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2014年3月12日 (水曜日)

サンタナ=ロック+フュージョン

SANTANA(サンタナ)の『MoonFlower』(写真左)。1977年のリリースになる。ライヴ音源とスタジオ録音の新曲が混在した、変則的な内容の二枚組LPだった。1977年は僕は浪人時代。当然、LPの新譜を購入するなって御法度。次の年、1年遅れての入手と相成った。

この『MoonFlower』というアルバム、手にした頃から数えて早36年。サンタナのアルバムの中で、結構、お気に入りの部類のアルバムである。『Festival』発表直後と思われるライブ音源とスタジオ録音からなる二枚組LP。ライブ音源8曲と新録スタジオ曲8曲をミックスしている。このミックス度合いがなかなか良い。

そして、まずはライブ音源である。ハードではあるが、演奏全体の印象は「大人のロック」。インプロビゼーションの展開を聴いていると、ロックと言うよりは「ジャズロック」若しくは「フュージョン」である。音はハードであるが、演奏自体は余裕のある展開。ガツガツしていない。メリハリが効いて、やり過ぎぬよう適度に抑制されている。

例えば、有名な「Black Magic Woman〜Gypsy Queen」。ハードだが喧しくない。元々はラテン調の「俗っぽい」曲なんだが、このライブ演奏は俗っぽく無い。リズム&ビートがタイトでオフビートな分、ジャズロック的な雰囲気が濃厚。良い演奏だ。

例えば、これまた有名なインスト曲「哀愁のヨーロッパ」。このライブ演奏も基本はハード。しかし、バラードチックで余裕のある展開が実に魅力的に響く。アレンジがフュージョン・ジャズ。ジャズロックというよりは、これはもうフュージョン・ジャズである。
 

Santana_moonflower

 
ラストのライブ音源「セイヴァー〜祭典」は圧巻。中間部のパーカッションのソロを含めた約13分間のライブ音源は、徹頭徹尾、ハイ・テンション維持したまま、バンド全体で一体となって駆け抜ける様な、疾走感溢れる名演。サンタナらしい、サンタナならではの名演である。

さて、新録スタジオ曲はと言えば、これはもうソフト&メロウなフュージョン・ジャズの楽曲である。それまでのサンタナとはちょっと異質な、ソフトなタッチの洒落た楽曲である。大人になった「野生のサンタナ」である(笑)。でも悪く無い。しかし、デビュー盤からのサンタナ・ファンからすると戸惑うだろうなあ。

サンタナのAORなフュージョンである。趣味が良いというか、雰囲気が良いというか、僕はなかなか気に入っている。そんなスタジオ録音の楽曲の中で「シーズ・ノット・ゼア」はゾンビーズのカヴァー。シングル・カットされて全米27位に達した。良い雰囲気の演奏だ。

日本での当時の評判はイマイチだったと記憶するが、米国では10位、英国では7位を記録した。英米ではヒットしたLP2枚組である。日本人写真家、白川義員氏の幻想的且つ神々しい雲海の写真を効果的に配したジャケットも秀逸。

この『MoonFlower』というアルバム、手にした頃から数えて早36年。サンタナのアルバムの中で、結構、お気に入りの部類のアルバムである。

 
 

大震災から3年。決して忘れない。まだ3年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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