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2014年5月15日 (木曜日)

秋吉敏子のライブ音源を愛でる

ジャズの音源は意外と裾野が広い。21世紀になって久しい、この2014年になっても、魅力的かつ音質もまずますの音源が発掘され、商品化されるのだから凄い。世界レベルで考えると、一体、まだどれだけの未発表音源が眠っているのだろう。

今回、未発表音源としてリリースされた音源の中で、へ〜っと感心し、思わずゲットした音源が、秋吉敏子『1980・秋吉敏子トリオ・イン・陸前高田』(写真左)。1980年6月13日 岩手県陸前高田市民会館大ホールで行われたライブ録音の音源が、いきなり、この2014年に出てきたのだ。

CDの宣伝での触れ込みは「奇跡的に発見された録音テープ」。秋吉敏子のピアノ・トリオについては、ライブ音源が少ない。そもそも秋吉敏子がライブ録音を許さなかったことが原因である。どういう経緯で、ライブ録音がなされたのかは、当方ではまだ情報は不確かではあるが、この未発表音源は希少である。

ネットで見てると、どうも秋吉敏子トリオのメンバーに極秘で録音されたものらしい。当日、貴重な演奏を録音しようと機材をセットしたが、駄目だと断られ開始前に撤去。しかし、関係者の一人がホールの調整室に送られた音を極秘でカセットテープに録音を敢行。数少ない関係者らにダビングテープが回っただけで、全く世に知られていない音源らしい。

しかしながら、大震災後、秋吉さんが盛岡を訪れた際に、当時の関係者がそのカセットテープの存在を告白し、CD化の構想を訴えた。復興途上にある被災地への後押しになればと、秋吉さんの快諾を得、34年前のプライベートなカセット録音が、演奏家本人の了承を得て、CD化されるという希少なケースが実現した、とのこと。う〜ん、良い話ではないか。

司会のライブ演奏の開催宣言から秋吉敏子のMCまで、併せてCD化されているところが良い。ライブ感が溢れ、実に生々しい。この陸前高田の市民会館にいて、秋吉敏子トリオの演奏に耳を傾けているような錯覚に陥る。アルバムの最初から最後まで、実に良く出来たライブ音源である。
 

Toshiko_akiyoshi_1980

 
主役の秋吉敏子のピアノが絶好調。このライブ盤を聴いて、秋吉敏子が生粋のバップ・ピアニストであることを再認識する。きめ細やかでしなやかなバド・パウエルとでも形容したら良いだろうか。決して、硬質の激しいタッチで攻めることは無い。

程良く抑制された疾走感、思索的でしなやかなタッチ。流麗なドライブ感。このライブ盤では秋吉敏子のピアノの個性が良く理解出来、良く楽しめる。思えば、秋吉敏子を心ゆくまで楽しめるアルバムって、確かに少ない。ライブ音源となればなおさらである。

ちなみにパーソネルは、秋吉敏子 (p), Joey Baron (ds), Bob Bowman (b)。ジョーイ・バロンのドラミングが柔軟かつ多彩で楽しい。ボブ・ボウマンのベースの堅実さとリーダーシップが実に魅力的。そのドラムとベースの上に君臨する秋吉敏子のピアノ。

秋吉の名曲「ロング・イエロー・ロード」や「秋の海」、お得意のエリントン・ナンバーである「歌を忘れよう」、渋い選曲の「エニグマ」、そして、アンコールの十八番のバド・パウエルのナンバー「テンパス・フュージット」まで、捨て曲無しで一気に聴かせてくれます。

音質としては中の上、一部、音質的に乱れる部分はありますが、録音の元々の媒体がカセットテープであることを考えると、34年を経過した後の音質としては、確かに奇跡的である。よほど、保存状態が良かったのだろう。

この音源を保有していた関係者の音源に対する強い愛情を感じ取る事が出来る。それほど、良い内容のライブ音源である。出来れば生で聴きたかった。そういう思いを持たせてくれる、久し振りのライブ音源である。

 
 

大震災から3年2ヶ月。決して忘れない。まだ3年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
  

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コメント

今晩は、この記事での当時音響(PA)担当していた者です。
 色々と評価して頂き嬉しく思います。
録音機器は、カセットテープですが、ミキサーからのライン録音なので、ある程度の音質は確保出来ましたが、リハーサルでドラムスにはマイクはいらないと本人に言われ録音には苦労しました。
現在、一部の不調なカセットテープ本体の中身だけ新しい外枠に移設したり、カセットデッキも当時のものが見つかり、その結果安定した音質となりました。今回の完全版については私が直接CDマスタリングを制作しておりまして、ご指摘がありました一部ノイズがあった部分も完全に修正され、また、カセットテープ不良につき外した1曲と、新たに見つかった3番目に演奏した1曲、2回目のアンコールの1曲の計3曲とMCの追加を含めて、CD2枚に収めるよう編集中で、間もなく完成します。
その節は、ジャズ喫茶『松和』マスター様に是非お聴き頂き、コメントを下されば幸いです。

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