70年代Jポップの「夏男」その1
1970年代のJポップにおける、僕にとっての「夏男」は、山下達郎、南佳孝、矢沢永吉。とにかく、大学時代、この3人のアルバムは、夏の下宿の部屋で、夏のいきつけの喫茶店で、夏の研究室で、様々な移動の車の中で、「ながら」のBGMとして流れていた。
特に、南佳孝のアルバムは、1970年代ならではの、まだ日本がバブルを経験していない時代、庶民の海外旅行なんて夢のまた夢の時代での、南洋エスニックな雰囲気芳しい、ポップ・ロックな内容が実に味わい深く、当時、大学生の僕達としては、とってもお洒落なシティ・ポップして重宝していた。
とりわけその大学時代、1978年頃から今に至るまで、夏のシティ・ポップなアルバムとして愛聴しているアルバムが、南佳孝『South of The Border(サウス・オブ・ザ・ボーダー)』(写真左)。僕にとっての「夏男」、南佳孝の3rd.アルバムである。1978年9月のリリースになる。僕にとっての「夏盤」として活躍するのは翌年1979年の夏からである。
全編、夏の雰囲気満載の内容になっている。ちょっと非日常的な、それでいてちょっとありそうなドラマチックな歌詞の世界が、これまた実にお洒落。夏のシティ・ポップなアルバムとして、音世界を楽しめるのはもちろんのこと、このアルバムについては、歌詞の世界もお洒落で粋で楽しめる。
さて、このアルバムの音世界は、冒頭の「夏の女優」のイントロのスティール・パンの響きで、めくるめく魅惑的な「夏盤」の世界を約束される。もうそこの音世界は「ジャマイカ」。カリビアンな爽やかな南国の雰囲気を漂わせながら、シティ・ポップな音世界が展開される。「日付変更線」や「夜間飛行」での、お洒落で粋なボサノバ・サウンドも心地良い。
その他、収録された楽曲のアレンジについては、サンバ、ボサノバ、ラテンと、中南米を中心としたエスニックなアレンジが施されており、カリブ海からブラジル、アルゼンチンまでの、当時、日本人からは遠く離れた異国の地の魅惑的な音世界がギッシリと詰まっている。
もうかれこれ、35年ほど前に聴いたのが最初なんだが、未だにそのアレンジに関する感動は色褪せない。時空を超えて、未だにこの心地よいエスニックな音世界に引き込まれる力は素晴らしいものがある。このアルバムの最大の魅力である。
バックの演奏も充実の一言。非常にポップで洗練された演奏が素晴らしい。よくよくパーソネルを見渡すと、4曲目「日付変更線」における大貫妙子のコーラス、5曲目「常夜灯」における坂本龍一のフェンダー・ローズとシンセ、そして、全編に渡って、リズム&ビートの底をグッと支えて締める細野晴臣のベース、エスニックな雰囲気を増長する齋藤ノブのパーカッションなどなど、やっぱり上手いよなあ。このアルバムの品格をグッと上げている。
今でも、どこかブルージーでエスニックなところがジャズに相通じるところがあって、ジャズを聴き続けた後のちょっとした「耳休め」に、南佳孝の一連のアルバムは良く聴く。特に今の季節に聴く「夏盤」として、この『サウス・オブ・ザ・ボーダー』は、この時期、ヘビロテになる。
最後に、池田満寿夫氏のジャケットが素晴らしい。特にLPサイズでのこのジャケットのイラストの素晴らしさは特筆べきもの。大学時代は、夏の季節、いきつけの喫茶店に飾って貰っていました。ジャケットもお洒落で粋。僕にとっての、日本シティ・ポップの永遠の「夏盤」です。
震災から3年4ヶ月。決して忘れない。まだ3年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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