« オーネットの落ち穂拾いの異色盤 | トップページ | フュージョンを聴くなら「夏」 »

2014年7月18日 (金曜日)

オーネットのテイクは捨て曲無し

さてさて、アトランティック・レーベルにおける、オーネット・コールマンのアルバムのご紹介の最終回。昨日の『To Whom Who Keeps a Record』と同じ、アトランティック・レーベルのセッションの落ち穂拾い盤。

そのアルバムとは、Ornette Coleman『Twins』(写真左)。1971年10月のリリース。あの名盤『Free Jazz』のファースト・テイクに、1959年〜1961年のカルテットによる演奏のアウトテイクを収録している。具体的には、『ジャズ来るべきもの』『オーネット!』『ジズ・イズ・アワ・ミュージック』から漏れたアウトテイク集になる。

まあ、『ジャズ来るべきもの』『オーネット!』『ジズ・イズ・アワ・ミュージック』からのアウトテイクに加えて、『フリー・ジャズ』のファースト・テイクである。悪かろうはずが無い。確かに、全編を聴き通して、なかなか内容のある、充実したオーネットのフリー・ジャズが聴ける。

昨日も書いたが、オーネット・コールマンの落ち穂拾い盤って、捨て曲が無い。この『Twins』も然り。充実した内容のアウトテイクがてんこ盛りである。こういうジャズメンって珍しいと言えば珍しい。逆に、本テイクとアウトテイクの差異はなんなんだ、ということにもなる(笑)。
 

Ornette_coleman_twins

 
オーネットのフリー・ジャズって、今の耳で聴くと、決して「フリー・ジャズ」では無い。面白いアイデアが詰まった、限りなくフリーに近いハードバップな様相が強い。但し、オーネットやチェリーのアドリブ・フレーズはコードでもモードでも無い。ある決め事に則った、気分のままに吹く「思いつきフレーズ」だと僕は解釈している。

モード奏法の様な、アカデミックな理論が無い分、曲が進むにつれ、マンネリに傾きつつあるし、アドリブ・フレーズの展開も単調になりがちである。それでも、1959年〜1961年のジャズ・シーンでは、このオーネットの演奏って、かなり先進的だったと思うし、ジャズの最先端の一端を担っていたんだなあ、と思っている。

このオーネットの『Twins』は、一般万民向けのアルバムではありません。かなり、オーネットのマニアの方々、つまりオーネット者御用達のアルバムだと言えます。まあ、通常のジャズ者の皆様には、強くお勧めする盤では決してありません。

逆に、オーネットの限りなくフリーに近い演奏が好きな、いわゆるオーネット者には必須のアルバムになります。特に、『フリー・ジャズ』のファースト・テイクは聴きものである。オリジナルの本テイクよりも、先進的で攻撃的である。 

これで、アトランティック・レーベルのオーネット・コールマンのアルバムは終わり。いよいよ、次からのオーネットの聴き直しは、アトランティック以降の優秀盤を聴き進めることになる。そして、ゴールは、1965年の大名盤『At the "Golden Circle" Vol. 1 & 2』。さあさあ、頑張ろう(笑)。 

 
 

震災から3年4ヶ月。決して忘れない。まだ3年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。 
 

« オーネットの落ち穂拾いの異色盤 | トップページ | フュージョンを聴くなら「夏」 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: オーネットのテイクは捨て曲無し:

« オーネットの落ち穂拾いの異色盤 | トップページ | フュージョンを聴くなら「夏」 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー