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2014年5月16日 (金曜日)

俗っぽいタンジェリン・ドリーム

タンジェリン・ドリーム(Tangerine Dream)は、ドイツのロック・シンセサイザー音楽グループ。タンジェリン・ドリームは、メンバーを少しずつチェンジすることによって、その個性と音世界を少しずつ変化させていった。

Pinkレーベル時代の、ノイズまじりのシンセ音、幽玄で漂う様な音、イメージを音に投影するような作風から、音の旋律化、部分的にではあるがリズムの採用、そして、アナログ・シンセによる広大なスケールと躍動感と、音楽として聴き易い内容へと変化してきた。 

そして、1978年、タンジェリン・ドリームは11枚目のアルバム『Cyclone』(写真左)をリリースする。このアルバムについては、良く記憶している。このアルバムは、タンジェリン・ドリームが、初めてボーカルを採用したアルバムであり、歌詞を付けた歌唱は、それまでのタンジェリン・ドリームの音世界の印象を一変させた。

当然、賛否両論が渦巻いた。ボーカルの採用ばかりでなく、リズムも判り易いロック調なものになり、シンセの旋律はキャッチャーで叙情的なものに変化した。冒頭の「Bent Cold Sidewalk」を聴くと、思わず「これって、ピンク・フロイドか」と思ったりする。ちょうど、ディブ・ギルモアのギターをシンセに置き換えた様な、整然としたピンク・フロイドという感じの音世界が広がる。

そう、この『Cyclone』の音世界は、プログレッシブ・ロックそのものである。それも、タンジェリン・ドリームは、独のバンドでありながら、この『Cyclone』の音世界は、英国プログレッシブ・ロックの音世界である。ウエットで、黄昏時の光の輝きを感じる様な音世界。音が太く濡れていて叙情的。

ラスト(3曲目)の「Madrigal Meridian」などは20分を超える大作で、LP時代ではB面の全てを占めていた。冒頭の「Bent Cold Sidewalk」も13分を超える大作。そう「大作主義」であることも、このアルバムをプログレッシブ・ロックとする理由の一つである。
 

Cyclone

 
ヴォーカル、ベース、シンセの他に、フルート、ピッコロ、バスクラをこなすSteve Jollifeの存在がユニーク。特に、フルートやバスクラの音がクラシック音楽な雰囲気を醸し出して、プログレッシブ・ロックな音世界に拍車をかける。Klaus Krügerのドラムも、非常に判り易いリズム&ビートで、タンジェリン・ドリームの音世界をポップなものにしている。

このプログレッシブ・ロック、つまり商業音楽としてのキャッチャーで判り易い音世界は、当時の硬派なタンジェリン・ドリーム者の人達の顰蹙を買った。俗っぽい音に変わったタンジェリン・ドリームが許せなかったのだろう。当時、この『Cyclone』は、タンジェリン・ドリームのファン、いわゆるタンジェリン・ドリーム者の人達の間で物議を醸し出した。

確かに、この『Cyclone』の音世界はプログレッシブ・ロック。判り易くてキャッチャーで俗っぽい。シンセを駆使した、幽玄で幻想的でミステリアスな雰囲気は希薄になった。でも、この『Cyclone』の音世界って、聴き易いが故に、意外と良い感じなんですね。きっぱりと「プログレッシブ・ロック」と割り切って聴けば、なかなかの内容のアルバムだと思います。

まあ、リリース当時は、タンジェリン・ドリームも商業音楽に魂を売ったのか、とチラッと思ったりもしたんですがね。リリースから35年も経った今、そんなことなど過去のこと、意外とこの『Cyclone』を結構聴いていて、特にこのアルバムの中で、一番の小作(それでも5分ある)「Rising Runner Missed By Endless Sender」の爽快感がたまらなかったりして・・・(笑)。

時の流れは、人間の音に対する感覚と感じ方について、許容範囲を広げる方向に大きくダイナミックに変えていく。

 
 

大震災から3年2ヶ月。決して忘れない。まだ3年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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