クールな英国ブルース・ロック
Free(フリー)という英国バンドがあった。1967年の結成なので、このバンドも他の例に漏れず、ブルース・ロックを指向したバンドである。オリジナル・メンバーは、Paul Rodgers (vo), Paul Kossoff (g), Simon Kirke (ds), Andy Fraser (b, p)。
ブルース・ロックを指向したバンドではあるが、他のバンドの比べて個性的である。エレギが弾きまくるのが、英国ブルース・ロック・バンドの定番であるが、このフリーというバンド、確かにポール・コゾフが弾きまくる側面もあるが、その弾き方は一言で言うと「クール」。
テクニックの全てを尽くして弾きまくるんだが、そのアドリブの底には、冷静に演奏をコントロールするクールさが漂っている。サイモン・カークのドラムとアンディ・フレイザーのベースもクールだ。決して、叩きすぎず、弾きすぎず、リズム・セクションのリズム&ビートとして、他のブルース・ロック・バンドと比べて、とてもクールだ。
しかし、このセカンドアルバム『Free』(写真左)のリリース時、1969年10月時点で、ポール・ロジャースは19歳、ポール・コゾフも19歳。サイモン・カークは20歳。アンディ・フレイザーは17歳。平均年齢19歳弱の、もの凄い若さである。この若さで、この冷静なクールさは驚きである。
そんなクールなフリーは、このセカンド・アルバムの『Free』で、十二分に感じ取ることが出来る。このアルバムの基本はブルース・ロック。しかし、どの曲も凄く落ち着いた、冷静なコントロールが行き届いている。とにかく渋い。平均年齢19歳弱のバンドとは思えない。なんとも「老成した」クールさである。
音数も少なめ。音の隙間と感覚をほど良くコントロールした、クールなブルース・ロックのオン・パレードである。そして、クールなブルース・ロックの底にソウルフルな雰囲気が見え隠れするところも、このフリーというバンドの個性だろう。僕にとっては、このクールさがたまらない。
ポール・ロジャースのボーカルも至ってクールだ。他のブルース・ロック・バンドの様に、力任せにシャウトしまくることは無い。適度に抑制されたクールなボーカルは、相当なポテンシャルを感じさせてくれる。そして、単純に「上手い」。
そして、とりわけ、このセカンド・アルバムで特筆すべきは、アンディ・フレイザーのベース。流れる様に唄う様に、印象的なフレーズを弾きまくるフレイザーのベースは驚異的だ。このフレイザーのベースが、現在に至り、定番の伝説として残らなかったことが不思議でならない。
もともと、日本ではフリーは何故か人気が無かった。ましてや、そのフリーのベーシストのアンディ・フレイザーなど、日本では完全に「知る人ぞ知る」ベーシストだった。というか、アンディ・フレイザーの名を知っているだけで「英国ロックのヲタク」と呼ばれた(笑)。
他のバンドの追従を許さない、音の隙間と感覚をほど良くコントロールした、クールなブルース・ロック。もっとちゃんと評価して欲しいなあ、このフリーというバンドのことを・・・。
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