ネイザン・イーストの初ソロ作
ネイザン・イースト(Nathan East)は、フュージョン・ジャズをメインとしたベーシスト。フュージョン好きの人ならば、必ず、どこかで聴いたある、とまで言われる「ファーストコール・ベーシスト」である。
ネイザンは1955年生まれなので、今年で59歳になる。もはやベテランというか、レジェンド的な存在である。しなやかな鋼の様な、粘りと張りのある独特の音色のエレベが特徴。ジャズばかりで無く、ロックのミュージシャンとの共演も多々ある、マルチなエレベ奏者である。
ネイザン・イーストと言えば、フュージョン・ジャズ・グループ「フォープレイ」が真っ先に浮かぶ。ネイザンはフォープレイのオリジナル・ベーシストなんですよね。あの独特の音色のベース音は、確かにフォープレイで鳴り響いています。
そんなネイザン・イーストが、今年、自身初めてのソロ・アルバムをリリースした。40年以上のキャリアの中で、初のリーダー作というのだから、ちょっと意外。アルバム・タイトルは至ってシンプルに『Nathan East』(写真左)。自身の名前をタイトルにした初ソロ作。
で、この初のリーダー作なんだが、やはり、ベーシストがリーダーとなって作るアルバムって、こういう内容になってしまうんかなあ。アルバムの内容としては、バラエティに富んでいると言えば聞こえは良いが、ネイザンのやりたいことを「ごった煮」に突っ込んだ感が強い。
様々なフォーマット、様々なアレンジ、様々な素材。硬派なフュージョン・ジャズもあれば、ストリングスを交えたムード・ジャズなものもあれば、R&Bのカバーもあれば、ブリティッシュ・ロックのカバーもある。エレクトリック・ファンクなナンバーもあれば、ソウルフルなボーカル入りもある。ビートルズのカバーもある。ボサノバ・チックなナンバーもある。とにかく、バラエティに富んでいる。
もともとベースは「縁の下の力持ち」的存在。リーダーである当の本人が何をやりたいかが明確になっているか、若しくは、担当のプロデューサーが、リーダーのベーシストの何を表現したいかが明確になっていないと、良いセッション・アルバムにはなかなかならない。そういう意味では、この初ソロ作は、ネイザンがやりたいことを節奏無く全部やっちゃった、って感じ。
さすがネイザンのエレベの音はどの曲でも変わらない。よって、もう少し方向性を決めて、じっくり腰を据えて作っても良かったのでは、と思ってしまう。ちょっと惜しいなあ。全体的にポップで爽やかなアレンジが中心で聴き易いアルバムなんですが。良く解釈すれば、ネイザンの音楽的守備範囲の広さがこのアルバムを作らせた、とでも言えるでしょうか。
それでも、アルバム全体の雰囲気は、ポップで爽快で、正統派フュージョン・ジャズのアルバムとして、意外と楽しめる内容にはなっています。フュージョン者の皆さんには、まずまずアピールする内容になっているのでは無いでしょうか。
大震災から3年。決して忘れない。まだ3年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« 開き直ったサンボーンのAOR盤 | トップページ | ピアノ・トリオの代表的名盤・40 »
コメント