カークを「あっさり」と楽しむ
実質的なデビュー作だった『Introducing Roland Kirk』。それから、約1年後、ローランド・カークは、プレスティッジ・レーベルにアルバムを残す。そのアルバムとは、Roland Kirk『Kirk's Work』(写真左)。
1961年7月の録音になる。ちなみにパーソネルは、Roland Kirk (ts, manzello, stritch, fl, siren), Jack McDuff (org), Joe Benjamin (b), Art Taylor (ds) 。
さすがはプレスティッジ。リズム・セクションになかなかのメンバーを持ってきています。ベースがジョー・ベンジャミン、ドラムがアート・テイラー。良いですね。
そして、今回のカークのお相手は、オルガンのジャック・マクダフ。ジャジーで、こってこてファンキーなマクダフのオルガンとの共演が、この『Kirk's Work』の肝になります。
このアルバムでのローランド・カークは、極力、普通のジャズメンの様に吹こう、と心がけているように思える。複数のリード楽器を一気に加えて、思いっきり個性的なユニゾン&ハーモニーを奏でまくる、ということ無しに、控えめに思いっきり個性的なユニゾン&ハーモニーを奏でながらも、普通のジャズメンの様にリード楽器を吹き上げている。
この普通に吹くリード楽器だからこそ、カークのリード楽器の音色やフレーズの個性が良く判る。カークのリード楽器の音色やフレーズが、とてもブルージーなのが良く判る。ブルージーだからこそ、マクダフのファンキーなオルガンにぴったし合うのだ。
カークのブロウは軽めのブルージ−。そこに、ファンクネスをグッと押さえた、ちょっとあっさり目のマクダフのオルガンが寄り添う。これが「あっさりしていて」とても良い雰囲気なのだ。とにかく、聴いていて、ブルージーでファンキーなんだけど、耳にもたれない。
カークのブロウは、テクニックは確かではあるが、テクニックでは勝負しない、音色やフレーズの雰囲気や個性を全面に押し出してくる、雰囲気で聴かせるタイプ。バリバリに吹きまくらず、ファンクネスを押し出し過ぎず、趣味の良い、あっさりとしたブロウが、このアルバムでのカークの特色。
ところどころにラテンな響きもあり、ソウルフルな響きもあり、聴き易い聴き疲れない、カークのアルバムの中では、なかなかに取っ付き易いアルバムです。カークをあっさりと楽しむことのできる佳作。
カークのリード楽器の音色とフレーズを確かめるのに「この一枚」です。アルバム全体で33分と、ちょっと収録時間が短いのが「玉に瑕」でしょうか。でも、なかなか良い雰囲気のアルバムです。僕は結構気に入っています。
大震災から2年11ヶ月。決して忘れない。まだ2年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« 突然、ラテン・ロックに立ち戻る | トップページ | クラプトンの「大人のロック」 »
コメント