ベニー・ゴルソンの印象が変わる
3月4日のブログ(左をクリック)で、「ベニー・ゴルソンを見直した」として、1962年12月の録音の『Free』をご紹介した。パーソネルは、Benny Golson (ts), Tommy Flanagan (p), Ron Carter (b), Art Taylor (ds)。フラナガン、ロン、テイラーの名盤請負リズム・セクションをバックにして、素晴らしいゴルソンのブロウだった。
その『Free』をご紹介したら、我がバーチャル音楽喫茶『松和』のお客さんから、このアルバムのゴルソンも良いよ、と教えて貰ったアルバムが、Benny Golson『Turning Point』(写真左)。おお、そうか、と感心しきり。さっそく、聴き直して見た。
1962年10月の30〜31日と11月1日の3日に渡るセッションからのスタジオ録音盤。ちなみにパーソネルは、Benny Golson (ts), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。
『Free』でのピアノが「名盤請負人」のトミー・フラナガンなら、こちらの『Turning Point』でのピアノは、マイルスをして「彼は演奏に火をつけるマッチの様な存在」と言わしめた、ハッピー・スインガーのウィントン・ケリー。
そして、ベースは「ハードバップのファースト・コール・ベーシスト」と謳われたポール・チェンバース。加えて、ドラムは、当時、マイルス・バンドで活躍した、柔軟で幅のあるドラミングが個性のジミー・コブ。このケリー、チェンバース、コブの硬軟自在なリズム・セクションをバックにした、ゴルソンのご機嫌なブロウが聴きもの。
『Free』と比べて、ハードバップでハッピーなスイング感が心地良く、演奏全体の雰囲気が明るく、適度に躍動的。確かに、この『Turning Point』のゴルソンも良い、というか、このアルバムでのゴルソンは、ウネウネ・テナーのゴルソンでは無い。思いっきりハードバップした、力強く小粋なブロウを展開しまくる、硬派なガッツリ・テナーである。
スロー・バラードの、ゴルソン・オリジナルの「Dear Kathy」と、超ジャズ・スタンダードの「Stella By Starlight」が突出して良い出来だ。このバラード・プレイを聴くと、このテナー奏者がベニー・ゴルソンなんて、誰も思わないのでは無いか。
といって、ちょっとウネウネした、ちょっと息が漏れる様な、ゴルソン独特のブロウの特徴を聴くことは出来るので、もしやゴルソンのテナーでは、と思っても、ゴルソンのテナーだとは言い切れ無いほど、このゴルソン・オリジナルの「Dear Kathy」と、超ジャズ・スタンダードの「Stella By Starlight」のバラード・プレイは力強く、躍動的。
確かに、この『Turning Point』でのゴルソンは良い。加えて、ケリー、チェンバース、コブのリズム・セクションが、硬軟自在でハードバップな雰囲気を色濃く漂わせ、演奏全体の印象として、ハードバップの最高峰の演奏のひとつ、と思わず感嘆してしまう。
良いアルバムです。ゴルソンのテナーを愛でるのに、『Free』も良いが、この『Turning Point』は、『Free』の更に一枚上を行く、上々の出来の秀作です。1962年のベニー・ゴルソンは隅に置けませんね。
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気に入っていただけたようで結構でした。
1962年のKelly Trioは、6月にWes+GriffinとFULL HOUSE、そしてこのTURNING POINT、物凄い勢いだったのがわかります。なのに録音が少ないんですな。たぶん、Milesバンド在籍中でギャラが高騰したからじゃないか、とみてるんですが・・・。
その肝心のMilesバンドも1962年は録音ゼロ。ブートすらない。どういうこと?1962年のKellyをもっと聴きたいんですけどねえ。
投稿: orubhatra | 2014年3月22日 (土曜日) 23時37分