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2014年8月 7日 (木曜日)

フュージョン・ブームの果てに

1970年代に入って、ジャズとロックの融合したクロスオーバー・ジャズが流行し、1970年代の後半は、クロスオーバーがソフト&メロウに洗練されたフュージョン・ジャズが流行。1980年代に入って、いよいよフュージョン・ジャズがAORを取り込んで成熟、というか、徐々にマンネリな雰囲気が漂ってくる。

1980年に入って、当時、リアルタイムにフュージョン・ジャズの洗礼を受けていた僕達は、そんなフュージョン・ブームの果てが近づいているなんて、これっぽっちも思わなかった。でも、リリースされるフュージョン・ジャズの新譜を聴きながら、このフュージョン・ジャズって、これからどうなっていくのだろうか、と不安に思ったのも正直なところ。

そんな1981年にリリースされた、フュージョン・ジャズのエレギ盤がある。 Lee Ritenour『Rit』(写真左)である。前半4曲はボーカルをフィーチャーした演奏で、思いっきりAORなフュージョン・ジャズである。というか、このボーカル入りの演奏を聴いていると、「これってジャズなのか」と訝しく感じる。

ソウルとジャズが融合したソウル・ジャズもあった。R&Bとジャズが融合したフュージョン・ジャズもあった。しかし、この『Rit』のボーカル入り演奏は、その雰囲気はもはやジャズでは無い。これはジャズな雰囲気を漂わせたブラコン(ブラック・コンテンポラリー)だ。AORな要素とR&Bな要素が全面に押し出されているのだが、ジャジーな要素は完全にどっかに行ってしまった。

でも、冒頭の「Mr. Briefcase」のソフト&メロウなシンセの音を聴けば、そこにブワーっとAORな音世界が広がる。そして、ボーカルが入ってくれば、やっぱ、これってAORやん(笑)。フュージョン・ジャズなAORである。それも、ライトなR&Bなボーカルの雰囲気は、もうブラコン。これって、AORなブラコンやん(笑)。
 

Lee_ritenour_rit

 
さすがにここまでくれば、このアルバムの前半4曲の音世界は、もはやフュージョン・ジャズでは無い。AORとも言い切れず、ブラコンとも言い切れず、それでも、フュージョン・ジャズな要素とAORな要素とブラコンの要素がごった煮になっていて、そのごった煮もクールでスマート、実に趣味の良いごった煮なので、聴き心地が凄く良い。

5曲目の「Dreamwalk」からは、硬派なフュージョン・ジャズが繰り広げられる。が、楽器の性能が上がったせいもあるのだが、メリハリの強い、ちょっと大味なフュージョン・ジャズに仕上がっている。そこまでせんでもええのに、という感じのメリハリ効いた演奏は、確かに1980年代のフュージョン・ジャズの音。

音の雰囲気的には、ハードなAORって感じで時代を感じる音なんだが、AORな雰囲気が全面に押し出されている分、聴き心地は悪く無い。冒頭から前半の4曲が、思いっきり「ブラコン」していた分、こちらはフュージョン・ジャズな感じが強調されているみたいで、これはこれで聴き応え十分。

今の耳で振り返れば、これってフュージョン・ジャズなんか、と思うんだが、1981年当時、僕達はこの盤の音世界は、十分にフュージョン・ジャズだと感じていた。でも、正直言えば、冒頭からの4曲のボーカル入りの演奏を立て続けに聴いて、これってブラコンやん、とも思ったし、AORやん、とも思った。

1980年代に入って、フュージョン・ブームの果てに、いよいよ、フュージョン・ジャズでも無い、AORとも言い切れず、ブラコンとも言い切れない、所属不明な耳当たりが良いだけの不思議な雰囲気のアルバムが、フュージョン・ジャズと称して多く出回る様になる。そして、それに呼応するように、純ジャズ復古のムーブメントが沸き起こるのだ。

 
 

震災から3年4ヶ月。決して忘れない。まだ3年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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