オーネットのテイクは捨て曲無し
さてさて、アトランティック・レーベルにおける、オーネット・コールマンのアルバムのご紹介の最終回。昨日の『To Whom Who Keeps a Record』と同じ、アトランティック・レーベルのセッションの落ち穂拾い盤。
そのアルバムとは、Ornette Coleman『Twins』(写真左)。1971年10月のリリース。あの名盤『Free Jazz』のファースト・テイクに、1959年〜1961年のカルテットによる演奏のアウトテイクを収録している。具体的には、『ジャズ来るべきもの』『オーネット!』『ジズ・イズ・アワ・ミュージック』から漏れたアウトテイク集になる。
まあ、『ジャズ来るべきもの』『オーネット!』『ジズ・イズ・アワ・ミュージック』からのアウトテイクに加えて、『フリー・ジャズ』のファースト・テイクである。悪かろうはずが無い。確かに、全編を聴き通して、なかなか内容のある、充実したオーネットのフリー・ジャズが聴ける。
昨日も書いたが、オーネット・コールマンの落ち穂拾い盤って、捨て曲が無い。この『Twins』も然り。充実した内容のアウトテイクがてんこ盛りである。こういうジャズメンって珍しいと言えば珍しい。逆に、本テイクとアウトテイクの差異はなんなんだ、ということにもなる(笑)。
オーネットのフリー・ジャズって、今の耳で聴くと、決して「フリー・ジャズ」では無い。面白いアイデアが詰まった、限りなくフリーに近いハードバップな様相が強い。但し、オーネットやチェリーのアドリブ・フレーズはコードでもモードでも無い。ある決め事に則った、気分のままに吹く「思いつきフレーズ」だと僕は解釈している。
モード奏法の様な、アカデミックな理論が無い分、曲が進むにつれ、マンネリに傾きつつあるし、アドリブ・フレーズの展開も単調になりがちである。それでも、1959年〜1961年のジャズ・シーンでは、このオーネットの演奏って、かなり先進的だったと思うし、ジャズの最先端の一端を担っていたんだなあ、と思っている。
このオーネットの『Twins』は、一般万民向けのアルバムではありません。かなり、オーネットのマニアの方々、つまりオーネット者御用達のアルバムだと言えます。まあ、通常のジャズ者の皆様には、強くお勧めする盤では決してありません。
逆に、オーネットの限りなくフリーに近い演奏が好きな、いわゆるオーネット者には必須のアルバムになります。特に、『フリー・ジャズ』のファースト・テイクは聴きものである。オリジナルの本テイクよりも、先進的で攻撃的である。
これで、アトランティック・レーベルのオーネット・コールマンのアルバムは終わり。いよいよ、次からのオーネットの聴き直しは、アトランティック以降の優秀盤を聴き進めることになる。そして、ゴールは、1965年の大名盤『At the "Golden Circle" Vol. 1 & 2』。さあさあ、頑張ろう(笑)。
震災から3年4ヶ月。決して忘れない。まだ3年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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