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2014年5月12日 (月曜日)

ヨーロピアン・カルテットの代表盤

1970年代のキース・ジャレット(Keith Jarrett)は、ソロ・ピアノと並行して、二つのカルテットを主宰していました。インパルス・レーベルにて、米国で活動したカルテットは「アメリカン・カルテット」と呼ばれ、ECMレーベルにて、欧州で活動したカルテットは「ヨーロピアン・カルテット」と呼ばれています。

双方、全く性格の違うカルテットで、「アメリカン・カルテット」は火の出るような激しくテンションの高い演奏が多く、「ヨーロピアン・カルテット」は、透明感のある冷静でリリカルな演奏が中心でした。どちらも、キースがリーダーでしたから、キースは「アメリカン・カルテット」と「ヨーロピアン・カルテット」をうまく使い分けて、キースの二面性を上手く表現していた様に感じます。

さて、このキースのヨーロピアン・カルテットのアルバムの中で、どれが一番好きですか、と訊かれたら『My Song』(写真左)をイチ押しとしています。この『My Song』こそが、キースのヨーロピアン・カルテットの個性を如実に表している作品だと思っているんですね。

ちなみに、この『My Song』の録音が1977年11月の録音。このヨーロピアン・カルテットのパーソネルは、Jan Garbarek (ts,ss), Keith Jarrett (p, per), Palle Danielsson (b), Jon Christensen (ds)。

このカルテットでのキースのピアノは、クリアで繊細、硬軟取り混ぜて素晴らしい。キース独特の個性的なリリカルなピアノが、アルバム全体を引き締める。ヨーロピアン・カルテットのキースはフリーな演奏に走りそうで走らない。抑制されたモーダルなピアノが実にリリカル。

ヨーロピアン・カルテットの看板的存在が、ヤン・ガルバレクのサックス。リリカルでクリア、抑制されたエモーショナルなブロウについて、実に透明度が高い。欧州ならではのテナーの音色だろう。米国本土には、こんなにリリカルでクリアで透明度の高いテナーは無い。正に、このガルバレクのテナーの音色が、ヨーロピアン・カルテットの個性の一端を担っている。
 

Keith_my_sony

 
ベースのダニエルソンも、力強く、太いベースを奏で、ドラムのヤン・クリステンセンは、柔軟なドラミングを聴かせる。このヨーロピアン・カルテットこそが、キースの今まで持ったカルテットの中で最高に位置するものだ、と僕は思う。

それが如実に判るのが、まずは1曲目の「Quester」。そして、絶品が2曲目の「My Song」。柔らかで、繊細なキースのピアノに導かれて、ガルバレクのサックスが優しく語りかける。3曲目の「Tabarka」も、ヨーロピアン・カルテットらしい、繊細でクリアな演奏だ。LP時代のA面を占めるこの3曲は、リリカルで優しいカルテット演奏です。

そして、LP時代のB面の冒頭を飾る、このアルバムの一押しの演奏が、4曲目の「Country」。導入部のキースのソロが、まず素晴らしいの一言。そして、その素晴らしいソロの後、導かれル様に出現するガルバレクのサックス。力強くしっかりとして、それでいて歌心溢れるブロウ。曲が進むにつれて、後半部のダイナミックな盛り上がり。ベースも力強く唄い、ドラムは、とことんシャープにリズムを刻む。

A面の「My Song」を女性に例えるなら「Country」は男性的だ。5曲目「Mandala」はフリー寄りな演奏。力強い展開のインプロビゼーションではあるが、しっかりとコントロールされていて、破綻は一切無い。そして、ラストの「The Journey Home」は、途中の展開部からのくだり、ヨーロピアン・カルテットらしからぬ、米国ルーツ・ミュージック的なゴスペルチックでフォーキーな展開が面白い。

時折、キースが唸りながらのピアノ・ソロを展開するが、これはご愛敬。キースはよく「唸る」のだ。この「唸り」がなけれが、キースの他のアルバムももっと聴き込めるのだが。まあ、それを差し引いても、このアルバムは素晴らしいの一言です。ヨーロピアン・カルテットの代表的名演がギッシリ詰まった良い内容のアルバムです。

 
 

大震災から3年2ヶ月。決して忘れない。まだ3年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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