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2014年3月 6日 (木曜日)

フィル・ウッズのアルトを愛でる

サックスの音色は人間の肉声にとても近い。肉声に近い音色で、様々な音表現が出来る楽器でもある。僕はアルト・サックスがお気に入り。アルトサックスは女性の声に喩えられる。僕の声のキーは、どちらかと言えば、女性のキーに近いので、そういう観点からもアルト・サックスの音色の方が親近感がある。

僕のアルト・サックスのお気に入りジャズメンといえば、アート・ペッパー、キャノンボール・アダレイ、そして、フィル・ウッズ。この3人のアルト・サックス奏者のアルバムは、結構、均等に聴く。でも、ジャズ者初心者の頃、ウッズのアルトはちょっと苦手だった。

原因はその音にある。硬質でメタリック、絞り上げるような、ちょっと耳をつんざくような個性的なブロウ。ビリビリと煌めく様に響き渡るブラスの輝き。とにかく音が大きい。とにかく音が響く。とにかく音が突き抜ける。ジャズ者初心者の僕の耳には、ちょっと負担だった。そういう意味で、ウッズのアルトは、そのフレーズの展開は男性的である。

そんなウッズのアルトが耳に抵抗なく入り出したのが、ジャズを聴き始めてから20年ほど経った、40歳を過ぎた頃。ジャズに対する許容量が増えたのと、音の大きさに対する抵抗感が無くなったからだろうと思っている。そんな頃に、このアルバムと出会った。そして、フィル・ウッズがお気に入りになった。

そのアルバムとは、Phil Woods『Woodlore』(写真左)。1955年11月の録音。PRLP 7018番。ちなみにパーソネルは、Phil Woods (as), John Williams (p), Teddy Kotick (b), Nick Stabulas (ds)。フィル・ウッズのワンホーン盤である。
 

Woodlore_2

 
バックのリズム・セクションは地味だが、なかなか渋いリズム&ビートを効かせてくれる。そんな渋いリズム&ビートに乗って、フィル・ウッズが吹きまくる。素晴らしいテクニックと素晴らしいアドリブ展開で、吹きまくる吹きまくる。やや高速なフレーズを吹きまくる吹きまくる。

硬質でメタリック、絞り上げるような、ちょっと耳をつんざくような個性的なブロウ。ビリビリと煌めく様に響き渡るブラスの輝き。このアルバムには、ウッズのアルトの個性が満載である。しかも、ワンホーン・カルテット。心ゆくまで、ウッズのアルトを堪能できる。

アルトのフレーズの基本は「パーカー派」なんだが、パーカーよりもメリハリが効いていて、パーカーよりも懐が深い、余裕のある吹き方をする。パーカーが「切れ味の良いカミソリ」とすると、ウッズは「切れ味の良いナイフ」って感じかなあ。ちょっと太くて、金属感が強い。

しかし、この音の個性が耳に馴染むと「癖になる」。特に、この『Woodlore』は、1955年、24歳の若かりし頃のウッズのブロウ。その若々しさ、溌剌さは眩しいほどだ。特に、インプロビゼーションが素晴らしい。汲めど尽きないアドリブの嵐。耳にもたれる位に濃厚で豊かなアルトの響き。

良いアルバムです。アルト・サックス盤の佳作。ルディ・バン・ゲルダーの録音も秀逸。全収録時間30分ちょっとという小品ですが、高テクニックで吹きまくるウッズのアドリブがてんこ盛りなので、そんなに収録時間が短いとは感じません。ウッズを愛でるアルバムとしては、ちょうど良い収録時間かもしれませんね(笑)。

 
 

大震災から2年11ヶ月。決して忘れない。まだ2年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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