ザ・スクエア初期の個性を愛でる 『Midnight Lover』
昨日、The Square(ザ・スクエア)のデビュー盤『Lucky Summer Lady』を採り上げたので、その続きで、今日は、ザ・スクエアのセカンド盤『Midnight Lover』(写真左)である。ファースト盤『Lucky Summer Lady』からわずか3ヶ月後のリリースである。
あのデビュー盤の衝撃的なジャケ写とは打って変わって、大人しいジャケットである(笑)。1978年12月のリリース。当時、流行のダイレクト・カッティング盤だった様な気がする。演奏をしながら、ダイレクトにLP原盤をカッティングする訳だから、演奏は勿論「一発録り」である。編集なんてとんでもない。
そんなダイレクト・カッティングが故に、LPとしては片面15分程度の収録時間で、トータルでも30分程度である。このアルバムは自分で買ったわけでは無く、貸レコード屋で借りたので、そんなに大きな不満は持たなかったが、トータルで30分程度は、LP時代としても短すぎる。短すぎるから内容は伴わないのか、と言えば、そうでは無いのが音楽の面白いところ。
スクエアの特徴は、余裕のあるテンポでの余裕のある展開。ギンギンにテンションを張ること無く、ゆったり余裕をもって、ちょっと硬派ではあるが、基本的にはソフト&メロウなフュージョン・ジャズが身上。ジャジーな雰囲気は希薄で、どちらかと言えば、ロックな雰囲気が強い。では、ロック・インストかと問われれば「否」と答える。
ジャジーでは無いが、コッテコテのフュージョン・ジャズである。ジャズの基本要素であるファンクネスが希薄で、逆に、ファンクネスを排除しているようにも聴こえるリズム・セクション。かといって、デジタルチックでは無い。逆に、実に人間っぽいリズム&ビート。聴いていて気持ち良い、心地良いリズム&ビートが個性である。
そんなリズム&ビートに乗って、サックスとエレギが良い音を立てて、メロディーを奏でまくる。そして、このアルバムの特徴は、キーボーとの音が良いこと。キーボードのソロが秀逸で、テクニックを含め、キーボード好きには堪らない響き。
アルバム全体の雰囲気は、落ち着いた大人のフュージョン・ジャズって感じが中心。そんな中に、アレンジ的にユーモアに富んだ展開がスパイス的に散りばめられている。大人のフュージョンとは言え、一筋縄ではいかない、そんな隅に置けないスクエア独特の個性が、このアルバムには満載。
全体の収録時間が短いからと言って、敬遠するなかれ。スクエア初期の個性を愛でる上で、最適なアルバムの一枚ではないかと思っています。録音も良く、フュージョン・ジャズの佳作としてもお勧めです。
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