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2014年2月 3日 (月曜日)

PMGのスムース・ジャズ化

二十歳の頃、『Pat Metheny Group』(旧邦題:想い出のサン・ロレンツオ)を聴いて以来、僕は、Pat Metheny Group(以降PMGと略す)のマニアである。今では、エレクトリック・ジャズの現役・老舗バンドのひとつ。

PMGのどのアルバムもお気に入りではあるが、この1995年リリースの『We Live Here』(写真左)と、その前作、1989年の『Letter from Home』だけは、どうも、あまりCDプレイヤーのトレイに載ることが少ない。

『Letter from Home』について語った時に書いたのだが(2014年1月23日のブログ参照・左をクリック)、何かしながらのBGMには良いんだが、しっかりと聴き込むと、どうしても違和感が付きまとう。アルバムの出来は素晴らしく良い。それでも、何か違う。僕にとって、長年、そんな微妙な感覚が付きまとう『We Live Here』である。

原因は、リズム&ビートにあると睨んでいる。『Letter from Home』から『We Live Here』にかけてのPMGのリズム&ビートは、非常に人工的。というか、デジタルチック。リズム・ボックスの様な、シーケンサーの様な、スチャスチャスチャと、一定のリズム&ビートを刻み続ける、人間味の薄いPC的なリズム&ビート。

これでは誰が叩いても、誰がベースを弾いても同じやないですか。リズム&ビートに個性と人間味が薄れて、パット・メセニー/グループの演奏というよりは、単調な人間味の薄いPC的なリズム&ビートに乗って、パット・メセニーのギターとライル・メイズのキーボードだけが目立つ、スムース・ジャズの様な演奏になっている。
 

We_live_here

 
とにかく聴き心地の良い演奏である。僕は、この『We Live Here』については、PMGのスムース・ジャズ化と評している。もはや、リズム&ビートを担うドラムとベースは誰でも良い感じ。リズム・ループらしいが、僕はこの「リズム・ループ」が好きでは無い。聴いていて変化が少なくて面白く無い。でも、聴き易さは抜群。グループ・サウンズの判り易さは満点。

このPMGのスムース・ジャズ化を進化と聴くか、停滞と聴くか、でこのアルバムの評価は大きく変わる。1987年の傑作『Still Life (Talking) 』で獲得した、アフリカン・ネイティブな、フォーキーでアーシーな響きを織り交ぜた、ワールド・ミュージック的な音世界を大胆に加えた、広大で抒情的な音世界はどこへやら、とっても聴き易い、アーバンなPMGがこの『We Live Here』に詰まっている。

誤解されては困るんだが、アルバムの出来は凄く良いんですよ。確かに、このアルバムは大ヒットしたし、新しいファン層を獲得したし、1996年には、グラミー賞ベスト・コンテンポラリー・ジャズ・アルバムを受賞している。でもなあ、このアルバムは、僕のPMGのアルバムの中では、お気に入りの度合いは、結構、低いんですよね〜。

このアルバムを聴いた時、実は「PMGは終わったな」と思った。リズム・ループを採用して、音の要素・音の作りとして、ジャズ・バンドがリズム&ビートを二の次にするなんてあり得ない。デジタル録音とMTV中心の1980年代の影響が尾を引いた、聴き心地優先のスムース・ジャズ化はどうしても好きになれなかった。

しかし、である。さすがはPMGであった。次作『Quartet』では、いきなり軌道修正し、硬派なコンテンポラリー・ジャズへと返り咲くのであった。

 
 

大震災から2年10ヶ月。決して忘れない。まだ2年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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