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2014年6月 2日 (月曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・41

Denny Zeitlin(デニー・ザイトリン)というピアニストがいる。「医師とジャズピアニスト」という二足の草鞋を履く異色の人物である。医師は医師でも精神科医。これは異色も異色、大異色である(笑)。

ザイトリンは1938年の生まれ。今年で76歳になる。もう人生の大ベテランである。本業である精神科医の仕事をこなす傍ら、プロのピアニストとしての活動も続けてきたザイトリン。しかも双方の仕事において、それぞれ一流の域に達していたと言うのだから凄い。

今を去ること35年前。僕が大学生の時、例の秘密の喫茶店で、そんなザイトリンに出会った。Denny Zeitlin『Live At The Trident』(写真左)というアルバムである。1965年3月、当時、レギュラー出演していたクラブ「トライデント」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Denny Zeitlin (p), Charlie Haden (b), Jerry Granelli (ds)。 ベースの哲人チャーリー・ヘイデンが参加が目を惹く。

ザイトリンは「エヴァンス派のピアニスト」と評されるが、どうなんだろう。この『Live At The Trident』を聴く限り、エヴァンス派のピアニストとするには無理があるように思う。確かに、タッチは深く、しっかりと端正に弾きまくる様はエバンス・ライクな個性なんだが、アドリブ・フレーズが全く異なる。

アドリブ・フレーズが流麗では無いというかメロディアスでは無い。ザイトリンのアドリブ・フレーズはゴツゴツしていて変幻自在。柔軟性が高く、幾何学模様の様なカクカクしたフレーズ。セロニアス・モンクの様な、ちょっとアウトドライブする突飛なフレーズ。エバンスのアドリブ・フレーズは流麗だが、ザイトリンのアドリブ・フレーズは幾何学模様。
 

Denny_zeitlin_trident

 
なるほどなあ、と思う。このザイトリンのアドリブ・フレーズの個性は「ありそうで無い」。どっかで聴いたことがありそうな感じがするんだが、アドリブ・フレーズを少し聴き進めるだけで、これは「ワン・アンド・オンリー」なものだということが判る。とにかく、ザイトリンを「エヴァンス派のピアニスト」とするには無理がある。

選曲もちょっと変わっている。冒頭が、かのソニー・ロリンズの大傑作「St. Thomas」。この曲を白人のザイトリンがピアノ・トリオでやるなんて、ザイトリンとはかなり度胸のあるピアニストである。6曲目はフリー・ジャズの雄、オーネット・コールマンの名曲「Lonely Women」。この選曲だけでも変わっている。

「Carole's Waltz」や「Spur Of The Moment」「Where Does It Lead」など、ザイトリンの自作曲もなかなか良い。ザイトリンは自作曲においては、より伸び伸びと個性的なアドリブ・フレーズを繰り広げる。スタンダード曲も「My Shining Hour」や「What Is This Thing Called Love」など、ちょっと変わった選曲をしているところなどは、さすがザイトリンらしい。

バックにベースの哲人チャーリー・ヘイデンが控えているところもこのトリオ盤の魅力。野太く思索的なヘイデンのベースは、幾何学模様のザイトリンのアドリブ・フレーズとの相性は抜群。ジェリー・グラネリのドラムは堅実。ヘイデンの哲人ベースと共に、柔軟性が高い、幾何学模様の様なカクカクとしたザイトリンのフレーズをガッチリと支える。

何気なく聴いていて、じんわりと効いてくる、実に渋い玄人好みのピアノ・トリオ盤です。ありそうで無い、独特の個性を放つザイトリンのピアノ。全くスインギーじゃ無いし、ファンクネスとは無縁。それでもタッチは深く端正で、柔軟性が高く、幾何学模様の様なカクカクしたフレーズは、繰り返し聴くうちに「クセ」になる。不思議な魅力を持ったライブ盤である。

 
 

大震災から3年2ヶ月。決して忘れない。まだ3年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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