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2014年5月13日 (火曜日)

懐かしい欧州プログレ『Focus X』

故あって「欧州かぶれ」している。音楽については、欧州っぽい音が聴きたくて仕方が無い。

一昨日、オランダのプログレッシブ・ロック・バンド、フォーカス(Focus)の『Moving Waves』を聴いて、フォーカスの欧州っぽい音に感銘を受けた。フォーカスか、と思いを巡らしたら、そう言えば、2012年10月、現在でのフォーカスの最新作『Focus X』(写真左)がリリースされていたことを思い出した。

『Focus X』は、X=ローマ数字の「10」ということで、フォーカスのスタジオ盤の発表は2006年リリースの『Focus 9 / New Skin』以来、6年ぶり、フォーカスにとって、通算10枚目のオリジナル盤となる。

メンバー的には、フォーカスの黄金期を牽引したギタリスト、ヤン・アッカーマンは不在ではあるが、残りの3人のオリジナル・メンバー、タイス・ヴァン・レア、ピエール・ヴァン・ダー・リンデン、ボビー・ヤコブスに、90年代の再編時に一時的に参加していたメノ・ホーティスを加えた4人にゲストという編成。

しかも、アルバム・ジャケットが、一目見たら判る、イエスやエイジア等のジャケット・デザインで知られる巨匠ロジャー・ディーンの手なるもの。思いっきり「1970年代プログレ」しているところが嬉しい。

で、その内容も、1970年代前半のフォーカス、『Focus II(Moving Waves)』『Focus 3』辺りの音世界を踏襲していて、思いっきり1970年代プログレのテイスト、クラシック基調の欧州な雰囲気芳しいフォーカスの個性が、そこかしこに散りばめられている。往年のフォーカス・ファンにとっては嬉しい内容である。
 

Focus_x

 
「悪魔の呪文」を彷彿とさせる冒頭の「Father Bachus」。ただ、奏でるフレーズは流麗でありながら、どこか捻りが入って、ちょっと滑らかさに欠け、ちょっと、ところどころ引っ掛かる様なフレーズが面白いと言えば面白い。が、ちょっと捻りを入れ過ぎてはいないか。1970年代前半のフォーカスの音を踏襲しつつ、1970年代前半のフォーカスの音になりきれない「もどかしさ」を感じる。

しかし、メロウなギターとオルガンとで、往年の1970年代フォーカスを再現している「Focus 10」は聴きもの。これは良く出来ている。でも、何かが足りない。やはり、フォーカスの黄金期を牽引したギタリスト、ヤン・アッカーマンの不在が痛い。ヤン・アッカーマンのギターの個性が存在しない分、どの演奏も、往年の1970年代フォーカスになりきれない。

とはいえ、妙な捻りを入れ過ぎている分を差し引いても、このアルバムの内容はなかなかのもの。1970年代フォーカスの再現、1970年代ジャズ・ロックの再現としても、十分に鑑賞に耐える。が、やはり、1970年代前半のフォーカスの最大の個性、クラシック基調の欧州な雰囲気芳しいフォーカスの個性がやや乏しいのが惜しい。

この『Focus X』は、タイス・ヴァン・レアの音世界であり、1970年代前半のフォーカスの最大の個性、クラシック基調の欧州な雰囲気芳しいフォーカスの個性を完璧に再現するには、ヤン・アッカーマンのギターが必須ということなんだろう。

それでも、バカテク系ジャズロック、若しくは、シンフォニック系プログレ愛好家であれば、十分に楽しめる内容になっていることは事実。実際に、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、意外とこの『Focus X』、そこはかとなくヘビロテになっている。やはり、この『Focus X』の中にある、1970年代前半のフォーカスの雰囲気が、そこはかとなく心に響くんだろうな。

懐かしい響きが愛おしい、バカテク系ジャズロック、若しくは、シンフォニック系プログレである。ちょっと捻りを入れ過ぎだけどね(笑)。

 
 

大震災から3年2ヶ月。決して忘れない。まだ3年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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コメント

松和のマスター様 こんばんは

やっぱりヤン・アッカーマン無しは厳しすぎますよね。
それでも新しいものに挑戦する姿は素晴らしい。

と言いつつ、
不在のまま、
今年に代表曲のセルフカバー「Golden Oldies」も録音しています。

熱心なファンであるほど、スケールダウンを感じる内容。
しかし敢えて現状でのベストを提示した姿は素晴らしい。
やはりあの声じゃないとフォーカスじゃないですし。頑張って欲しいですね。


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