惜しいな〜、この2枚組のアルバム
1970年代、LPレコードの時代、LP2枚組のアルバムは、かなり高価な代物だった。1970年代後半は、日本盤LP1枚が2,300〜2,500円、LP2枚組は3,800〜4,500円程度。どう見たって高い。喫茶店で珈琲一杯が250円の時代である。だから、学生の身分で、内容を聴いたことの無いLP2枚組を購入することは、かなり思い切った「ギャンブル」だった。
ここに、Sonny Rollins『Don't Stop the Carnival』(写真左)というアルバムがある。1978年4月、サンフランシスコのthe Great American Music Hallでのライブ録音。堂々のLP2枚組のライブ盤である。1978年当時と言えば、僕はちょうど大学に入ったばかり、そして、ジャズに出会ってジャズを聴き始めた、思いっきり「超初心者」のジャズ者であった。
このアルバムのパーソネルは、Sonny Rollins (ts, ss), Mark Soskin (p, el-p), Aurell Ray (el-g), Jerome Harris (el-b), Tony Williams (ds), Donald Byrd (tp, flh)。見渡せば、ジャズ入門本に「ジャズ・ジャイアント」として出てくる、ドラムのトニー・ウィリアムスとトランペットのドナルド・バードが名を連ねている。他のジャズメンは知らないが、それはまだ、ジャズの知識が足らないが故だと思っていた。
他ならぬ、テナータイタンのソニー・ロリンズの当時の新譜である。大枚叩いて購入した。ギャンブルである。そして、聴いた。冒頭の「Don't Stop the Carnival」での豪快なロリンズのブロウに、ジャズ者初心者の僕は大満足。迫力満点、カリプソなロリンズのブロウがキャッチャーで良い。
冒頭から暫くは、ロリンズ充実のブロウが続き、これはなかなかと感じ入る内容。が、ミックスの問題なのか、ピアノとギターが弱々しくて「何してんねん」とちょっとイライラし出す。せっかく、ロリンズは好調に吹き上げているのに、どうにもこのピアノとギターがいけない。
加えて、トランペットのドナルド・バードを全面にフィーチャーした曲が数曲有り、これがどうにも「???」な内容なのだ。少なくとも、このドナルド・バードのトランペットは、このアルバムの内容に全く寄与していない。凡百な出来と言って良い。
ドラムのトニー・ウィリアムスとの化学反応も期待したが、どうも、トニーとロリンズの相性はあまり良くないみたい。豪快に吹きまくるテナーに対して、トニーは絡む切っ掛けが見いだせず、ドタバタドタバタ叩くだけで、ロリンズとのコラボレーションを築けずに、アルバム2枚組が終わってしまう。
最初の4曲目までのロリンズはまずまずなんで、この2枚組のアルバムは実に惜しい。LP2枚組でリリースする意味があったのか、と訝しく思います。ロリンズの好調な曲だけをチョイスして、LP1枚ものでリリースした方が良かったのでは無いか、と思います。
よって、この『Don't Stop the Carnival』というアルバムの僕の評は「惜しいな〜、この2枚組のアルバム」。ロリンズ者にとっては手に入れなければならない盤ですが、一般にはもっと他に、聴き応えのあるアルバムがあります。無理に入手する必要は無いと思います。
ちなみに、今ではこのアルバム、輸入盤CDで、1,000円を切る価格で手に入れる事ができます。良い時代になったというのか、LP時代の日本盤の価格設定ってなんだったんだろう、なんてふと思ったりします。まあ、良い時代になったんでしょうね、きっと・・・。
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