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2014年3月 7日 (金曜日)

「プラグド・ニッケル」総括

Miles Davis『The Complete Live at the Plugged Nickel 1965』(写真左)。マイルス・デイヴィスの1960年代黄金のクインテットの傑作との誉れ高いライブ音源である。今回、久し振りに、このライブ・ボックス盤計8枚を、8日かけて一気に聴き通した。一気に聴き通したところで、このマイルスの「プラグド・ニッケル」を総括しておこうと思った。

8枚のCDに収録された音源は以下の通り。1965年12月22〜23日にかけて、米国シカゴのクラブ「プラグド・ニッケル」で行われた、7回のステージについて、それぞれのステージをCD1枚ずつに収録している。

Disc 1 : First Set December 22, 1965
Disc 2-a : Second Set December 22, 1965
Disc 2-b : Second Set December 22, 1965
Disc 3 : Third Set December 22, 1965
Disc 4 : First Set December 23, 1965
Disc 5 : Second Set December 23, 1965
Disc 6 : Third Set December 23, 1965
Disc 7 : Fourth Set December 23, 1965

しかし、よくぞ、これだけ完全収録を目標に、CD8枚という超弩級のボリュームのボックス盤をリリースしてくれたと思う。素晴らしい成果である。ほとんど編集のハサミを入れていないのも凄い。心ゆくまで、1965年のプラグド・ニッケルのマイルス・クインテットを追体験出来る。

1965年の時点で、ジャズの最高地点に君臨し、モード・ジャズの傑作中の傑作と誉れの高い、この「プラグド・ニッケル」ですが、このCD8枚のボリュームの全ての演奏が最高であるとは限りません。そこはジャズという即興演奏を旨とする音楽ジャンルの特性が出ています。

ジャズって、やり直しのきかない一発勝負な音楽なので、たまにはスベったり、たまにはコケたりします。でも、それが良い。逆に、スベったり、コケたりした分、傑作と呼ばれるに足る素晴らしい演奏があるのです。そこがジャズのライブの良いところ。

この「プラグド・ニッケル」も、Disc 1〜3までは、マイルスは好調では無い。ショーターの自伝によると、この「プラグド・ニッケル」の演奏では、マイルスは唇を切っていて、調子はイマイチだったらしい。なるほどな、と思う。確かに、Disc 1〜3の12月22日の初日のマイルスは、息が抜けたり、珍しくミストーンが多く、決して好調とは言い難い。

逆に、Disc 4以降のマイルスは、徐々に調子を上げていく。絶好調では無いにしろ、好調ではある。それがCDを聴き重ねて行く毎にそれが良く判る。好調に転じたマイルスは凄い。確かに、この時代のマイルスは無敵であり、帝王と呼ばれるに相応しい。
 

Miles_plugged_nickel

 
マイルス以外の、テナーのショーター、ピアノのハービー、ベースのロン、ドラムのトニー、この4人はどうかというと、この4人は、しっかりと「尖っている」。マイルスがステージからいなくなると、ショーターをフロントとしたカルテットは、突如として、思いっきりフリーな演奏に早変わり。

フリーというか、フリー一歩手前の、ほとんどフリーなモード・ジャズになる。1965年当時、やはり、ジャズの最先端のトレンドはフリー・ジャズやったんやな、ショーターもハービーもロンもトニーも好きなんやなと思わず感心する。

でも、マイルスが戻ってくると、殊勝にもそそくさと、マイルス好みの適度に自由度の高い、クールでヒップなモード・ジャズに立ち戻る。さすがマイルス、さすが帝王である。このマイルスが戻った時の、バックのカルテットの取り乱し方が実に微笑ましい。やっぱり、リーダーが怖いんやな〜(笑)。

マイルスのバックでの、テナーのショーター、ピアノのハービー、ベースのロン、ドラムのトニーのカルテットの演奏は凄い。というか、モード・ジャズの最高峰の演奏だろう。恐らく、この時のモード・ジャズな演奏は、今のジャズ・シーンにおいて、同様の演奏を展開出来るカルテットは無いだろう。それほどまでに、アーティスティックでクールでヒップなモード・ジャズである。

ということで、このボックス盤、CD1から順番に聴くと、CD2辺りで飽きてしまいます。やはり、CD3までのマイルスは不調。このボックス盤の真価を聴き取るには、CD4以降を真っ先に聴くことをお勧めします。それからCD1〜3に戻って聴くのが良いかと思います。

CD4〜7は、モード・ジャズのライブ音源の最高傑作と言って良いでしょう。CD1〜3は、マイルスの1960年代黄金のクインテットも「人の子」。リーダーのマイルスと不調がバンド全体に伝わって、ちょっとレベルは落ちます。それでも、他のモード・ジャズと聴き比べると、やっぱりマイルス・クインテットって頭一つ抜きん出ているんですけどね。

モード・ジャズを聴き取れる様になった、ジャズ者の方々は、一度は聴いてみる価値のある、傑作ライブ盤であることは確か。ちょっと値は張るけど、それだけの価値はあると思います。

 
 

大震災から2年11ヶ月。決して忘れない。まだ2年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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