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2014年5月の記事

2014年5月31日 (土曜日)

懐かしの『かもめのジョナサン』

昔々、日本でもその小説はベストセラーになった。その小説の名は『かもめのジョナサン(Jonathan Livingston Seagull)』。リチャード・バック作の寓話である。1970年に出版。1972年6月以降に大ヒットとなる。1973年には映画化。日本では1974年、五木寛之の訳で出版され、ベストセラーとなった。

主人公のカモメ、ジョナサン・リヴィングストンが、飛ぶということに価値を見出し、速く飛ぶことにチャレンジし続ける。その訓練は他の普通のカモメからすると、完全に「奇人変人」の類であり、異端として群れから追放されてしまう。それでも速く飛ぶ訓練をやめないジョナサン。

ここからが完全に現実離れしていくのだが(ここまでもかなり現実離れしているか・・・)、「目覚めたカモメたち」の世界の中に導かれ、カモメの長老から「瞬間移動」を伝授される。そして、その「飛ぶことの価値」を伝播するためにジョナサンは下界に立ち戻る訳だが、その怪しさ故に下界のカモメからは悪魔と恐れられる、なんていう寓話である。

実は、この話の展開が高校生だった僕達の心にグッときて、小説を皆で読み、皆で映画も見に行った思い出がある。その映画の音楽がとても良かった。当時、米国で人気のSSWだったニール・ダイアモンドが劇中歌を唄い、ストリングス中心のインスト曲は、どれもが当時として新しい感覚のダイナミックでポップな展開を持つ優れものだった。

確かに、この『かもめのジョナサン』のサウンドトラックは、生楽器中心のストリングスがベースのもので、曲の構成、展開がダイナミックで組曲風。メロディーがポップで、ニールのガッチリとした正統派ボーカルと相まって、聴き心地は抜群。
 
当時、流行っていたプログレッシブ・ロック的なテイストが色濃く、我々聴く方としては、プログレのアルバムを聴く様な雰囲気で楽しめる、当時としては、なかなか先進的な内容のサウンドトラックだった。
 

Jonathan_livingston_seagull

 
そのサウンドトラックを僕は長くFMからエアチェックしたカセットで所有していた訳だが、今から10年ほど前、カセットの音源を整理した際、この『かもめのジョナサン』のサウンドトラックについては音質の劣化が激しく、破棄してしまった。CD化されてるのかと探したが、当時は日本盤しか調べることをせず、CD化されていないことを知って、この音源については再所有を諦めてしまった。

が、大震災の後、書庫を整理していて、この『かもめのジョナサン』の小説を発見し、小説を読み進めるうちに、サウンドトラックの存在を思い出した。最近のことである。当然、amazon等を検索し、程なく、Neil Diamond『Jonathan Livingston Seagull : Original Motion Picture Soundtrack』(写真左)としてCD化されていることに気が付いた。

当然、即ゲットである(笑)。10数年ぶりに聴く、『かもめのジョナサン』のサウンドトラックは、ただただ懐かしく、このサウンドトラックに耳を傾けていた、当時の高校の映画研究部の部室の風景を思い出した。そして、このサウンドトラックの内容は、今の耳で聴いても、殆ど古さを感じること無く、当時と同様、プログレのアルバムを聴く雰囲気で十分に楽しめた。

ニール・ダイアモンドのボーカルが実に心地良く響く。もともと滑舌が良く、発音の良いニールのボーカルは聴いていて気持ちが良い。メロディアスでダイナミック、メリハリのあるニールのボーカルは味わい深い。「BE」「DEAR FATHER」「LONELY LOOKING SKY」「SKY BIRD」、いずれの曲も素晴らしい。

しかし、映画はDVDにはなっていないようだ。まあ、それもそのはず、この1973年にホール・バートレット監督によって映画化されたのだが、原作同様に人間は一切登場せず、調教されたカモメが画面を飛び交う、いわゆる「シネポエム」の雰囲気を持ったもので、当時、映画館でこれを観た時はちょっと戸惑った。正直に言うと、今、DVD化しても売れるかどうか、ちょっと怪しい内容ではあるのだ。

それでも、このサウンドトラックは内容がある。CDとして再び入手できたことは祝着至極。いやいや、長生きはしてみるものだ。この歳になって『かもめのジョナサン』のサウンドトラックを再び、CDとして手に入れることが出来た。

 
  

大震災から3年2ヶ月。決して忘れない。まだ3年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、復興に協力し続ける。 

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2014年5月30日 (金曜日)

ヴィダルのカバーに耳を傾ける

iTunes Storeで大人気のジャズ・ボーカリスト、Nina Vidal(ニーナ・ヴィダル)のカバー・コンピレーション。なかなか良いところを突いた企画ものである。

ニーナ・ヴィダルは、NY在住の黒人女性シンガー。テクニックに走らず、自然で伸びの良いボーカルは聴いていて気持ちが良い。変にテクニックに走らないので、すんなりとリラックスして聴ける。フェイクやスキャットなどなくても、すんなりと伸びの良いボーカルがあれば、それだけで良い、という気持ちにさせてくれる。

そんなヴィダルが今回リリースしたカバー集、Nina Vidal『Covers』(写真左)。収録された曲は以下の通り。なんと魅力的なラインナップであることか。僕達の世代にグッと訴求する粋な選曲がそもそも魅力的なアルバム。ちなみに括弧内はオリジナルを唄ったシンガーやグループである。

聴いていて、これは良いなあ、と思ったのは、2曲目「Time After Time」、4曲目「Calling You」、5曲目の「My Love」、7曲目の「Fragile」、9曲目「River」。とにかく曲が良い。オリジナルの曲が良いから、カバーも映える。

1. Driving(エブリシング・バット・ザ・ガールズ)
2. Time After Time(シンディ・ローパー)
3. Waiting In Vain(ボブ・マーリー)
4. Calling You(OST バグダット・カフェ)
5. My Love(ポール・マッカートニー)
6. For The Love of You(アイズレー・ブラザーズ)
7. Fragile(スティング)
8. Crying(ロイ・オービソン)
9. River(ジョニ・ミッチェル)
10. Don't Let Me be Lonley Tonight(ジェームス・テイラー)
 

Nina_vidal_covers

 
特にカバー曲として嬉しかったのは、シンディ・ローパーの「Time After Time」。この曲は、かのジャズの帝王、マイルス・デイヴィスが『You're Under Arrest』でカバー。以降、ライブ演奏の度に必ずと言って良いほど、この「Time After Time」を演奏。素晴らしく良い出来のカバー演奏となった。つまり、マイルスをして、このシンディの名曲の新スタンダード化を企図したのである。

しかし、なかなか他のジャズメン、ボーカリストはカバーしない。つまりはマイルスの演奏バージョンの出来がかなり良く、追従してこの「Time After Time」をやると、マイルスの物真似などというそしりを受けたり、内容として、明らかにマイルスと同等もしくはそれ以下になってしまうリスクが付きまとってしまうのが、やはり嫌だったんだろう。

よって、今回のヴィダルの「Time After Time」の選曲は、単純にマイルス者として嬉しかったなあ。マイルスが生前、新スタンダード化を企図し、ライブで吹きまくった名曲。このカバー集では、ヴィダルが素直にシンプルにシンディの名曲をしっとりと力強く唄い上げて立派である。

ヴィダルの自然で伸びの良いボーカルは、肩肘張らずにリラックスして聴ける。ナチュラルに唄われる曲は事前にすんなり耳に届く。そして、その曲が素晴らしく良い内容の楽曲であれば最早言うことは無い。ただただ、ヴィダルのカバーに耳を傾けるだけで、その間、至福の時間が流れていく。良いボーカル盤です。

 
 

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2014年5月29日 (木曜日)

ブルーベックの「米国の印象」

デイヴ・ブルーベックとポール・デスモンドのコンビは、1951年の出会いから延々と続く。最低15年はベッタリだったと思われる。そして、このコンビは、米国での人気は上々で、毎年1〜3枚のペースでアルバムをリリースしたりしている。

それだけ多くのアルバムをリリースしていると、通常のアプローチ、いわゆるスタンダード曲中心にオリジナル曲2〜3曲か、若しくはスタンダード集で攻めると確実に飽きる。聴く方も飽きるし、演奏する方も飽きる(笑)。そこで、このデイヴ・ブルーベックとポール・デスモンドのコンビは、3つのシリーズ物を仕立てて、そんな「飽き」を回避しようとした。

その3つのシリーズ物とは、まずは、かの『Time Out』に代表される変拍子を駆使したプログレッシブな「タイム」シリーズ、米国の大学を訪問して回ったライブ音源を基にした「カレッジ」シリーズ、そして、様々な国や土地の印象を音で綴った「ジャズ・インプレッションズ」シリーズ。 

日本で一番マイナーなシリーズが、三番目の「ジャズ・インプレッションズ」シリーズである。何故か日本では受けが悪い。恐らく、ジャズというアーティスティックな音楽で国や地方を紹介するというアプローチが、思いっきり「キワモノ」っぽく感じるんだろう。特に、硬派で真面目なジャズ者の方々からしてみたら、許せない行為、なんだろうな。

でも、この「ジャズ・インプレッションズ」シリーズって、アバウトな米国人っぽくて聴いていて面白い。どうしてこうなるかなあ、という様なアプローチが出てきたりして思いっきりズッこけたりする。しかも、デイヴ・ブルーベックとポール・デスモンドのコンビは、極めて真面目に演奏しまくるのだ。

そんな「ジャズ・インプレッションズ」シリーズの筆頭が、Dave Brubeck『Jazz Impressions Of U.S.A.』(写真左)。1956年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Paul Desmond (as), Dave Brubeck (p), Norman Bates (b), Joe Morello (ds)。もうドラムは、「タイム」シリーズで名を馳せたジョー・モレロが担当しているとは、ちょっとビックリ。
 

Jazz_impressions_of_usa

 
日本では、LP時代から、この 『Jazz Impressions Of U.S.A.』はリイシューされることは少なかったと記憶している。CDとしても、やっと最近リイシューされたくらいだ。本当に日本では人気の無い「ジャズ・インプレッションズ」シリーズである。

では、アルバムの内容は、と問えば、これが出来が良い。ブルーベック・カルテットとしても上位にランクするんじゃないか。ブルーベックのピアノも過剰にスクエアにスイングすること無く、端正にして明快。現代音楽風のアブストラクトな展開もここには無い。

デスモンドのアルトも過剰にソフト&メロウに走ること無く、端正にして明快。ベイツのベースはブンブン野太い低音でビートを支え、モレロのドラムは切れ味良くリズムをキープする。充実した共演者に恵まれ、カルテットは軽快に疾走する。

後の十八番となる「Summer Song」の初演が良い。美しくも明るいポジティブな演奏は、ブルーベック・カルテットならではのもの。冒頭の「Ode to a Cowboy」の米国のフォークソングを聴く様な軽快なフレーズが楽しい。実はこのアルバムの全8曲は、全てブルーベックのオリジナルである。ブルーベックの作曲による「米国の印象」。

聴いていて楽しい、聴いていて感じ入る、なかなかの内容のアルバムである。「米国の印象」というタイトルを抜きにしても、ブルーベックのオリジナル曲が魅力的な佳作である。このアルバムがなかなかリイシューされないのは不思議と言えば不思議。

日本には、ブルーベック・カルテットについて、聴かず嫌いのジャズ者が結構多くいるんじゃないかなあ。

 
 

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2014年5月28日 (水曜日)

プログレなボストンのアルバム

昨年の12月の事になるが、ボストンが11年ぶりの新作『Life, Love & Hope』をリリースした。いやいや、懐かしいバンド名である。今となっては、ボストンというバンド名を知っているロック者は数少ないだろう。

ボストン(Boston) は、トム・ショルツによる作詞作曲、編曲、演奏、サウンド・エンジニアリング、総合プロデュースとレコーディング・プロセスの殆ど全てを行ったソロ・プロジェクト。代表的なアルバムは、『Boston (幻想飛行)』『Don't Look Back』の2枚が挙げられる(2008年9月7日のブログ参照・左をクリック)。

アルバムのジャケットにある「No Computers」「No Synthesizer Used」とか「ハンドクラップは全て本物の手拍子」のクレジットが「ヲタク」度を増幅させる(笑)。この「ボストン」がプログレッシブ・ロックの範疇に属するのか否かという議論を良く聞いた。

確かに最初の2枚『Boston (幻想飛行)』『Don't Look Back』はプログレッシブ・ロックかと問われれば躊躇する。インスト中心ではあるんだが、曲はそう長くなく、組曲風でもない。歌詞は思索的どころか、青春ドラマのように判り易く、クラシックやジャズの要素はほとんど無い。良質なアメリカン・ポップ・ロックとした方がすわりが良かった。

しかし、僕がボストンの最高傑作として愛聴している『Third Stage』(写真左)は、完璧にプログレッシブ・ロックの範疇に属する名盤である。1978年リリースの『ドント・ルック・バック』以降、音沙汰の無かったボストンが、1986年に突如として、スタジオアルバムをリリースした。それがこの『Third Stage』である。
 

Boston_third_stage

 
1986年という時代、プログレッシブ・ロックはほぼ絶滅していた。なんとか生き存えていたのはイエスとキング・クリムゾンくらい。他は絶滅したといって良い。そんな時代に、ボストンは完璧にプログレなアルバムを唐突に世に問うている。本当に不思議なトム・ショルツである(笑)。

プログレッシブ・ロックの定義は、演奏形態は「インストルメンタル中心」で、「曲が長く(つまり長尺モノということ)、歌詞は思索的であり(つまりは理屈っぽく)、クラシックやジャズの要素がふんだんに散りばめられており(つまりはアーティスティック)、しかも、変速拍子の嵐(単調でなく、バラエティに富む)」。そして、曲の展開は仰々しく、メリハリがあってドラマチック。

このボストンの『Third Stage』は、このプログレッシブ・ロックの定義をほぼ満たしている。しかも、先達のどのプログレ・バンドにも全く似ていない、どのプログレ・アルバムの引用も無い、ボストンならではの個性をアルバムに満載している。これが「偉い」(笑)。プログレッシブ・ロックな演奏として全く新しい音なのだ。

このアルバムを入手したのは、1986年にアルバムがリリースされた10年後、1996年にCDで入手した。あまり期待せず、ボストンというバンド名が懐かしくて入手に踏み切ったのだが、これが望外の内容で、ビックリするやら嬉しいやら(笑)。往年のプログレ者の僕としては、思いっきり溜飲を下げたのだった。

ジャケット・デザインもシンプルで素敵。ジャケットも明らかにプログレッシブ・ロックしていますね。良いアルバムです。

 
 

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2014年5月27日 (火曜日)

やや中途半端なカークのアルバム

日本ではどうにもマイナーな存在のローランド・カーク。「グロテスク・ジャズ」と形容され、「黒眼鏡の怪人」と呼ばれ、カークの音楽性や音の個性を純粋に評価される以前に、とんでもない形容、誤解をされることが多い。今では、もうその名前さえ、挙がることも少なくなった。

複数のリード楽器を一気に咥えて吹き鳴らすとか、唄いながらフルートを吹くとか、サイレンを鳴らすとか、そんな個性全快のアルバムが一番良いのだが、ジャズ雑誌などで、ローランド・カークを紹介される場合、そんな個性を控えめに奥にしまいこんで、テナー・サックスを中心としたリード楽器とフルートの演奏力を全面に押し出した端正なアルバムを紹介されることが多い。

例えば、このRoland Kirk『Domino』(写真左)などはその好例だろう。1962年4月の3つのセッションを基に編集されたアルバム。その3つのセッションのパーソネルを見渡すと、Wynton Kelly (p), Andrew Hill (p), Herbie Hancock (p) と当時の若手有望ピアニストが3人、名を連ねている。なるほどね。アルバム紹介の時に話題にはなるなあ。

といって、この3人のピアニストがそれぞれのセッションでピアノを担当したからといって、ローランド・カークの演奏の質が変わるとか、化学反応が起きて一期一会の名演が展開されるとか、そういう劇的な出来事はここでは起きない。敢えて言えば、ローランド・カークには、ウィントン・ケリーのハッピー・スインガーなピアノが合うなあ、ということ位だろうか。

ローランド・カークとハービーとかヒルとの間には、あまり目立ったことは起こっていない。特に、ハービーのモーダルなピアノには、カークは合わないだろうな。ヒルのやや前衛的でパーカッシブなモーダル・ピアノにも合わないだろうな。何故って、カークのサックスこそがフルートこそが誰よりもモーダルであり、前衛的であり、パーカッシブであるからである。
 

Roland_kirk_domino

 
そういう意味で、この『Domino』というアルバムでのローランド・カークの個性は、共演者との相性という面でかなり抑制されており、聴けば聴くほど、このアルバムでのカークのパフォーマンスは常識的であり、端正であり、正統派な演奏が中心になっている。

アルバムの後半、6曲目の「3-In-1 Without The Oil」では、カークの個性全開の兆しが聴けるが、次の「Get Out Of Town」では、常識的な演奏に立ち戻る。どうにも、カークの個性全開、フルスロットルというところまでは行かない。「端正」かつ「正統」なテナーとフルートが全面に押し出されていることが実にもどかしい。

この『Domino』というアルバムを、ローランド・カークの初期の傑作とするには、ちょっと個性不足だろう。「端正」かつ「正統」なテナーとフルートが全面に押し出されているところが注目ポイントとするなら、僕は、1961年8月録音の Roland Kirk『We Free Kings』を推したい。

でも、ローランド・カークの初期の傑作として、この『Domino』を推す日本の評論家は多い。まあ、ピアノにWynton Kelly, Andrew Hill, Herbie Hancockという有名どころが名を連ねているので、話題にし易いし、評論もし易いんだろう。でも、この3人のピアニストとの組合せでカークが輝くことが無いという点を考えると、このアルバムは、ローランド・カークの初期の傑作とは言い切れないと思う。

但し、内容的には悪くは無い。中の上。ところどころカークの個性が垣間見えるところが良くもあり、もどかしくもあり。カークの個性を愛でるなら、もっと良い内容のアルバムがある、と思ってしまう、なんとも中途半端なアルバムではある。

 
 

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2014年5月26日 (月曜日)

寺井尚子の最新作『Very Cool』

もともと、寺井尚子のジャズバイオリンはお気に入りである。ジャズバイオリンと言えば、純ジャズ系ではステファン・グラッペリ、フュージョン系ではジャン・リュック・ポンティくらいしか、演奏家の名が浮かばない。ジャズとして、いわゆる「希少」な楽器ジャンルである。

寺井尚子のジャズバイオリンは、純ジャズとしてはステファン・グラッペリ、フュージョンとしてはジャン・リュック・ポンティと比肩するテクニックとセンスを持っており、世界のレベルで十分勝負出来るものだ。

初リーダー作『Thinking of You』は、バップ・チューン「Donna Lee」の超絶技巧な演奏をベースに、純ジャズとしてのジャズバイオリンの秀作だった。それから、ずっと純ジャズとフュージョンを上手くミックスした「ジャジーなアルバム」をリリースしてきた。

しかし、どうも『My Song』あたりから、ジャズ・アルバムというよりは、イージーリスニング寄りの耳当たりの良い、聴き心地の良いアルバムをリリースするようになったなあ、という印象があって、どうにもこれはなあ、という感じで、寺井尚子のアルバムからは暫く遠ざかっていた。

が、今回の新作、寺井尚子『Very Cool』(写真左)は久し振りに「ジャジーなアルバムの雰囲気」。北島直樹 (p), 店網邦雄 (b), 中沢剛 (ds) による気心知れたレギュラーメンバーのトリオ演奏をバックに、寺井尚子がバイオリンを弾きまくるという、従来のジャジーな演奏スタイルが戻って来たようなのだ。
 

Naoko_terai_very_cool

 
しかも、ヴァイブの山本玲子、クオシモードのパーカッション松岡Matzz高廣がゲスト参加。バイオリン一本のフロントだと曲によっては、どうしてもイージーリスニング風の展開になってしまいがちなところを、ヴァイブの参加が上手くクリアしている。パーカッションの参加もグッド。ドラム一本で単調になりがちなリズム&ビートをバリエーション豊かにしている。

選曲もジャズっぽくて良い。1曲目の「Manha De Carnaval」、3曲目の「Cantaloupe Island」、7曲目の「Tempus Fugit」、8曲目の「Everything Happens To Me」の存在に思わずニンマリ。

加えて、ヴァイブの山本玲子、クオシモードのパーカッション松岡Matzz高廣のゲスト参加ということで、今回はきっと、純ジャズとフュージョンを上手くミックスした「ジャジーなアルバム」になっていると踏んで、久し振りにアルバムをゲット。

確かに、この『Very Cool』は、久し振りにジャジーな内容。2曲目の「Quizas. Quizas. Quizas」の存在には首を傾げたくなるが、その他の曲の選曲とアレンジ、プロデュースについては、純ジャズとフュージョンを上手くミックスした「ジャジーな雰囲気」。最後まで、ジャジーな感覚で楽しむことが出来ます。

やはり先に挙げた「ニンマリする選曲」である、「Manha De Carnaval」「Cantaloupe Island」「Tempus Fugit」「Everything Happens To Me」が良い出来だと思います。山本のヴァイブも松岡Matzz高廣のパーカッションも、ファンクネスは仄かに香る程度で、シンプルでストレート。様々なアレンジ、ニュアンスに適応するもので、これもグッド。

寺井尚子のバイオリンは優秀。テクニックも更に高みに達した感がある。バイオリンの音も豊か。アルバム全体の録音も優秀。久し振りに寺井尚子のアルバムをジャジーな感覚で楽しむことが出来ました。

 
 

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2014年5月25日 (日曜日)

1966年『The Secret Sessions』

このボックス盤がリリースされた時は、よくまあこれだけのライブ音源が発掘されたもんだ、と感心したもんだった。

しかも、とあるファンがズタ袋の中に隠し持った小型テレコによって私的に録音されたものということで、驚きは倍増。よく正式盤としてリリースされたもんだ。

そのボックス盤とは、Bill Evans『The Secret Sessions : Recorded at the Village Vanguard 1966 - 1975』(写真左)。全104曲入りの8枚組ボックス盤。全ての音源はこのボックス盤によって初めて世に紹介された演奏ばかりである。

マイク・ハリス&エヴァリン・ハリス夫妻が私的に録音した音源なので、タイトルは『The Secret Sessions』。なるほどね。しかし、ファンの気持ちもここまでくると「執念」を感じるなあ。エヴァンスが同クラブに出演すると、週2回出かけてテープを回す。赴任先の西海岸からトンボ帰りをしてまで録音を続けたとか。

でも、この録音って、エバンスによって正式に認められた録音じゃないんですよね。つまりは違法録音。それでも、その内容の重要性に、エバンスの死後、エバンス財団が許可を出して、Milestones社長であるOrrin Keepknewsがリリースに踏み切ったという曰く付き。

しかし、小型テレコでの録音とは言え、UHER(ウーヘル)製の小型テレコでの録音なので、音は意外と良い状態なんですね。もっとチープな音質を想像していたので、この音質にはビックリしました。十分に鑑賞に耐えるレベルです。
 

Bill_evans_secret_sessions

 
さて、この『The Secret Sessions』を聴き直し始めました。今週は1966年の録音をまとめ聴き。まずは、1966年3月の録音。パーソネルは、Bill Evans (p), Teddy Kotick (b), Arnie Wise (ds)。

特に取り立てて特徴のあるトリオ演奏ではありません。平均的なビル・エバンス・トリオの演奏。テディ・コティックのベースも平均点。それでも、エバンスのピアノは端正なタッチで、エバンス節全快。エバンスのパフォーマンスの質は変わらないなあ、と妙に感心しました。

次のセッションは1966年7月3日。パーソネルは、Bill Evans (p), Eddie Gomez (b), Arnie Wise (ds)。ここで初めて、ベースにエディ・ゴメスが登場しますが、恐らく加入早々のトリオ演奏なんでしょう。まだ、ゴメスは後ろに引っ込んで控えめの演奏に終始しています。やはり、いかに優秀なベーシストとはいえ、慣れが必要なんだなあ、と変に感心してしまいます。 

このBill Evans (p), Eddie Gomez (b), Arnie Wise (ds)のトリオ演奏が、10月21日、11月10日、11月12日と続きます。7月のセッションから3ヶ月経って、さすがゴメスはトリオに溶け込んで、ベース・ソロも堂々としてきました。まだ硬いところはありますが、この録音からは、ゴメスはエバンスとの相性が良いベーシストであることが判ります。

この1966年の5つのセッション聴き進めて、さすがビル・エバンスだなあ、と感心しました。演奏のレベルが変わらない。アドリブのイマージネーションも豊か。さすが超一流のジャズ・ピアニスト。端正なタッチ、エバンス節全快なアドリブ。

まあ、この演奏レベルであれば、天国のエバンスも、この『The Secret Sessions』のリリースを苦笑いしながら許してくれるのではないでしょうか。

 
 

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2014年5月24日 (土曜日)

クリヤ・マコトの3年ぶりの会心作

ジャズ・ピアニスト、クリヤ・マコトの3年ぶりとなるアルバム。クリヤ・マコト・オールスターズ『NOTHIN' BUT JAZZ』(写真左)。オールスターズもので、総勢22名の国内外の人気・実力派アーティストが参加、そのメンバーは大変豪華である。

冒頭のギラ・ジルカのボーカルが格好良い「Street Walking Woman」を聴いて、思わず、1970年代後半〜1980年代前半のクインシー・ジョーンズを思い出した。

クインシーのアルバムとしては『Sounds...And Stuff Like That!!』『The Dude』『Back on the Block』辺り。クインシー・ジョーンズの黄金期である。この頃のクインシー・ジョーンズは無敵状態。ジャズを基調としながら、ソウル、ファンク、ブルースなどの要素を取り込み、優れたアレンジと優れた参加ミュージシャンとの共演にて、素晴らしいフュージョン・ミュージックを演出した。

このクリヤのアルバム『NOTHIN' BUT JAZZ』は、ジャズを基調としながらも、ソウル、ファンク、ブルースから、更に幅広く、アフロ、ハウス、ブラジリアンなどの要素を取り込み、クインシー同様、優れたアレンジと優れた参加ミュージシャンとのコラボによって、内容の濃い、素晴らしいフュージョン・ミュージックを演出している。 

そう言えば、1970年代後半から1980年代前半、このクインシー的アプローチをハービー・ハンコックがチャレンジしたが、ちょっと幅が狭いファンク・ミュージックに留まってしまったことを思い出したが、今回、このクリヤ・マコトのアプローチは、日本人ならではの積極的で幅広な音楽要素の取り込みで成功している。

純ジャズとして聴くには無理があるフュージョン・ミュージックである。ジャズを基調としながら、様々な音楽要素を取り入れた、フュージョン・ミュージックである。アレンジとプロデュース力が物を言う。そういう意味で、このアルバム『NOTHIN' BUT JAZZ』では、クリヤ・マコトのアレンジとプロデュースが素晴らしい。
 

Nothin_but_jazz

 
10代のころに聴いた音楽が、僕の細胞の中に入っているような感覚とは、同世代のクリヤ・マコトの弁。選曲やアレンジについては、理屈抜きで楽しめる。どの曲も聴いていて楽しい。

3曲目の「Great American Melodies」の「ロッキーのテーマ」から「ラプソディ・イン・ブルー」の展開は、僕達の世代には心震える展開だ。5曲目の「Cherokee」も楽しい。アレンジの雰囲気は、山中千尋の2ビート風の奇想天外なアレンジを想起させる。

そして、6曲目の「The Stranger」は、ビリー・ジョエルの大ヒット曲。日本では1978年5月にシングル・カットされて大ヒットした。僕は大学生。いやはや懐かしい選曲である。もちろん、クリヤ・マコトのアレンジが冴える。そして、ボーカルは、なんとあの、今をときめくSHANTI。キメの良い切れ味の抜群の演奏に惚れ惚れする。

11曲目の「Sister Sadie」は、ホレス・シルバーのファンキー・ジャズ・チューン。1960年代前半のヒット曲だが、このコッテコテのファンキー・ジャズを上手く現代のフュージョン・チューンにアレンジしている。クリヤ・マコト(pf)、早川哲也(b)、大坂昌彦(ds)のピアノ・トリオをベースに、北原雅彦(tb)、元晴(as)、タブゾンビ(tp)が絡む。日本人独特の乾いたファンクネスが色濃く漂う。

ジャズを基調としながら、ソウル、ファンク、ブルースなどの要素を取り込んだ、コンテンポラリーなフュージョン・ミュージック。ジャズを基調としているので、底を支えるリズム&ビートはジャジー。これもジャズ。懐深いジャズの世界で、クリヤ・マコトのアレンジが冴える。聴いていて楽しい。音楽の基本中の基本を押さえていて見事。

 
 

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2014年5月23日 (金曜日)

ついついクラプトン者の性である

クラプトン者として、ちょっと悩ましいボックス盤である、Eric Crapton『Give Me Strength: The '74/'75 Recordings』(写真左)。そののDisc 3とDisc4を聴く。そのサブタイトルは『E.C. Was Here Remixed and Expanded』。う〜ん、魅力的やなあ。

つまり、この『E.C. Was Here Remixed and Expanded』は、1975年リリースの『E.C. Was Here』(写真右)の拡張盤というもの。この1974年から75年にかけてのクラプトンのライブ音源は、ボックス盤『Crossroads』や『Live in The Seventies』にも多数収録されている。

今になって何が拡張盤なんや、と思ってみたら、なんと『Live in The Seventies』にも未収録の1974年7月20日のLong Beach Arenaでのライブの4曲「Crossroads」「I Shot the Sheriff」「Layla」「Little Wing」が初出である。

当然、1975年にリリースされた『E.C. Was Here』に収録された曲もしっかりとそのまま入っている。その曲については、いずれも相当に聴き込んだ懐かしい演奏。アドリブ・フレーズなど、しっかりと口ずさむことが出来る。やっぱり良い演奏やなあ。

さて、初出の1974年7月20日のLong Beach Arenaでのライブの4曲の出来は如何と問えば、まあまあかな、と応えるかな。さすがに吟味された『E.C. Was Here』に収録された演奏にはかなわないが、それなりに出来は良い。なるほど、1974年から75年のクラプトンのライブは充実していたということになる。
 

Give_me_strength_2

 
適度にレイドバックし、適度にテンション高く、適度にハード。レイドバックしたリラックスしまくった演奏ばかりかと思いきや、どうして、今の耳で聴くと、なかなかに良い感じにハードな内容の演奏が聴ける。アップテンポでギンギンに弾きまくるばかりがロックでは無い。

良い音です。この頃のクラプトンの音が一番好きやなあ。この頃のクラプトンが飛び切りやなあ。確かにタイトル通り。『E.C. Was Here Remixed and Expanded』。『E.C. Was Here』の拡張盤。CDのフォーマットになって、この拡張盤の編集、なかなかいけます。単体で発売しても良い位の出来かと思います。

70年代クラプトンのいいとこを集めたボックス盤『Give Me Strength: The '74/'75 Recordings』。「461 Ocean Boulevard」「There’s One In Every Crowd」の最新リマスター盤とこの『E.C. Was Here Remixed and Expanded』、既出の音源がかなり入っていて、なんだかなあ、と思っていても、ついつい手に入れてしまう。クラプトン者の性ですなあ(笑)。未発表スタジオ・アウトテイクも入っているしなあ。

編集が変わると音源の印象も変わる。初出の音源は少なくても、この『Give Me Strength: The '74/'75 Recordings』は、クラプトン者であれば、やっぱり「買い」ですね。というか、ついつい「買ってしまう」んですね(笑)。上手くやられたなあ、とは思うんですが、どうもあかんなあ(笑)。

 
 

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2014年5月22日 (木曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・30

ジャズ・オーケストラには、ジャズ・オーケストラを惹き立たせる専用の楽曲が用意されていることが多いのであるが、ジャズ・オーケストラの鬼才ギル・エバンス(Gil Evans)は、ジャズ・スタンダード曲をジャズ・オーケストラでの演奏にアレンジするのが実に上手い。

スタンダード曲の持つ美しい旋律を浮き立たせる様に、ジャズ・オーケストラのユニゾン&ハーモニーがバックに漂う。そして、スタンダードを素材にアドリブを展開する楽器を主役に惹き立てる。

そんなジャズ・スタンダード曲をジャズ・オーケストラでの演奏にアレンジした優れものアルバムが2枚ある。ギル・エバンスのスタンダード集、一枚目は1959年録音の『Great Jazz Standards』(写真左)、そして、もう一枚が1958年録音の『New Bottle Old Wine』(写真右)。

どちらのアルバムも、ギル・エバンス独特の幻想的なユニゾン&ハーモニーの響きが、見事にスタンダード曲の旋律を惹き立てている。ギル・エバンスのアレンジは、構築美というよりは、ソロイストの演奏を全面に押し出す、シンプルなアレンジが特徴。

ソロイストの演奏を全面に押し出すギルのアレンジは、やはり実力十分の一流ジャズメンがメンバーに配された時、更に映える。そういう点では、一枚目の『Great Jazz Standards』はメンバー的にも申し分無い。ちょっと眺めただけでも、Johnny Coles(tp), Curtis Fuller(tb), Elvin Jones(ds), Cannonball Adderley(as), Paul Chambers(b) 等々、錚々たるメンバーではないか。
 

Great_jazz_new_bottle

 
『New Bottle Old Wine』も演奏するメンバーについては申し分無い。というか、聴いていて、アルト・サックスは誰かが直ぐ判る。そう、キャノンボール・アダレイが実に気持ちよさそうに吹きまくっているのだ。ドラムにはArt Blakeyが控えている。

このアルバム、選曲が魅力的で、サッチモからモンク、パーカーに至る、古めの渋いポピュラーな曲を取り上げている。これが聴き応え満点。ジャズ・オーケストラをバックにした大スタンダード大会である。

楽器の低音を上手く活かした、独特のアンサンブルの響きが凄く心地良く響く。面白いのは、金管楽器が中心のユニゾン&ハーモニー。シャープさが際立ち、独特の響きを獲得している。

このギル・エバンスのスタンダード集は、聴いていて飽きが来ない。スタンダードの旋律を全面に押し出し、ソロイストのパフォーマンスを主役に仕立てる。オーケストラはあくまで脇役。それでも、このギル・エバンスのジャズ・オーケストラのバックが無いと、この独特の響きを愛でることが出来ない。

ギル・エバンスのジャズ・オーケストラのアレンジの個性がとても良く判る2枚のアルバムです。どちらも甲乙付け難い。僕は、キャノンボール・アダレイの大活躍とジャケット・デザインのセンスで、『New Bottle Old Wine』の方が好みです。でも、『Great Jazz Standards』良いですよ。ジャケット・デザインがちょっと稚拙なのが玉に瑕です。

 
 

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2014年5月21日 (水曜日)

硬派でハードで時にアブストラクト

前作『Promise Me the Moon』で、開き直ったサンボーンがロック&ポップな面を強め、当時のフュージョン・ジャズのトレンドをしっかりと踏襲した、個性的な内容のアルバムを世に問うたのであるが、意外とセールスは伸びなかった。

それでは、という訳では無かったんだろうが、次作『Heart to Heart』(写真左)では、かなり硬派なフュージョン・ジャズに走った。1978年のリリースではあるが、当時、流行っていたソフト&メロウなフュージョンは絶対にやらないぞ、なんていう、ちょっと捻くれた「矜持」を感じるのだ(笑)。ちなみにこの『Heart to Heart』のパーソネルは、以下の通りになる。

Steve Gadd (ds), David Sanborn (as), Ralph MacDonald (per), Michael Brecker (ts), Randy Brecker (tp), Hugh McCracken (g), Richard Tee (p, el-p, org), Don Grolnick (p), Jon Faddis, David Spinozza (ac-g & el-g)。

いやいやいや、錚々たるメンバーではないか〜。今から思えば凄いメンバーだ。ドラムはガッド、パーカッションはラルフ、ブレッカー兄弟がいて、エレピ&オルガンはファンクネスの権化ティー、そして、スピノザ&ファディスのギター。うっへ〜、このメンバーでは駄作は絶対に無いな。ということで、このサンボーンの『Heart to Heart』は素晴らしい内容のフュージョン・アルバムに仕上がっている。

冒頭の「Solo」は、力強い展開の、硬派なフュージョン・ジャズ。決して、ソフト&メロウなフュージョンでは無い。サンボーンのアルトもブラスの響きがブリブリしている。そんなサンボーンを支えつつ鼓舞する、ガッドのドラミング。時代の流行に迎合しないサンボーンのフュージョンがここにある。

2曲目の「Short Visit」は、大人数の編成でのジャズ・オーケストラ的な演奏。暫く聴いていると、その音の重ね方、ユニゾン&ハーモニーの響きが個性的で、ジャズ・オーケストラ好きのジャズ者の方なら、このジャズオケのアレンジは誰のアレンジだか判るでしょうね。
 

Heart_to_heart

 
そう、ギル・エバンスです。ギル・エバンスのジャズオケのアレンジに乗って、サンボーンが硬派にハードに、時にアブストラクトにアルトを吹きまくります。ここでのサンボーンのアルトは凄い。サンボーンのテクニックが確かなことを再確認します。 ギル・エバンスのアレンジが、硬派でハードなサンボーンのアルトを更に全面に押し出します。この演奏はもはやフュージョンでは無い。純なジャズオケでしょう。

3曲目の「Theme From "Love Is Not Enough"」も、邦題は「愛のテーマ」ではあるが、どうして、決して甘いソフト&メロウな演奏では無い。この曲でのサンボーンのアルトは、硬派であり、ハードであり、音が大きく、そこかしこにアブストラクトさを漂わせて、とにかくサンボーンは吹きまくる吹きまくる。

そして、米国ルーツ・ミュージックを愛して止まない僕のお気に入りが、6曲目の「Sunrise Gospel」。リチャード・ティ+スティーブ・ガッドの「スタッフ」のファンクネスなノリで、演奏の展開はゴスペルそのもの。そのゴスペルチックな展開の中で、サンボーンが思いっきりアルトを吹きまくる。凄い音圧、ブラスの響き。名演です。

ラストの「Anywhere I Wander」は感動の名演。劇的な展開の中で、ここでもサンボーンは思いっきりアルトを吹き鳴らします。邦題は「果てなき旅路」で、どうしてこういう邦題になったのか、良く判りませんが、とにかくこのラスト・チューンは感動の名演です。

ジャケットに大写しのサンボーンの顔はちょっとイモっぽくて気恥ずかしい。このアルバム、内容は硬派なフュージョンとして実に充実した内容を誇っているだけに、ジャケット・デザインはもう少し配慮して欲しかったなあ。

このアルバム『Heart to Heart』は、このジャケット・デザインで損をしていますね。このジャケットだけ見れば、聴き心地だけが良い、当時流行のソフト&メロウなフュージョン盤と誤解されても不思議では無い(笑)。このジャケット・デザインにだけは目をつぶって頂きたいですね(笑)。

 
 

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2014年5月20日 (火曜日)

ブルーベックが主役のカルテット

今を去ること35年前、『Time Out』という変則拍子のプログレッシブなジャズ名盤を聴いてから、僕はずっと、Dave Brubeck(ディブ・ブルーベック)のファンである。

しかし、我が国日本では、このディブ・ブルーベックは人気が無い。スイングしないピアノだの、スクエアな下手くそピアノだの、けちょんけちょんである。でも、僕はこのブルーベックのピアノが殊の外、気に入っている。スクエアな縦ノリのスイング感が癖になる。

ということで、ブルーベックと出会って以来35年、ブルーベックのリーダー作を少しずつ集めてきた。そんな中で、ブルーベックのピアノを全面に押し出した、ブルーベック・カルテットのアルバムがある。『Brubeck Time』(写真左)である。

1954年10〜11月の録音。ちなみにパーソネルは、Dave Brubeck (p), Paul Desmond (as), Bob Bates (b), Joe Dodge (ds)。変則拍子のカルテットでは未だ無いが、ブルーベック〜デスモンドのコラボレーションは、ほぼ完成の域にある。ベース、ドラム共に、いまや無名のメンバーではあるが、しっかりとリズム&ビートをキープし、フロントの二人を支え、盛り立てている。

1曲目の「Audrey」と5曲目の「Stompin' for Mili」の2曲は、ブルーベック〜デスモンドのオリジナル。ちなみに「Audrey」は、オードリー・ヘップバーンの森を歩く姿をイメージして曲名がつけられたとのこと。他の収録曲はスタンダード曲。しかし、曲名を見ると、実に渋い「知る人ぞ知る」的なスタンダード曲を採用しているところが心憎い。
 

Brubeck_time

 
ブルーベックのピアノについては、常に僕は以下の様に評している。ブルーベックのピアノは、前衛的なクラシックの様なピアノを応用しているので、流れる様に横に揺れるように、オフビートにスイングすることは出来ない。ブルーベックは、クラシックの4拍子の流れの様にスクエアに「スイング」するのだ、と。

そんなスクエアに「スイング」するブルーベックのピアノが全面に押し出されたブルーベック・カルテットの演奏。
 
通常は、ポール/デスモンドのアルトが全面に押し出され、ブルーベックはそのバックで、デスモンドのアルトを支え鼓舞するのだが、この『Brubeck Time』は、ブルーベックのピアノが主役。デスモンドのアルトが、ブルーベックのピアノに寄り添い、ブルーベックのピアノを支え鼓舞する。

『Brubeck Time』というタイトルは「言い得て妙」。デスモンドのアルトが主役のいつものブルーベック・カルテットとは違った味わいの、ブルーベックのピアノがフィーチャーされたブルーベック・カルテット。これはこれで、実に味わいのあるアルバムで、ブルーベックのピアノを心ゆくまで愛でることが出来ます。

隠れ佳作ですね。アルバム・ジャケットも、なんとなくブルーベックが主役の『Brubeck Time』って感じで良い出来です。

 
 

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2014年5月19日 (月曜日)

somethin'elseレーベルのウッズ

「somethin'else」は日本制作の、BlueNoteの姉妹レーベル。レーベル名はBlueNoteのベストセラー・アルバム、Cannonball Adderley『Somethin' Else』からの借用。1988年、日本にて設立。昨年は25周年。売れ線のアルバム中心にリイシューされたのも記憶に新しい。

ハードバップからモード、新主流派から新伝承派と、メインストリーム・ジャズが中心の制作パターン。プロデュースの方針は基本的に「日本人好み」がメイン。選曲からアレンジから、どこをとっても日本人の仕業である(笑)。

しばらくの間、廃盤状態が続いたアルバムが多く、我々、ジャズ愛好家、いわゆる「ジャズ者」からすると「困ったなあ」な状態。しかし、昨年25周年の節目の年を迎え、人気の高いアルバムを中心にリイシューされた。思わず、手当たり次第、10枚ほど「大人買い」してしまった(笑)。

そんなsomethin'elseレーベルの音を、しっかりと感じることが出来るアルバムの中の一枚が、Phil Woods『Cool Woods』(写真左)。1999年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Phil Woods (as), Junko Onishi (p), Ron Carter (b), Bill Goodwin (ds)。

まず、パーソネルをみれば、この人選は「日本人好み」でしょう。ベテランのアルト、フィル・ウッズがリーダー。このウッズのチョ イスからして「渋い」。玄人好みのリーダーの人選。そこに、日本人ジャズ者が盲目的に愛するベーシスト、ロン・カーター。そして、これまた渋い人選、堅実かつ確実なドラマ−、ビル・グッドウィン。そして、日本人好みの極めつけは、若手女性ピアニスト、大西順子の選択。
 

1. Lullaby Of The Leaves
2. All The Things You Are
3. 'Round Midnight
4. You Don't Know What Love Is
5. Embraceable You
6. Samba Dubois
7. What Are You Doing The Rest Of Your Life
 

Cool_woods1

 
加えて、上の収録曲のリストを見て欲しい。アルバムの収録曲の選曲が実に「日本人好み」。ジャズ・スタンダードのオンパレード。超有名なスタンダード曲から、玄人好みの渋くて粋なスタンダード曲まで、いやいや、こんなにスタンダード曲ばかり選曲しなくても良いのになあ(笑)。

さて、このアルバムの内容は、と言えば、徹頭徹尾、非常に良く練られたハードバップな演奏。しっかりリハーサルも積んでいるみたいだし、アドリブ・フレーズも「こんな雰囲気で」と事前に合意されているみたく、淀みなく破綻無く流れる様なフレーズがてんこ盛り。ちょっと作られた感があって、オーバー・プロデュースか、とも思ってしまうほど、端正な出来である。

そんな端正なハードバップな演奏の中で、フィル・ウッズのアルトが素晴らしい出来。エモーショナルに、ブラスを鳴り響かせる様に吹き上げるウッズのアルトは、アルバム全編に渡って「絶品」である。スタンダード曲は、それぞれ歌ものなんだが、この歌ものを吹かせると、ウッズはその実力を遺憾なく発揮する。このアルバムは、ウッズのみを愛でる盤。ウッズだけが突出して出来が良い。

このアルバムの「売り」の大西順子のピアノは宣伝文句ほどに耳を惹くものは無く、大人しい。曲毎に様々なスタイルのピアノを展開するが、器用なところだけが目立ってしまい、ちょっと損をしている。ロン・カーターのベースも控えめ。やはり、ロンのベースは、モーダルな展開にこそ、その実力が出るみたいで、純粋ハードバップな演奏は意外とスタンダードで突出してものは無い。

ビル・グッドウィンのドラミングについては「聴きもの」です。堅実で洒脱なドラミングは粋で渋い。しっかりとウッズのインプロビゼーションをサポートし、鼓舞する。このアルバムでのウッズの好調さは、このグッドウィンのドラミングに負うところが大きいと思います。新しい響きもみえかくれして、現代のハードバップなドラミングを聴かせてくれます。

とにかくウッズのアルトが美しくかつ逞しい。大スタンダード大会なアルバムですが、凡庸なハードバップ盤に陥らないのは、ひとえにウッズのアルトのお陰でしょう。ちょっと日本人臭さが気にはなりますが、このアルバムは、アルトのウッズを愛でるに相応しい好盤だと思います。

 
 

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2014年5月18日 (日曜日)

僕にとっては初夏の雰囲気です。

一昨日の季節外れの冷え込みはどこへやら、今日は一気に夏の気配。思いっきり初夏な陽気になった。もはや長袖では暑いくらい。これだけ劇的に気候が変化すると身体がついていかない。特に、大きな手術を経た身体だけに不安はまだまだ残っている。慎重にならないと、と改めて心を戒める。

今日は、70年代のニューミュージックの話を。さて、この初夏たけなわの頃になると、聴きたくなるアルバムがある。渡辺真知子のデビューアルバム『海につれていって』(写真)である。このアルバムの、若く明るい溌剌とした雰囲気は、この初夏のシーズンにピッタリなのだ。潮騒の音が聞こえてくるようなインストゥルメンタル「海のテーマ」で始まる雰囲気は、僕にとっては初夏の雰囲気。

渡辺真知子は1977年のデビュー。当時のニューミュージックのシンガーソングライター(以下SSWと略す)としては珍しく、声楽出身ならではの正統な発声と豊かな声量が特徴で、歌謡曲の時代からの正統派歌手の流れを踏襲したもの。彼女の手なる曲についても、歌謡曲の時代から続く曲の展開を踏襲してはいるが、コード進行など、当時のニューミュージックでの新しい響きを取り入れ、洗練したもの。「故きを温ねて新しきを知る」的な曲作りは、他のSSWとは一線を画したものであった。

このデビューアルバムには、そんな渡辺真知子のSSWとしての個性が詰まっている。冒頭2曲目の「かもめが翔んだ日」などは、渡辺真知子の作曲の個性を実に良く表現している。従来の歌謡曲の展開よりも複雑なコード展開と、転調などを上手く使った曲作りは、歌謡曲の様でありながら、従来の歌謡曲よりは洗練された響きと洒落た雰囲気を持った独特な味わいがあった。
 

Umini_tureteitte

 
特にこの「かもめが翔んだ日」は、編曲の妙として、曲の頭のオーバーチュアが個性的で、このオーバーチュアの存在が、この曲のドラマチックな展開に大きく貢献している。スチールギターのピュンピュンというカモメの鳴き声を模した効果音をバックに、コードをグングン上げていって、いきなりボーカルが「ハーバーライトが朝日に変わる〜」と入ってくるところなどは、今聴いてもゾクゾクする。 

この「かもめが翔んだ日」以降「片っぽ耳飾り」「愛情パズル」「私の展覧会」と続く、LP時代のA面は、渡辺真知子の作曲の個性をふんだんに味わわせてくれる。 歌謡曲の様で従来の歌謡曲では無い。洗練され垢抜けて「故きを温ねて新しきを知る」的な曲作り。コード展開とか、サビの部分での転調とか、独特なんですよね。

そして、LPのB面の1曲目を飾った「迷い道」。この曲を初めて聴いた時はビックリしました。その時は、まだ渡辺真知子の存在を知らない。喫茶店での有線放送でした。いや〜、歌詞も凄いんですが、作曲が凄い。歌謡曲の様で歌謡曲でない音の展開と響き。コード進行や転調の度合いは、当時、ニューミュージックと呼ばれた新しいJポップの流行を踏襲した新しいもの。思わず、誰だこれ、何だこの曲、と思いました。

この「迷い道」を冒頭に配したLP時代のB面もなかなかの展開。「なのにあいつ」「今は泣かせて」は失恋ソングとしてシットリした展開、そして「朝のメニュー」は、ちょっとコミカルで明るいフォーク調の佳作。そしてラストの締めの名曲「あなたの歌」。基本的に捨て曲無しの展開には、当時、単純に凄いな〜、と思いましたね。

ちょっぴり暗い失恋ソングもある内容ですが、やはり、冒頭の「海のテーマ〜海につれていって」の入りの部分の雰囲気から、海をテーマにした「かもめが翔んだ日」の雰囲気は「初夏」の雰囲気。初夏のキラキラした海を舞台に展開されるデビューアルバム『海につれていって』の世界。僕にとっては今の季節にピッタリです。

 
 

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2014年5月16日 (金曜日)

俗っぽいタンジェリン・ドリーム

タンジェリン・ドリーム(Tangerine Dream)は、ドイツのロック・シンセサイザー音楽グループ。タンジェリン・ドリームは、メンバーを少しずつチェンジすることによって、その個性と音世界を少しずつ変化させていった。

Pinkレーベル時代の、ノイズまじりのシンセ音、幽玄で漂う様な音、イメージを音に投影するような作風から、音の旋律化、部分的にではあるがリズムの採用、そして、アナログ・シンセによる広大なスケールと躍動感と、音楽として聴き易い内容へと変化してきた。 

そして、1978年、タンジェリン・ドリームは11枚目のアルバム『Cyclone』(写真左)をリリースする。このアルバムについては、良く記憶している。このアルバムは、タンジェリン・ドリームが、初めてボーカルを採用したアルバムであり、歌詞を付けた歌唱は、それまでのタンジェリン・ドリームの音世界の印象を一変させた。

当然、賛否両論が渦巻いた。ボーカルの採用ばかりでなく、リズムも判り易いロック調なものになり、シンセの旋律はキャッチャーで叙情的なものに変化した。冒頭の「Bent Cold Sidewalk」を聴くと、思わず「これって、ピンク・フロイドか」と思ったりする。ちょうど、ディブ・ギルモアのギターをシンセに置き換えた様な、整然としたピンク・フロイドという感じの音世界が広がる。

そう、この『Cyclone』の音世界は、プログレッシブ・ロックそのものである。それも、タンジェリン・ドリームは、独のバンドでありながら、この『Cyclone』の音世界は、英国プログレッシブ・ロックの音世界である。ウエットで、黄昏時の光の輝きを感じる様な音世界。音が太く濡れていて叙情的。

ラスト(3曲目)の「Madrigal Meridian」などは20分を超える大作で、LP時代ではB面の全てを占めていた。冒頭の「Bent Cold Sidewalk」も13分を超える大作。そう「大作主義」であることも、このアルバムをプログレッシブ・ロックとする理由の一つである。
 

Cyclone

 
ヴォーカル、ベース、シンセの他に、フルート、ピッコロ、バスクラをこなすSteve Jollifeの存在がユニーク。特に、フルートやバスクラの音がクラシック音楽な雰囲気を醸し出して、プログレッシブ・ロックな音世界に拍車をかける。Klaus Krügerのドラムも、非常に判り易いリズム&ビートで、タンジェリン・ドリームの音世界をポップなものにしている。

このプログレッシブ・ロック、つまり商業音楽としてのキャッチャーで判り易い音世界は、当時の硬派なタンジェリン・ドリーム者の人達の顰蹙を買った。俗っぽい音に変わったタンジェリン・ドリームが許せなかったのだろう。当時、この『Cyclone』は、タンジェリン・ドリームのファン、いわゆるタンジェリン・ドリーム者の人達の間で物議を醸し出した。

確かに、この『Cyclone』の音世界はプログレッシブ・ロック。判り易くてキャッチャーで俗っぽい。シンセを駆使した、幽玄で幻想的でミステリアスな雰囲気は希薄になった。でも、この『Cyclone』の音世界って、聴き易いが故に、意外と良い感じなんですね。きっぱりと「プログレッシブ・ロック」と割り切って聴けば、なかなかの内容のアルバムだと思います。

まあ、リリース当時は、タンジェリン・ドリームも商業音楽に魂を売ったのか、とチラッと思ったりもしたんですがね。リリースから35年も経った今、そんなことなど過去のこと、意外とこの『Cyclone』を結構聴いていて、特にこのアルバムの中で、一番の小作(それでも5分ある)「Rising Runner Missed By Endless Sender」の爽快感がたまらなかったりして・・・(笑)。

時の流れは、人間の音に対する感覚と感じ方について、許容範囲を広げる方向に大きくダイナミックに変えていく。

 
 

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2014年5月15日 (木曜日)

秋吉敏子のライブ音源を愛でる

ジャズの音源は意外と裾野が広い。21世紀になって久しい、この2014年になっても、魅力的かつ音質もまずますの音源が発掘され、商品化されるのだから凄い。世界レベルで考えると、一体、まだどれだけの未発表音源が眠っているのだろう。

今回、未発表音源としてリリースされた音源の中で、へ〜っと感心し、思わずゲットした音源が、秋吉敏子『1980・秋吉敏子トリオ・イン・陸前高田』(写真左)。1980年6月13日 岩手県陸前高田市民会館大ホールで行われたライブ録音の音源が、いきなり、この2014年に出てきたのだ。

CDの宣伝での触れ込みは「奇跡的に発見された録音テープ」。秋吉敏子のピアノ・トリオについては、ライブ音源が少ない。そもそも秋吉敏子がライブ録音を許さなかったことが原因である。どういう経緯で、ライブ録音がなされたのかは、当方ではまだ情報は不確かではあるが、この未発表音源は希少である。

ネットで見てると、どうも秋吉敏子トリオのメンバーに極秘で録音されたものらしい。当日、貴重な演奏を録音しようと機材をセットしたが、駄目だと断られ開始前に撤去。しかし、関係者の一人がホールの調整室に送られた音を極秘でカセットテープに録音を敢行。数少ない関係者らにダビングテープが回っただけで、全く世に知られていない音源らしい。

しかしながら、大震災後、秋吉さんが盛岡を訪れた際に、当時の関係者がそのカセットテープの存在を告白し、CD化の構想を訴えた。復興途上にある被災地への後押しになればと、秋吉さんの快諾を得、34年前のプライベートなカセット録音が、演奏家本人の了承を得て、CD化されるという希少なケースが実現した、とのこと。う〜ん、良い話ではないか。

司会のライブ演奏の開催宣言から秋吉敏子のMCまで、併せてCD化されているところが良い。ライブ感が溢れ、実に生々しい。この陸前高田の市民会館にいて、秋吉敏子トリオの演奏に耳を傾けているような錯覚に陥る。アルバムの最初から最後まで、実に良く出来たライブ音源である。
 

Toshiko_akiyoshi_1980

 
主役の秋吉敏子のピアノが絶好調。このライブ盤を聴いて、秋吉敏子が生粋のバップ・ピアニストであることを再認識する。きめ細やかでしなやかなバド・パウエルとでも形容したら良いだろうか。決して、硬質の激しいタッチで攻めることは無い。

程良く抑制された疾走感、思索的でしなやかなタッチ。流麗なドライブ感。このライブ盤では秋吉敏子のピアノの個性が良く理解出来、良く楽しめる。思えば、秋吉敏子を心ゆくまで楽しめるアルバムって、確かに少ない。ライブ音源となればなおさらである。

ちなみにパーソネルは、秋吉敏子 (p), Joey Baron (ds), Bob Bowman (b)。ジョーイ・バロンのドラミングが柔軟かつ多彩で楽しい。ボブ・ボウマンのベースの堅実さとリーダーシップが実に魅力的。そのドラムとベースの上に君臨する秋吉敏子のピアノ。

秋吉の名曲「ロング・イエロー・ロード」や「秋の海」、お得意のエリントン・ナンバーである「歌を忘れよう」、渋い選曲の「エニグマ」、そして、アンコールの十八番のバド・パウエルのナンバー「テンパス・フュージット」まで、捨て曲無しで一気に聴かせてくれます。

音質としては中の上、一部、音質的に乱れる部分はありますが、録音の元々の媒体がカセットテープであることを考えると、34年を経過した後の音質としては、確かに奇跡的である。よほど、保存状態が良かったのだろう。

この音源を保有していた関係者の音源に対する強い愛情を感じ取る事が出来る。それほど、良い内容のライブ音源である。出来れば生で聴きたかった。そういう思いを持たせてくれる、久し振りのライブ音源である。

 
 

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2014年5月14日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・50

1971年にマティアス・ウィンケルマンとホルスト・ウェーバーという二人のジャズ奏者によって創立されたレーベル「Enja」。この「Enja」ほど、欧州ジャズの志向を感じさせてくれるレーベルは無い。

特にフリー寄りの演奏の録音に強い、という印象で、純ジャズ路線まっしぐら。ファンキーで大衆的なジャズとは正反対な、クールでアーティスティックなメインストリーム・ジャズが目白押し。ジャズを真っ正面からアートと捉え、アーティスティックなジャズのみを記録してきた「Enja」。

例えば、このMal Waldron『Moods』(写真左)など、その「Enja」レーベルの個性を実に良く感じさせてくれる好盤である。1977年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (p), Terumasa Hino (tp), Hermann Breuer (tb), Steve Lacy (ss), Cameron Brown (b), Makaya Ntshoko (ds)。トランペットに、日本人ジャズメン、日野皓正が参加している。

冒頭の「Minoat」の前奏のピアノの音からして、ポップな雰囲気、大衆音楽な雰囲気とは全く無縁。テンションの高い、硬質なタッチが、聴き手の襟元を正させる。インプロビゼーションの展開はモード。完璧にモーダルな展開は、もはやフリー一歩手前の、コンテンポラリーな硬派な純ジャズ。

いわゆる「新主流派」の音世界である。このアルバムの全ての演奏は、凛としていて硬派、甘さなど全く無縁、ビターで硬質なモード・ジャズが満載である。LP時代では、ジャズでは珍しく2枚組のボリュームでリリースされている。確かに、CDに収録された全曲、それぞれの内容は良い。捨て曲無しである。
 

Mal_waldron_moods

 
リーダーのマル・ウォルドロンのピアノが突出して素晴らしいという訳では無い。グループ・サウンドとして、グループ・トータルとしての演奏内容が秀逸。
 
どの楽器も水準以上の演奏レベルを維持していて、それぞれの楽器に着目して、何度も繰り返し、楽しむ事の出来る、コストパフォーマンスの良いアルバムでもある。

LP時代は、1枚目のA面、B面にセクステットの演奏を、2枚目のC面、D面にマル・ウォルドロンのソロピアノを収録していたそうなのだが、これは魅力的な編成ですね。セクステットを楽しみたい時は1枚目のLPを、マルのソロピアノを楽しみたい時は2枚目のLPを選択して聴き分けることが出来るんですね。

CDになっても、この2枚組編成でリリースして欲しかったなあ。実は、CDでは、LP時代のマルのソロピアノ「Duquility」がオミットされているんですよね。う〜ん、マルのソロピアノも内容が良いだけに、このオミットは残念ですね。

「Enja」レーベルのアルバムは、その硬派な内容故に、コアなジャズ者の方々には大受けなのですが、一般のジャズ者の方々には、ちょっと受けが悪いですかね。

でも、ジャズを真っ正面からアートと捉え、アーティスティックなジャズを記録し続けた「Enja」レーベル。もっともっと、多くのジャズ者の方々に聴いて貰いたいです。「Enja」レーベルのアルバムは、どのアルバムを選択しても、外れが無いことも特徴です。

 
 

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2014年5月13日 (火曜日)

懐かしい欧州プログレ『Focus X』

故あって「欧州かぶれ」している。音楽については、欧州っぽい音が聴きたくて仕方が無い。

一昨日、オランダのプログレッシブ・ロック・バンド、フォーカス(Focus)の『Moving Waves』を聴いて、フォーカスの欧州っぽい音に感銘を受けた。フォーカスか、と思いを巡らしたら、そう言えば、2012年10月、現在でのフォーカスの最新作『Focus X』(写真左)がリリースされていたことを思い出した。

『Focus X』は、X=ローマ数字の「10」ということで、フォーカスのスタジオ盤の発表は2006年リリースの『Focus 9 / New Skin』以来、6年ぶり、フォーカスにとって、通算10枚目のオリジナル盤となる。

メンバー的には、フォーカスの黄金期を牽引したギタリスト、ヤン・アッカーマンは不在ではあるが、残りの3人のオリジナル・メンバー、タイス・ヴァン・レア、ピエール・ヴァン・ダー・リンデン、ボビー・ヤコブスに、90年代の再編時に一時的に参加していたメノ・ホーティスを加えた4人にゲストという編成。

しかも、アルバム・ジャケットが、一目見たら判る、イエスやエイジア等のジャケット・デザインで知られる巨匠ロジャー・ディーンの手なるもの。思いっきり「1970年代プログレ」しているところが嬉しい。

で、その内容も、1970年代前半のフォーカス、『Focus II(Moving Waves)』『Focus 3』辺りの音世界を踏襲していて、思いっきり1970年代プログレのテイスト、クラシック基調の欧州な雰囲気芳しいフォーカスの個性が、そこかしこに散りばめられている。往年のフォーカス・ファンにとっては嬉しい内容である。
 

Focus_x

 
「悪魔の呪文」を彷彿とさせる冒頭の「Father Bachus」。ただ、奏でるフレーズは流麗でありながら、どこか捻りが入って、ちょっと滑らかさに欠け、ちょっと、ところどころ引っ掛かる様なフレーズが面白いと言えば面白い。が、ちょっと捻りを入れ過ぎてはいないか。1970年代前半のフォーカスの音を踏襲しつつ、1970年代前半のフォーカスの音になりきれない「もどかしさ」を感じる。

しかし、メロウなギターとオルガンとで、往年の1970年代フォーカスを再現している「Focus 10」は聴きもの。これは良く出来ている。でも、何かが足りない。やはり、フォーカスの黄金期を牽引したギタリスト、ヤン・アッカーマンの不在が痛い。ヤン・アッカーマンのギターの個性が存在しない分、どの演奏も、往年の1970年代フォーカスになりきれない。

とはいえ、妙な捻りを入れ過ぎている分を差し引いても、このアルバムの内容はなかなかのもの。1970年代フォーカスの再現、1970年代ジャズ・ロックの再現としても、十分に鑑賞に耐える。が、やはり、1970年代前半のフォーカスの最大の個性、クラシック基調の欧州な雰囲気芳しいフォーカスの個性がやや乏しいのが惜しい。

この『Focus X』は、タイス・ヴァン・レアの音世界であり、1970年代前半のフォーカスの最大の個性、クラシック基調の欧州な雰囲気芳しいフォーカスの個性を完璧に再現するには、ヤン・アッカーマンのギターが必須ということなんだろう。

それでも、バカテク系ジャズロック、若しくは、シンフォニック系プログレ愛好家であれば、十分に楽しめる内容になっていることは事実。実際に、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、意外とこの『Focus X』、そこはかとなくヘビロテになっている。やはり、この『Focus X』の中にある、1970年代前半のフォーカスの雰囲気が、そこはかとなく心に響くんだろうな。

懐かしい響きが愛おしい、バカテク系ジャズロック、若しくは、シンフォニック系プログレである。ちょっと捻りを入れ過ぎだけどね(笑)。

 
 

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2014年5月12日 (月曜日)

ヨーロピアン・カルテットの代表盤

1970年代のキース・ジャレット(Keith Jarrett)は、ソロ・ピアノと並行して、二つのカルテットを主宰していました。インパルス・レーベルにて、米国で活動したカルテットは「アメリカン・カルテット」と呼ばれ、ECMレーベルにて、欧州で活動したカルテットは「ヨーロピアン・カルテット」と呼ばれています。

双方、全く性格の違うカルテットで、「アメリカン・カルテット」は火の出るような激しくテンションの高い演奏が多く、「ヨーロピアン・カルテット」は、透明感のある冷静でリリカルな演奏が中心でした。どちらも、キースがリーダーでしたから、キースは「アメリカン・カルテット」と「ヨーロピアン・カルテット」をうまく使い分けて、キースの二面性を上手く表現していた様に感じます。

さて、このキースのヨーロピアン・カルテットのアルバムの中で、どれが一番好きですか、と訊かれたら『My Song』(写真左)をイチ押しとしています。この『My Song』こそが、キースのヨーロピアン・カルテットの個性を如実に表している作品だと思っているんですね。

ちなみに、この『My Song』の録音が1977年11月の録音。このヨーロピアン・カルテットのパーソネルは、Jan Garbarek (ts,ss), Keith Jarrett (p, per), Palle Danielsson (b), Jon Christensen (ds)。

このカルテットでのキースのピアノは、クリアで繊細、硬軟取り混ぜて素晴らしい。キース独特の個性的なリリカルなピアノが、アルバム全体を引き締める。ヨーロピアン・カルテットのキースはフリーな演奏に走りそうで走らない。抑制されたモーダルなピアノが実にリリカル。

ヨーロピアン・カルテットの看板的存在が、ヤン・ガルバレクのサックス。リリカルでクリア、抑制されたエモーショナルなブロウについて、実に透明度が高い。欧州ならではのテナーの音色だろう。米国本土には、こんなにリリカルでクリアで透明度の高いテナーは無い。正に、このガルバレクのテナーの音色が、ヨーロピアン・カルテットの個性の一端を担っている。
 

Keith_my_sony

 
ベースのダニエルソンも、力強く、太いベースを奏で、ドラムのヤン・クリステンセンは、柔軟なドラミングを聴かせる。このヨーロピアン・カルテットこそが、キースの今まで持ったカルテットの中で最高に位置するものだ、と僕は思う。

それが如実に判るのが、まずは1曲目の「Quester」。そして、絶品が2曲目の「My Song」。柔らかで、繊細なキースのピアノに導かれて、ガルバレクのサックスが優しく語りかける。3曲目の「Tabarka」も、ヨーロピアン・カルテットらしい、繊細でクリアな演奏だ。LP時代のA面を占めるこの3曲は、リリカルで優しいカルテット演奏です。

そして、LP時代のB面の冒頭を飾る、このアルバムの一押しの演奏が、4曲目の「Country」。導入部のキースのソロが、まず素晴らしいの一言。そして、その素晴らしいソロの後、導かれル様に出現するガルバレクのサックス。力強くしっかりとして、それでいて歌心溢れるブロウ。曲が進むにつれて、後半部のダイナミックな盛り上がり。ベースも力強く唄い、ドラムは、とことんシャープにリズムを刻む。

A面の「My Song」を女性に例えるなら「Country」は男性的だ。5曲目「Mandala」はフリー寄りな演奏。力強い展開のインプロビゼーションではあるが、しっかりとコントロールされていて、破綻は一切無い。そして、ラストの「The Journey Home」は、途中の展開部からのくだり、ヨーロピアン・カルテットらしからぬ、米国ルーツ・ミュージック的なゴスペルチックでフォーキーな展開が面白い。

時折、キースが唸りながらのピアノ・ソロを展開するが、これはご愛敬。キースはよく「唸る」のだ。この「唸り」がなけれが、キースの他のアルバムももっと聴き込めるのだが。まあ、それを差し引いても、このアルバムは素晴らしいの一言です。ヨーロピアン・カルテットの代表的名演がギッシリ詰まった良い内容のアルバムです。

 
 

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2014年5月11日 (日曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・29

ジャズの演奏には「アレンジの妙」という楽しみもあるが「楽器編成の妙」という楽しみもある。特に大編成になればなるほど、アレンジと楽器編成が重要になってくる。このアレンジの妙と楽器編成の妙を強く感じるバンドがある。Super Trombone(スーパー・トロンボーン)である。

Super Trombone(スーパー・トロンボーン)とは、1995年、NYのトロンボーン奏者達により結成されたコンボ。ジャズでは脇役的なトロンボーンを主役に、4トロンボーン+ピアノ・ベース・ドラムスという7人編成の異色コンボである。ちなみにこのスーパー・トロンボーンの企画は日本で企画された。う〜ん、確かに日本人らしい発想ではある。

この4本のトロンボーンがフロントにバックに縦横無尽に活躍する訳なんだが、このトロンボーンの音色が4本重なるユニゾン&ハーモニーが「ビッグバンドの音色」を彷彿とさせてくれる。優れたアレンジがあってのことではあるが、このスーパー・トロンボーンの音世界はビッグバンドの雰囲気に重なる。

そんな「ビッグバンドの音色」を十二分に楽しませてくれるスーパー・トロンボーンのアルバムがある。カウント・ベイシー楽団とグレン・ミラー楽団の楽曲を中心に構成されたアルバム『Moonlight Serenade』(写真左)である。2004年のリリース。

当時のアルバム紹介に「グレン・ミラーとカウント・ベイシーの生誕100年を記念して、ビッグ・バンド・サウンドの生みの親たちの永遠の名曲をカヴァー」とある。なるほどと思う。ジャズ・ファンならずとも、定番ポップスの楽曲として、どこかで聴いたことのある名曲ばかりである。
 

Super_trombone_moolight_serenade

 
とにかく聴いていて楽しい。ビッグバンドの音と比べて、編成楽器の数が少ない分、音がシンプルで見通しが良い。トロンボーンの低音が円やかで豊か。トロンボーン4本のユニゾン&ハーモニーが、これだけビッグバンドの音の個性を上手く表現するとは思わなかった。もっと軽く、ややもすればチープな音になりはしないかと心配したが、これは杞憂であったようだ。

デビッド・マシューズのアレンジが効いている。アンサンブルの音の調子、ユニゾン&ハーモニーの音の重ね方、この4トロンボーン+ピアノ・ベース・ドラムスという7人編成の異色コンボの特性を良く見抜いて、本当に素晴らしいアレンジを施している。

そして、スーパー・トロンボーンの面々も、このマシューズのアレンジに乗って、素晴らしい演奏を繰り広げている。テクニックも極上、アンサンブルの息もバッチリ合って、「ビッグバンドの音色」を再現しているどころか、スーパー・トロンボーン独特の音色が素晴らしく魅力的に響いていて見事。

「イン・ザ・ムード」「ムーンライト・セレナーデ」「アメリカン・パトロール」「茶色の小びん」「ベイシー」「ジャンピング・アット・ザ・ウッドサイド」等々、ビッグバンドの定番中の定番の名曲がズラリと並ぶ。とにかく聴いていて楽しいこと、この上無し。

スイング感抜群なのは、このスーパー・トロンボーンの真骨頂。このスイング感の豊かさがこのスーパー・トロンボーンを唯一無二の存在としている。マシューズのアレンジも外せない。とにかく難しいことなく、理屈抜きに楽しめる優秀作である。

 
 

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2014年5月10日 (土曜日)

Return to Foreverの現代版

リフレッシュ期間中、エレクトリック・チック(以降、エレ・チックと略す)の現時点での新譜を聴いて感心した。
 
今までのエレ・チックの世界は長年の盟友ベーシスト、スタンリー・クラークが何らかの形で絡んできた。そして、チック・コリア・エレクトリック・バンドの時は、ジョン・パティトゥッチが正式メンバーとして君臨した。

つまり、エレ・チックの場合、エレクトリック・ベーシスト(略してエレベ)がキーになる。優れたエレクトリック・ベーシストに恵まれ、そのエレベ奏者が弾けた時、そのエレ・チックのアルバムの内容は素晴らしいものになる。

今回のキーになるベーシストは、Hadrien Feraud(アドリアン・フェローと片仮名表記)。1984年8月仏パリ生まれ。今年30歳になる。12歳の頃、父親に与えられたアルバム、Jaco Pastorius『The Birthday Concert』により覚醒。レジェンド的なエレギ奏者ジョン・マクラフリンに見出された。

このアドリアン・フェローは『次代のジャコ・パストリアス』と評価されているが、このエレ・チックを聴けば、その評価が過大評価では無いことが良く判る。そして、このアドリアンのエレベに触発されて、チックのエレピがシンセが乱舞する。久々に硬派にエレピを弾きまくるチック。Return to Foreverの現代版の様な雰囲気に、チック者の僕は思いっきり興奮してしまいました(笑)。

改めて、そのアルバムとは、Chick Corea『The Vigil』(写真左)。2013年8月のリリース。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (el-key,syn), Charles Altura (g), Hadrien Feraud (b), Tim Garland (b-cl,fl, ss, ts), Marcus Gilmore (ds)。
 
よくよく見ると、6曲目「Pledge for Peace」ではスタンリー・クラークがゲストとしてベースを担当している。やはり、エレ・チックの音世界には、要所要所でスタンが必ず絡んでくる(笑)。
 

The_vigil

 
ベタな評になるが、このアルバムの音世界は、歴代のReturn to Foreverの音をミックスした「現代のReturn to Forever」。いままでのReturn to Foreverの音世界の個性を全て踏襲して、このアルバムで再構築した感じの音世界。こりゃ〜、エレ・チック者には堪らん内容です。
  
先にご紹介したエレベのアドリアン・フェローはもとより、ギターのチャールズ・アルトゥラも大活躍。そして、エレ・チックの世界で久々に存在感のあるマルチリード奏者ティム・ガーランドも素晴らしい演奏を繰り広げる。ドラムのマーカス・ギルモアも堅実だ。

こうやって、このアルバムのパーソネルについては語っていると、なんだか、エレ・マイルスを彷彿とさせる。若手の優秀ミュージシャンを見出し、自らのバンドに採用し、そして、その若手の個性に触発されて、リーダーのマイルスがより輝きを増し、更にバージョンアップしていく。そんなエレ・マイルスの展開を彷彿とさせる。

この『The Vigil』では、チックが若手の優秀ミュージシャンを見出し、自らのバンドに採用、その若手の個性に触発されて、リーダーのチックがより輝きを増し、更にバージョンアップしている。チックは1941年生まれだから、この『The Vigil』をリリースした年で72歳になる。

72歳にして、このエレピの演奏。テクニック、テンション、フレーズ共に全く素晴らしい演奏を聴かせてくれるチック。この『The Vigil』でのチックは凄い。往年の輝きを踏襲しているばかりが、部分的に進化している跡も見え隠れする。70歳を過ぎてこの進化には頭が下がる想いがする。

ジャケット・デザインも中世の騎士風のイラストで、なんとなく、往年のReturn to Foreverとの音世界での繋がりを感じる。ジャズのアルバムとしては、かなり「危うい」ジャケット・デザインではあるが、マイルスと同様、これはチックのアルバムとしてのみ許される独特のジャケット・デザインのセンスである。

次作が楽しみな、Chick Corea & The Vigil Bandである。このバンドのライブ演奏も評判が良く、アルバム録音の次作、早く出ないかな。久々にパーマネント・バンドとしての継続を期待する、エレ・チック・バンドの出現である。

 
 

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2014年5月 3日 (土曜日)

9日までリフレッシュ休暇です

今日3日(土)から、来週の9日(金)まで、リフレッシュ休暇を取得させていただき、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログをお休みします。

本業についてもバーチャルについても、全ての由無し事から離れて、リフレッシュしてきます。ブログの再開は10日の土曜日を予定しています。よろしくお願いします。
 

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それでは皆さん、良いゴールデンウィークを。

 
 

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2014年5月 2日 (金曜日)

チック者にとって嬉しいライブ盤

昨年の9月のリリースになる。CD3枚組というボリュームで、これはもはや「アルバムを売りたい」という商売っ気は全く無いアルバムなんだろうな、と思った。逆に、それぞれの楽曲の演奏の内容が充実していて、オミット出来る音源がなかなか見当たらないので、商売っ気よりも、音源のリリースを優先したのか、とも思った。

長年、チック者をやっている身として、今のチックなら、そういうこともやりかねんなあ、と思った。しかし、CD3枚組とはなあ。かなりボリューミーである。しかも日本だけでの発売。価格もネットで買っても4500円前後(今ではもう少し安くなっているかな)と高額。チックのファン以外はなかなか入手する気にはならないだろう。

そのCD3枚組ライブ盤とは、Chick Corea『Trilogy』(写真左)である。2010年の東京から、そして、2012年秋から冬にかけての欧州ツアーから、ライブ音源をセレクト。セレクトした結果、CD3枚組になってしまったというライブ盤。

ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), Christian McBride (b), Brian Blade (ds)。このトリオは、全てアコースティックで通している。アコピ、アコベ、そしてドラムと、ピアノ・トリオの基本形を踏襲した魅力的な編成である。

チックは、ピアノ・トリオをやる場合、ベーシストに恵まれた時、とてつもないパフォーマンスを発揮する。いわゆる「化学反応」が起きる確率が格段に高くなる。今回、参入したベーシストが、クリスチャン・マクブライド。2006年リリースの傑作ライブ盤『Super Trio』でその抜群の相性は証明済み(2013年10月28日のブログ・左をクリック)。

そして、チックは、ベーシストに恵まれた時、そのトリオでやりたいこと、そのトリオの方向性に見合ったドラマーを選定する。今回は、フル・アコースティックな伝統的なピアノ・トリオ。しかし、そのピアノ・トリオで、時代の最先端を行く、コンテンポラリーなピアノ・トリオのパフォーマンスを狙っている。そんな狙いに沿って選ばれたドラマーがブライアン・ブレイド。
 
 
Chick_corea_trilogy  
 
 
Disc1では、チック、マクブライド、ブレイドのトリオの代表的な演奏が聴ける。このトリオの代表的な演奏が聴ける。このトリオのベスト盤の様な内容。ピアノ・トリオとして安定した演奏をチョイスされているようだ。聴いていて安心するというか、安定しているのではあるが、このトリオのメンバーの力量からして「こんなもんでは無いだろう」という思いがどうしても残る。

そして、Disc2に進むと、やっと、このピアノ・トリオの本当に力量に見合った、とても尖ったインプロビゼーションを体験することが出来る。スタンダード曲の「イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー 」、セロニアス・モンクの名曲「ブルー・モンク」、そして、スクリャービンの「24の前奏曲 作品11 第9番」の演奏が素晴らしくコンテンポラリーしていて、見事なパフォーマンスを聴かせてくれます。聴き応え十分。

Disc3はチック者への贈り物。Disc2のピアノ・トリオの超絶技巧でコンテンポラリーな演奏の続編というよりは、チックのピアノを心ゆくまで堪能出来るボーナス盤の様な雰囲気。特に、ラストの「Someday My Prince Will Come」のゲイル・モランのボーカルの歌伴を務めるチックのピアノは絶品。ボーカルの歌伴もバッチリ。やはりチックは素晴らしい。

全く濃い内容のピアノ・トリオ盤です。ライブ感も心地良く、とても良いライブ盤に仕上がっています。しかし、今年73歳のチックがこれだけのピアノ・トリオ盤をリリースした訳ですが、他のピアノ・トリオ盤で、このチックのトリオ盤の内容を凌駕するアルバムが、あまり見当たらないのが不安と言えば不安。

逆に、70歳を過ぎても、チックのアコピの素晴らしさは変わらない。現代のジャズ・ピアノにおいて、第一人者の地位は揺らがない。このCD3枚組ライブ盤は、チック者にとっては全くもって満足出来る、とても嬉しい贈り物です。当然、我がバーチャル音楽喫茶『松和』ではヘビロテ盤となってます。

 
 

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2014年5月 1日 (木曜日)

人間マイルスを感じるライブ盤

このアルバムを見る度、このアルバムを聴く度、常に万感の想いがする。1981年10月4日。マイルス・デイヴィスの復帰後初来日。新宿西口広場での野外ライブであった。僕はまだ大阪で大学生をやっていて、大阪には来んのか〜マイルス〜と、ほぞを噛んでいた。

不幸にも来日直前に体調を崩したマイルス。その報に接した時には、マイルスは日本に来ないと思った。が、マイルスはやってきた。しかし、成田空港に着いた姿は車椅子に乗った痛々しい姿。こんな状態で演奏ができるのか。むっちゃ不安になった。後で、雑誌で読んだ。以前患った股関節の手術痕が痛んだのだ。

そして、新宿西口広場での野外ライブのレポートがジャズ雑誌にアップされる。写真は、そんなマイルスの痛々しい姿。そして、ステージでの全く精彩の無い様子。その股関節の手術痕の痛みに耐えかねて、その痛みを紛らわす為にステージを歩き回る姿。よぼよぼの老人のような姿勢。このレポート記事はショックだった。

そして、この足を引きずりつつ、痛みに耐えつつ、マイルス独特のトランペットのパフォーマンスを聴かせてくれる、真摯な姿はNHKでTV放送された。元気な姿を拝みたかったが、こんな痛々しい姿を映像で見て、なんだか熱いものがこみ上げてきたのを覚えている。

しかし、それでもマイルスは日本に来てくれて、日本で演奏してくれた。復帰後の初来日。日本のジャズファンが大好きなマイルス。そして、マイルスが大好きな日本のジャズファン。そんな二者の奇跡の邂逅。

その奇跡の邂逅のライブを記録した音源が、Miles Davis『Miles! Miles! Miles!』(写真左)。CBSソニーから日本限定、LP2枚組(今ではCD2枚組)のボリュームでリリースされた。1983年のことである。テレビで観た、FMで聴いたその演奏の内容から、この時のライブ音源が早々に正式盤としてリリースされるとは思わなかった。
 

Miles_miles_miles

 
それはこのライブ音源を聴けば判る。マイルスは全くいけてない。弱々しく痛々しいパフォーマンス。時折、光輝く瞬間が無いでは無いが、殆どのパフォーマンスが「いけていない」。殆どのパフォーマンスが、当時のマイルスの水準以下である。これは事実。

しかし、そんなことはどうでも良い、そんなことは何でも無い。長い隠遁生活を経て復帰。その復帰後、体調が最悪にも拘わらず、日本のファンの為に日本に来てくれた、そんな我々にとって素晴らしい出来事を、この音源はそれが全くの事実であることを強烈に教えてくれる。

親分であるマイルス御大の最悪の状態を見、それでも日本のファンの前で集中したできる限りの最高のパフォーマンスを表現せんと努力するマイルスを感じて、バックバンドの面々は、それはそれは素晴らしい「エレクトリック・マイルス」な演奏を繰り広げてくれる。

マイルス御大を盛り立て支え、精一杯、マイルスの意を汲んで、日本のマイルス・ファンの為に、できる限りの最高のパフォーマンスを見せてくれる。そんな素晴らしく頼もしいバックバンドのパーソネルは、Bill Evans (ss,ts), Mike Stern (el-g), Marcus Miller (el-b), Al Foster (ds), Mino Cinelu (per)。

日本のジャズファンが大好きなマイルス。そして、マイルスが大好きな日本のジャズファン。そんな二者の奇跡の邂逅の記録である。ここには、人間マイルスがいる。テクニックなど関係無い、好不調など関係無い。ここには人間味溢れる、我らが愛すべきマイルスがいる。僕は、このライブ音源でのマイルスの存在が大好きだ。そして、このライブ音源のマイルスに感謝している。

通常のジャズ者の方々には全く意味の無いライブ盤だと思います。演奏第一、パフォーマンス第一とするジャズ者の方々にも不必要なライブ盤だと思います。でも、真のマイルス者にとってはマストアイテムでしょう。このライブ盤でのマイルスを愛せるかどうかで、マイルス者の度合いが判る様なきがします。まるで「踏み絵」の様なライブ盤ですね。

 
 

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