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2014年2月13日 (木曜日)

突然、ラテン・ロックに立ち戻る

今の耳で聴けば、『不死蝶』というアルバム全体に、クロスオーバー・ジャズ、フュージョン・ジャズという雰囲気が漂っている。サンタナってロック・バンドだから、ロックからアプローチとして解釈するなら、クロスオーバー・ロック、フュージョン・ロックな雰囲気が濃厚である。

そんな、エレクトリック・クロスオーバー・ロック(ジャズ)の傑作であった『不死蝶』。しかし、セールス的にはイマイチで、米国・英国共にチャートのトップ10に入らなかった。僕は好きでしたけどね、このアルバム。しかし、やはり、セールス的に振るわないのは問題だったんだろうなあ。

サンタナの次のアルバムは、あっと驚く、熱いラテン・ロックに立ち戻り、当時の流行だったソフト&メロウなフュージョン・ミュージックを踏襲し、ファンクネス漂うR&B的なダンサフルな雰囲気を漂わせ、ラテンでグルービーでポップ、ソウルフルでファンキーな、とにかくごった煮なロック・アルバムであった。1976年の春のことである。そのアルバムとは、SANTANA『Amigos(アミーゴ)』(写真)。

スピリチュアルなインスト・ロックや、エレクトリック・クロスオーバー・ロックなど、ジャズへの傾倒、ジャズとの融合を一旦横に置いて、サンタナはラテン・ロックに立ち戻り、ファンキーではあるがジャズとは対極にある、ソウル・ミュージック、R&B、サルサな要素をごった煮にして、思いっきりポップなロックをいきなり展開した。

ジャケットがそんな「ごった煮」な雰囲気を如実に表現している。このジャケット・デザインは横尾忠則の作で、このジャケットの雰囲気そのままに、ポップでラテンでダンサフルでファンキーな音世界が展開されている。
 

Santana_amigos

 
とにかく、冒頭の「Dance Sister Dance(Baila Mi Hemana)」に仰け反る(笑)。思いっきりポップな、良い意味でとことん俗っぽいラテン・ロック。しかし、これはこれで「悪く無い」。これはこれで「楽しい」。思わず、あのラテンでポップで良い意味でとことん俗っぽいサンタナが帰ってきた、とニンマリしつつ、遂には思わず高笑いしてしまう。

このアルバムには、ラテンでポップで良い意味でとことん俗っぽいサンタナがギッシリと詰まっている。これはこれで、サンタナというバンドの個性の一面なんだよな。確かに、ラテン・ロックをやらせてサンタナの右にでる者はいない。それだけ、サンタナのラテン・ロックは思いっきり「ラテン」している(笑)。

そして、このアルバムのラス前、あの、これまた良い意味で思いっきりベタなフュージョン・インストの「 Europa (Earth's Cry, Heaven's Smile) 」、邦題にした方が馴染みがあるであろう「哀愁のヨーロッパ」が入っている。しかし、なんてベタな邦題だろう(笑)。

このインスト・ナンバー「哀愁のヨーロッパ」は日本でもヒットした。有線を通じて、場末の喫茶店でもこのインスト・ナンバーが流れていたし、街の商店街でも流れていたなあ。スーパー・マーケットでも流れていたし、パチンコ屋でも流れていた(笑)。ほんと、哀愁を帯びたマイナー調なバラード・インストに日本人は弱いよなあ。

サンタナとしては、これはこれで「あり」の『アミーゴ』である。1976年、米国ビルボードで10位とセールス的にも回復した。ホッと一息のサンタナであった。

 
 

大震災から2年11ヶ月。決して忘れない。まだ2年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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