最近のトラックバック

« 寺井尚子はガンガンに弾きまくる | トップページ | テナーでもオーネットはオーネット »

2014年7月14日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・53

ジャズの世界では、日本のレーベル制作のアルバムは押し並べて評判が悪い。聴き手に迎合するプロデュース、売上第一とする選曲とアレンジ。古典的なハードバップで、思いっきりスタンダードな曲を演奏する。譜面が用意されているような、定型的な展開とアドリブ。面白味が全く無い、イージーリスニングの様なジャズ。

しかし、たまに日本のレーベル制作のアルバムにも優れものが存在する。だから、日本のレーベル制作だからと聴かず嫌いは、ちょっとマズい。例えば、Diwレーベルなどは、なかなか内容の良いアルバムを多くリリースしたりしている。例えば、David Murray『Love and Sorrow』(写真左)などはその好例だ。

デヴィッド・マレイ(David Murray)は、1955年2月生まれの米国のテナー奏者。彼のテナーのスタイルは、コールマン・ホーキンスやベン・ウェブスターのスタイルを吸収した「オールド・スタイル」。決して、コルトレーンのフォロワーでは無い。日本のレーベルの制作盤なのに、この現代ジャズの「オールド・スタイル」なテナーに着目するなんて、なかなか粋なことをする。

1993年9月の録音。リリースは2000年11月。えらく長い間、お蔵入りやったんやなあ、とちょっと不思議に思う。しかも、日本のDiwレーベルからのリリース。日本のレーベルが、自らが録音した音源をここまで長い間、お蔵入りとしたなんて、ちょっと意外だ。

ちなみにパーソネルは、David Murray (ts), John Hicks (p), Fred Hopkins (b), Idris Muhammad (ds)。ピアノのジョン・ヒックスは知っているが、ベーシストとドラマーは知らない。限りなくフリーなネオ・ハードバップを基調とするカルテット集団であることは確か。
 

David_murray_love_and_sorrow

 
全編に渡って、マレイの野太くも繊細なテナーがとにかく良い。コルトレーンの様に、超絶技巧なシーツ・オブ・サウンドを執拗に繰り広げるのでは無い、コールマン・ホーキンスやベン・ウェブスターのスタイルを吸収した「オールド・スタイル」なテナーで情感豊かに、力強くフリーキーに、時に優しく吹き上げていく。

ジョン・ヒックスのピアノも良い。こんなに情感タップリに、超絶技巧に弾き倒すピアニストやったんや、と思いっきり感心した。リーダーのマレイは勿論良いが、このアルバムの隠れたヒーローは、このピアノのヒックスだ。むっちゃセンスの良いアドリブ・フレーズなど、感動の嵐である(笑)。

さて、収録曲を並べてみると以下の様になる。さすがに、日本のレーベルの制作、思いっきりスタンダード・ナンバーが3曲。ほほぅとジャズ者ベテランが感心する、隠れた小粋なスタンダード・ナンバーが2曲。マレイの自作曲が1曲。まあ、バランスの取れた選曲ではある。

1. You'd Be So Nice To Come Home To
2. Old Folks
3. Forever I Love You
4. Sorrow Song
5. A Flower Is A Lovesome Thing
6. You Don't Know What Love Is

良いアルバムです。決して、メジャーなアルバムではないんですが、とにかく内容は良く、カルテットの演奏も好調そのものです。こんな小粋で内容充実なアルバムが、さりげなく流れてくるジャズ喫茶って素敵です。

 
 

震災から3年4ヶ月。決して忘れない。まだ3年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 寺井尚子はガンガンに弾きまくる | トップページ | テナーでもオーネットはオーネット »

コメント

David Murrayは、1986~96頃にDIWに20枚以上のリーダー作を残しています。準リーダー作も含めると30枚近くになるんじゃないでしょうか。

一時は毎月のようにDIWから新譜が出て、「月刊David Murray」なんて言われてましたね。私も最初の数枚は追いましたが、さすがに途中で飽きてつきあいきれなくなりました(笑)。

Murrayのプレイはもうマンネリ化していますが、メンバーを変え、編成を変え、スタイルを変え、大量の新譜を出し続ける力と人脈はたいしたものです。今もJustin Timeなどで大量に出し続けていますが、誰も追い切れない(笑)。

LOVE AND SORROW は、同メンバーでのFOR AUNT LOUISE の残り曲集です。

LOUISEの方は半分以上がオリジナル曲で、いわゆるスタンダードはなし。スタンダードの方を選択的にお蔵入りにしているんですから、むしろ「日本企画盤」らしくないといえるでしょう。これはDIW時代後期の作品。もうMurrayのDIW盤もかなりセールスが落ちていたのでしょう。理由は出し過ぎ!お蔵入りも仕方ないでしょう。

Fred HopkinsやIdris Muhammadはあまりご存じないそうですが、両者の凄みにこれから出会えるんですから、それはむしろ幸運ですよ!

Fred Hopkinsは、AIRや1970年代ロフト・ジャズ諸作が代表作になりますが、入手難盤ばかりなので、

David Murray/LOVERSや/BALLADSをお勧めしておきます。どちらもDIWです(笑)。Hopkinsの豪腕ベースが堪能できます。特にアルコに注目。当時Hopkinsのアルコは業界No.1でした(スイング・ジャーナル界では無名ですが)。

Idris Muhammad(Leo Morris)は、あまり上手でない4ビートをやらされている1970年代末以降のものより、1970年前後のソウル・ジャズ時代の作品が良いですね。リーダー作よりもサイドマンのやつ。たくさんありますが、

Lou Donaldson/LIVE AT THE CADILLAC CLUB : THE SCORPION [Blue Note] (1990年代に発掘されたものです)

なんかどうでしょう。切れ味抜群です。親分もキレまくり。

(今回は長くてすいません)

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/56791449

この記事へのトラックバック一覧です: ジャズ喫茶で流したい・53:

« 寺井尚子はガンガンに弾きまくる | トップページ | テナーでもオーネットはオーネット »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ