュラーの指揮で発表。その時のライブ音源がこの『Epitaph』。CD2枚組の大作である。

リンカーン・センターでの演奏なので、ビッグバンドに参加しているメンバーもハンパでは無い。トランペットに、ランディ・ブレッカー、ウィントン・マルサリス、ルー・ソロフの名前が見える。アルトにボビー・ワトソン、テナーにジョージ・アダムス、ピアノにジョン・ヒックス、ローランド・ハナ。それから、ギターにジョン・アバークロンビー、ドラムにビクター・ルイス。

1989年6月の録音で、当時のジャズの最先端をいく若手から中堅メンバーを中心に、ビッグバンドが組まれていて、その出てくる音といったら、これまた半端ではない。迫力満点、疾走感満点、力感のあるぶ厚いサウンド。硬質・硬派な、ミンガス・ジャズにピッタリのサウンド。
 

Mingus_epitaph

 
CD2枚組のボリュームながら、収録されたどの曲もどの演奏も、ミンガス・ミュージックそのもの。ミンガスは鬼籍に入っているので、当然、このパフォーマンスには登場しない。しかし、あたかもミンガスがベースを演奏しつつ、ミンガスが指揮をしているかの様な、圧倒的なミンガス節が素晴らしい。この演奏にはミンガスはいない。しかし、この圧倒的なミンガスの存在感はどうだろう。

ミンガスの作曲家としての優秀性が、ミンガス無くして、ミンガスを強烈に感じさせるのだ。米国ルーツ・ミュージックを様々な形で融合し、フリーやモーダルなど自由度溢れる展開も積極的に織り交ぜ、ジャズの基本であるブルージー&ジャジーな基本ラインを核に、圧倒的な構築力で、複雑ではあるが聴き易さも追求した、唯一無二のミンガス節を表現している。

そして、そのミンガス・ミュージックを、当時のジャズの最先端をいく若手から中堅メンバーが、テクニックの全てを尽くして展開していく。ミンガスの楽譜って、結構、難しいらしい。

あの歴代のトランペッターの中で一番のテクニシャンであるウイントン・マルサリスですら、この『Epitaph』の初演では、トランペット・パートの複雑で演奏者泣かせのフレーズが故に、根負けして弱音を吐いたそうだ。そんな複雑なミンガス・ミュージックではあるが、聴く方に回ると意外と判り易く、聴き心地もなかなか良いのだから面白い。

この『Epitaph』は、ミンガスがそこに居ないが故に、ミンガス・ミュージックの本質と個性を十二分に教えてくれる。そして、当時のジャズの最先端をいく若手から中堅メンバーを中心に構成されたCharles Mingus Big Bandの凄みのある演奏は、ミンガス・ミュージックの本質を存分に追体験させてくれる。

 
 

震災から3年5ヶ月。決して忘れない。まだ3年5ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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