こんなアルバムあったんや・34
ジャズの世界は裾野が広い。本場米国のみならず、欧州各国、日本、そして豪州まで、世界レベルでジャズのアルバムが録音され、リリースされている。こんなマニアックな音楽ジャンルであるジャズで、これだけ多くのジャズ・アルバムがリリースされていて、ジャズ・ミュージシャンって本当に生業になるんだろうか、と心配になる。それだけ需要はあるのかなあ。
そんな裾野の広いジャズの世界である。最近、iTunes Storeなど、ダウンロード・サイトを徘徊していて、これは、と思って、思わず「ポチッ」としてしまうアルバムがある。それも、ジャズ本とかでは見たことも無いアルバムである。ダウンロード・サイトでは、アルバムに収録された曲が一定時間だけ試聴できるので、それで「これは」と言うことになる。
今から2年ほど前に、ダウンロード・サイトを徘徊していて、これは、と思って、思わず「ポチッ」としてしまったアルバムがある。Herb Ellis『The Jazz Masters』(写真左)である。これがまあ、ジャズ本とかには全く載っていないアルバムなんだが、内容が良い。典型的なハードバップなんだが、これが良い雰囲気なのだ。
2001年10月、Allegro labelからのリリース。1990年代後半、シドニーのトラファルガー・スタジオでの録音とあり、豪州のミュージシャンの参加が目を惹く。リーダーのHerb Ellis(写真右)はギタリスト、Ray Brownはベーシスト、この二人はジャズ・レジェンドな有名ジャズメン。エリスのギターは「いぶし銀な職人ギター」が渋く、ブラウンのベースは聴いていて直ぐに判る「太くて強靱な」ベース。
ピアニストのセルジェ・エルモール(Serge Ermoll)とリード奏者のバリー・ダガン(Barry Duggan)、ドラムのスチュウィー・スピールス(Stewie Speers)の3人が豪州のジャズ・ミュージシャンなんだろうか。この3二人のプレイも水準以上で、ジャズ・レジェンドである、ハーブ・エリスとギターとレイ・ブラウンのベースと互角に渡りあっていて立派だ。
リード奏者のバリー・ダガンはフルートも吹く。冒頭の「Tristé」でのフルートは実に良い。他の演奏ではアルト・サックスを吹いているらしく、このアルトもまた水準以上。ピアノのセルジェ・エルモールはバリバリ弾き進めるバップ系のピアニスト。ドラムのスチュウィー・スピールスは少し単調なところが気になるが、全曲、そつなくこなしている。
ギターのハーブ・エリス、ベースのレイ・ブラウン以外、他の3人は良く判らない豪州のジャズメンらしいんだが、演奏自体はとても上質なハードバップ。選曲もしっかりとジャズ・スタンダード中心で構成されており、聴いていて違和感は全く無い。
ともあれ、パーソネルに関して歯切れの悪いアルバム評ではあるが、このアルバム、聴いていて結構疲れないというか、聴いていてなかなかの雰囲気。素性が明快で無くても演奏が良ければそれで良いではないか、と思わせてくれる、不思議なアルバムである。
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