1970年代サンタナの総決算
1970年代のサンタナのアルバムの聴き直しも最後の一枚となった。最後の一枚とは、SANTANA『Marathon』(写真左)である。1979年9月のリリースになる。
1979年と言えば、米国ロック界にはAORの嵐が吹き荒れており、ソフト&メロウなソフト・ロックが中心となり、70年代の商業ロックを牽引したハード・ロックやプログレ、西海岸ロック等は、ほとんどその影が薄くなっていた。
サンタナも例外では無い。元々はハードで官能的なラテン・ロックをバンバン展開し、途中からスピリチュアルなジャズ・ロックに転身、再び、ラテン・ロックに立ち戻っても、インストを中心としたハードで官能的な演奏内容が個性だった。
しかし、この1979年リリースの『Marathon』に至っては、全体の雰囲気は「マイルドなポップ・ロック」に仕上がっている。まあ、それも仕方の無いことかなあ、とも思う。当時、世の中は「AOR」一色。ハードで官能的なラテン・ロックなどはマーケット・ニーズにそぐわない。サンタナ・バンドとして、考え抜いた挙げ句の「マイルドなポップ・ロック」なのである。
ラテン・ロックの雰囲気は、それぞれの演奏の中に織り込まれてはいるが、「ラテン・ロック」と大手を振って言えるほど、コッテコテのラテン・ロックのフレーズは聴かれることは無い。ソフト・ロックなアレンジのバリエーションとして、ラテン・ロックなアレンジを施している、という感じのもの。
アルバム全体の完成度は高い。サンタナを始めとするバンドの演奏レベルも高く充実している。昔のハードで官能的なラテン・ロックなサンタナを聴くことは出来ないが、AOR時代のサンタナとして、ソフト&メロウなソフト・ロックなアルバムとして、この『Marathon』は及第点なアルバムではある。
しかし、やはり従来のハードで官能的なラテン・ロックやスピリチュアルなジャズ・ロックをガンガンにやっていたサンタナのイメージからすると、この『Marathon』というアルバムの音世界については「なんだかなあ」という感じがするのは否めない。特に、ファースト・アルバムの頃からの生粋の「サンタナ者」としては、この『Marathon』の内容はちょっと不満だった。
サンタナのエレギも良いし、内容的にもラブ・ソングあり、ストレートなアメリカン・ロックっぽい雰囲気の曲ありで、内容的にもプロデュースの行き届いた、なかなかの内容のアルバムなんですけどね(笑)。
しかし、客観的に見れば、この『Marathon』というアルバムは、1970年代サンタナの総決算的なポジションにある。次に来る1980年代のスタート・ポジションとしての位置づけでもある『Marathon』というアルバムは、サンタナの歴史の中では決して無視することは出来ないアルバムである。
震災から3年4ヶ月。決して忘れない。まだ3年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« フュージョンを聴くなら「夏」 | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・54 »
コメント