ProjeKct TwoからFourの総括
1月7日のブログで、「ロックで即興演奏はあるのか」と題して、プロジェクツ(ProjeKcts)シリーズの『ProjeKct One』について語った。プロジェクツ(ProjeKcts)は、1996年のキング・クリムゾン内部分裂により生まれた実験バンドの総称。One, Two, Three, Four, X, Six と6つの組合せがある。
そして、ProjeKct OneからFourを束ねて、King Crimson『The Projekcts』と題したボックス盤としてリリースされている。この『The Projekcts』というボックス盤の演奏が聴いていてとても面白い。ロックでの即興演奏の素晴らしさを体験できるのと、このプロジェクツ(ProjeKcts)で、当時のKing Crimsonのコア・メンバー達が、何をしたかったのかが、おぼろげながら判る。
『ProjeKct One』については、1月7日のブログで述べたように、ビル・ブルーフォードのドラミングと暴力的であり、メタリックであり、アブストラクトであり、フリーであり、モーダルな、ロバート・フィリップ翁のエレギのお陰で、殆どエレクトリック・ジャズな響きが特徴であった。
では、続く『ProjeKct Two』(写真左)はどうか。このアルバムは、リズム&ビートとアドリブ・フレーズが、基本的に「キング・クリムゾン」。クリムゾン・ビートとでも形容できる、どこから聴いても「キング・クリムゾン」なリズム&ビートが実に「キャッチャー」である。そして、そのクリムゾン・ビートの上に乗って展開される「クリムゾン・フレーズ」が、これまた格好良い。クリムゾン者には堪らない実験バンドのパフォーマンスである。
『ProjeKct Three』(写真真ん中)はどうか。このアルバムが一番、即興演奏をベースとするロックとして、内容の濃いパフォーマンスだと僕は評価している。リズム&ビートが個性的。キング・クリムゾン臭さが希薄で、現代の最先端な響きを宿す、自由度の高い、思い切りメリハリの効いたリズム&ビートが個性的。その上で、キング・クリムゾン臭さの無い、即興性の高いギターフレーズが展開される。
そして、『ProjeKct Four』(写真右)はどうか。リズム&ビートが一番重量感があるが、1980年代後半から1990年代前半に流行った、メタリックなリズム&ビートであり、聴き始めは耳に馴染むが、そのうち、手の内が読めてちょっと退屈になる。その上で展開されるギターフレーズは、キング・クリムゾンっぽい。流行のリズム&ビートの上の「クリムゾン・フレーズ」という感じ。流行のリズム&ビートを採用した分、今の耳で聴くと、ProjeKct OneからFourの中で、一番、古さを感じてしまう。
ということで、「ProjeKct TwoからFour」の総括としては、僕は『ProjeKct Three』がイチ押し。ジャジーな雰囲気は希薄で、エレクトリック・ジャズな雰囲気も希薄。逆に、即興演奏をベースとするロックな雰囲気が満載で、即興演奏なロックとしては、最高レベルの演奏内容ではないかと思う。音の広がりも幻想的かつスペイシー、リズム&ビート、ギターの即興フレーズ共に「個性的」。一番、クリムゾンらしさが希薄な『ProjeKct Three』は実に魅力的な盤だと思う。
21世紀なって振り返ると、キング・クリムゾンほど、即興演奏を売りにしたロック・バンドは無い。1970年代以降、21世紀なるまで生き残ったロック・バンドの中では「唯一」と言って良い。ボックス盤『The Projekcts』は楽しめます。
大震災から2年9ヶ月。決して忘れない。まだ2年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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