フリーは音楽的に進化していく
フリー(Free)は、ブルースを指向するミュージシャンによって結成されたイギリスのロックバンド。初期のアルバムは、ブルースを基調としながらも、当時の流行であったプログレ&サイケの雰囲気を織り交ぜて、実に攻撃的なブルース・ロックを表現している。
このフリーというバンドの代表作と言えば、どのロック盤紹介本でも、このアルバムが出てくる。というか、日本では、ほとんど、このアルバムしか出てこない。そのアルバムとは、フリーのサード作『Fire and Water』(写真左)。1970年の作品。
フリーの代表作として名高い『Fire and Water』であるが、僕にはどうしても、このアルバムがフリーの代表作とは思えない。というか、フリーの在り方をこの一枚が表しているとは思えないのだ。
ブルースを指向するロック・バンドとしては、ファースト盤の『Tons Of Sobs』やセカンド盤の『Free』の方が、フリーの在り方を如実に表している。弾きまくるエレギのコゾフとしては『Tons Of Sobs』、弾きまくるエレベのフレイザーとしては『Free』が素晴らしい。
で、このサード盤の『Fire and Water』については、どうも前の2枚に比べると内容的に「過渡期のアルバム」に感じるのだ。ブルースを指向するロック・バンドとしては、冒頭のタイトル曲「Fire and Water」やラストの「All Right Now」が収録されているのだが、どうもブルースを指向するロック・バンドとしては、この2曲くらいではないか、と思われる。
他の曲については「渋い曲」の一言で済まされているが、どうも、このサード盤にして、フリーは「ブルースを指向するロック・バンド」の次を目指し始めていたのでは無いかと僕は思っている。
「ブルースを指向するロック・バンド」の次とは、例えば、英国・米国のルーツ・ミュージックへの志向などが上げられる。なんとなく、ブルースを基調としつつも、このサード盤では、とにかく「ブルースを指向するロック・バンド」を脱皮しようとしている様に感じるのだ。
それでも、あまりチャレンジの側面を全面に出して、アルバムのセールスに支障を出したら大変なので、きっちりと冒頭とラストに、ブルースを指向するロック・バンドとして、「Fire and Water」と「All Right Now」を収録しているのではないか、と睨んでいる。
同時期のライブ音源『Free Live!』でのフリーの演奏の方が、ブルースを指向するロック・バンドとしてのフリーの姿を捉えていると思う。
このサード盤の『Fire and Water』については、ブルースを指向するロック・バンドとしてのフリーの姿というよりは、音楽的に進化するフリーの過渡期を捉えたアルバムという評価を僕はしている。
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