これが初心者向け「モンク入門盤」
時には、ジャズ・レジェンドなピアノ・トリオが良い。ジャズ・レジェンドなアルバムは内容が濃く、聴く時代、聴く季節、聴く時間によって、様々な側面を聴かせてくれる。そんな様々な音の表情を聴かせてくれるのは、ジャズ・レジェンドなアルバムならではの懐の深さと奥行きの広さである。
このモンクの『Thelonious Monk Trio』(写真左)などがその好例だ。1952年と1954年の3つに分かれたセッションからの編集盤。ちなみにパーソネルは、Thelonious Monk (p), Art Blakey (ds), Max Roach (ds), Gerry Mapp (b), Percy Heath (b)。冒頭の「Blue Monk」と、5〜8曲目「Little Rootie Tootie」「Sweet And Lovely」「Bye-Ya」「Monk's Dream」がブレイキーとのセッション。
モンクは1917年10月だから、このアルバムが録音された1952年で35歳、1954年で37歳だから、ピアニストとして、体力気力ともにバランスが取れて、一番、ピアノ・プレイの覇気が素晴らしい時期の録音になる。確かに、このアルバムのモンクは絶好調。タッチも深く鋭く、間を活かした響き、不協和音な響きが全くもって「異常」なのだ。
力強いタッチで絶好調に弾きまくっているので、間を活かした、幾何学模様の様な不思議な響きとタッチがとてもよく判る。個性的な不協和音もこのアルバムでは控えめ。セロニアス・モンク入門盤として格好のアルバムである。
加えて、このアルバムの収録曲が良い。というか、今の耳をもって振り返ると、モンクのピアノがとことん堪能できる、モンクの有名曲ばかりがズラリと並んでいるのだ。これは全くのお徳用盤である(笑)。ちなみにその収録曲は以下の通り。
1. Blue Monk
2. Just A Gigolo
3. Bemsha Swing
4. Reflections
5. Little Rootie Tootie
6. Sweet And Lovely
7. Bye-Ya
8. Monk's Dream
9. Trinkle Tinkle
10. These Foolish Things
今から振り返ると、収録曲のほとんどがモンク作曲の「モンクズ・スタンダード」。このモンクズ・スタンダードを、モンク自身がモンクの個性全開な、間を活かした不思議な響きとタッチで、ポジティブにガンガン弾きまくっている。モンクはこの頃30歳台後半。一番、ガンガンに弾きこなせる頃。モンクは、モンクの個性的な曲を、モンクの個性的なタッチで弾き進めるのだ。
この『Thelonious Monk Trio』は、モンクのモンクによるモンクの為のアルバムである。モンクはポジティブに、モンクの個性を思いっきり振りまいて、モンクの曲を弾き続ける。ジャズ・レジェントとしてのセロニアス・モンクを堪能するのにピッタリのトリオ盤である。モンクの判り易さ、という点でも、このアルバムはジャズ者初心者にこそ、お勧めです。
震災から3年3ヶ月。決して忘れない。まだ3年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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こんにちは。
最近売られてる一部の日本盤では、ここから漏れてAND SONNY ROLLINSに入っていたWorkとNuttyを加えて+2として、ますますお得盤になっていますよ。
私はすべてのジャズの中で、ここでのBye-Yaが一番好きなので、最愛聴盤です。クラーベのリズムで煽りまくるブレイキーの名演でもありますね。
Hal Wilnerのモンク・トリビュート盤THAT'S THE WAY I FEEL NOWでは、Steve Slagle+Dr John+Steve Swallow+Ed Blackwellという変な組み合わせでBye-Yaをやっていますが、これがまた素晴らしい出来。
なのに、アナログのみでCDではカット。今では幻の名演となっています。
投稿: orubhatra | 2014年7月 4日 (金曜日) 23時57分