梅雨に爽快、英国クロスオーバー
毎日ジメジメの日、気分も滅入ってくる。そんな時、何か景気付けになる音楽は無いのか。と、昨日から、僕にとっての景気付けのジャズ、フュージョン・ジャズの好盤は無いのか、と物色している。
フュージョン・ジャズのその以前、クロスオーバー・ジャズと呼ばれた時期がある。このクロスオーバー・ジャズの基本は「ジャズとロックの融合」。超絶技巧なテクニックを引っさげ、目眩くインストルメンタルの音世界。ビートはエイト、疾走感抜群。
しかし、である。このフュージョン・ジャズの前身のクロスオーバー・ジャズ。僕はこのクロスオーバー・ジャズは大好きなんだが、米国のクロスオーバー・ジャズはどうしてもジャジーなファンクネスが漂い、単純に爽快感抜群、単純に疾走感抜群とはいかない。どうしても、ねっとりとファンクネスが後を引く。
それって仕方の無いこと。米国のクロスオーバー・ジャズは、ジャズのミュージシャンがロックの要素を取り入れてやるケースがほとんどで、ロックのミュージシャンがジャズの要素を取り入れてやることは殆ど無い。ジャズがロックを取り入れる形なので、どうしてもジャジーなファンクネスが絶対に残る。
しかし、英国のクロスオーバー・ジャズは違う。超絶技巧なテクニックで、目眩くインストルメンタルの音世界、とここまでは米国と同じなんだが、ジャジーなファンクネスは皆無。単純に、ロックビートに乗って、素直にジャズの如く、目眩くアドリブ・フレーズが展開されていく。
このアドリブ・フレーズの部分は絶対に即興の音楽、ジャズのマナーなんだが、ジャジーなファンクネスが皆無で、単純に爽快感抜群、単純に疾走感抜群となる。超絶技巧なレベルも半端では無い。正確無比、スクエアで徹底的に超絶技巧なのだ。英国人気質がモロ出ている。
実は、英国の音楽シーンにおいては、ジャズとロックの境界がかなり曖昧。ジャズ畑とおぼしきミュージシャンがロックをやったりするし、ロックのミュージシャンがジャズをやったり、平気でジャズの要素を取り入れたりする。1970年代から、英国ではジャズとロックの境界が曖昧。
当然、英国人にはアフリカンの血は希薄なので、ファンクネスとは疎遠。よって、英国のクロスオーバー・ジャズは、ジャジーな雰囲気やファンクネスは希薄、シンプルに超絶技巧なテクニックで演奏しまくる。ビートはエイトだが、ファンクネスで粘ることは無い。
そんな英国クロスオーバー・ジャズの好盤が、Soft Machine『Bundles(邦題;収束)』(写真左)。1974年7月の録音。1974年と言えば、世界的にクロスオーバー・ジャズの全盛期。ソフト・マシーンは、英国のプログレッシブ・ロック・バンド、英国のジャズ・ロック・バンド。この紹介からして、ジャズとロックの境界がかなり曖昧なのが判るでしょう(笑)。
この『Bundles』は、英国出身の超絶技巧ギタリスト、アラン・ホールズワースが参加した唯一のアルバムとして有名、数あるソフト・マシーンのアルバムの中でも最高に近い評価を得ている好盤である。確かに、このアルバムでのアラン・ホールズワースのギター・プレイは凄い。超絶技巧とはこのことか、と納得至極。それはそれは速い速い、それはそれは正確無比。
ジャズ系独特のジャジーなファンクネスが希薄で、単純に爽快感、疾走感を心ゆくまで味わえる。ジメジメした梅雨の季節に、ファンクネス希薄の乾いたクロスオーバー・ジャズは、かなりの景気付けになること請け合いである。
梅雨のジメジメした日に、景気付けのSoft Machine『Bundles』。フュージョン・ジャズ者、クロスオーバー・ジャズ者の方々、皆さんにお勧めである。ちょっと入手し難いかもしれませんが、頑張ってゲットして、乾いた爽快感、疾走感をしっかりと味わっていただきたいと思います。
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