爽快感溢れるフュージョンが良い
6月である。暦の上でも「夏」である。最近はあまり感じなくなったが、夏服への衣替えの季節である。そして、梅雨の季節でもある。湿気は多いが、気温的には実に過ごしやすい季節である。気温的に過ごしやすい、この夏の初めの季節はまだまだ暑さは本格的では無いので、ジャズのアルバムもフュージョン・ジャズ時代のアルバムを選ぶことが多くなる。
フュージョン・ジャズのなかでも、電気楽器を中心とした「ソフト&メロウ」な、ハイテクを全面に押し出した、爽快感溢れるフュージョン・ジャズがジャスト・フィットする季節である。「今となってはレトロな古さを感じる」と揶揄される、いわゆる1980年代のフュージョン盤が意外とこの季節にフィットする。
そういうことで、今日選んだアルバムは、George Benson & Earl Klugh『Collaboration』(写真左)。1987年のリリース。ちなみにパーソネルは、George Benson (el-g), Earl Klugh (ac-g), Greg Phillinganes (key,syn), Marcus Miller (b), Harvey Mason (ds), Paulino Da Costa (per), Paul Jackson, Jr. (g)。なかなか充実の布陣である。
セミアコのベンソン、アコギのクルー。そこに、若きベースの雄マーカス・ミラー、フュージョンのファーストコール・ドラマーのハービー・メイソンがリズム・セクションを担う。隠し味の様なパーカッションはポリーニョ・ダ・コスタ。フュージョン・ジャズの優れたミュージシャンで固めた、聴き応えのある企画盤である。
1987年の録音なので、ちょうどLPからCDへの切り替えの過渡期。録音環境としてもデジタル録音への過渡期の時代。音的には、エッジの立った、ちょっとキンキンとケバケバしい、デジタル臭のプンプンする音作りではある。しかし、マーカスとメイソンのリズム・セクションの音がグッと締まった低音をキープしているので、音的にデジタルチックに破綻することは無い。
このアルバムを聴く前は、セミアコとアコギのユニゾン&ハーモニーはどうなんだろう、と思っていたが全く問題が無い。というか、さすがはジョージ・ベンソンとアール・クルーという超一流のギタリストの共演である。お互いの音の個性を見抜き、音が被らない様にテクニックを駆使して、コラボレートしている。セミアコとアコギが同時に弾き進めて、耳触りになることは無い。
唄うギタリストであるベンソンのソフト&メロウなスキャットも実に雰囲気が良く、1980年代フュージョン・ジャズの佳作として、良い出来のアルバムだと思います。収録されている曲の出来も良く、聴いていて飽きることはありません。主旋律もアドリブ・フレーズもメロディアスで良い感じです。
まあ、ラストの「Romeo & Juliet (Love Theme from Romeo & Juliet)」、いわゆる「ロミオとジュリエットのテーマ」はご愛嬌ですが(笑)。この曲は蛇足やなあ。それまで、小粋で爽快感あふれるフュージョン・ジャズの世界が、映画音楽のちょっともったりした、ちょっとレトロな雰囲気に早変わりして、どうにもこうにも、思い切り苦笑いしてしまいます。
気温的に過ごしやすい、この夏の初めの季節は、絵に描いた様なフュージョン・ジャズが合う。ハイテクを全面に押し出した爽快感あふれる音世界が、夏の初めのこの季節にぴったりフィットするのだろう。さあ、明日は何を聴こうか。
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