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2014年1月25日 (土曜日)

真冬の季節のボサノバ・ジャズ

夏はボサノバ・ジャズなんですが、真冬の季節のボサノバ・ジャズも、ちょっと「オツ」なものです。週末の、暖かくした部屋の中で、バーボン片手に聴くボサノバ・ジャズはなかなかの雰囲気。特に女性ボーカルが入れば言うこと無し。

そんなニーズにぴったりのアルバムが、Diana Krall『Quiet Nights』(写真左)。2009年3月のリリース。ダイアナ・クラール自身としては、出産休暇明け、前作からは2年半ぶりの休養明けの復帰作。当時、調子は如何と思っていましたが、しっかり戻ってきてくれました。

このアルバムでは、異色の「ボサノバ集」で攻めてきたダイアナ・クラール。プロデュースに巨匠トミー・リピューマ、エンジニアにはアル・シュミット、アレンジにクラウス・オガーマン。ほっほ〜、錚々たる面々です。

そして、控えるバックは、アンソニー・ウィルソン(g)、ジョン・クレイトン(b)、ジェフ・ハミルトン(ds)そしてオーケストラ。いやいや、2年半ぶりのカムバック。バックを固める面々を見て渡しても、その気合いの入り方が窺えます。

ボサノバのボーカルって難しいんだよな。囁くように、ゆったりと唄わなければならない。しかも、大向こうを張ったダイナミックな抑揚は無い。初夏のそよ風のように、爽やかで微妙な抑揚。これまた、唄いこなすには難しい。テンポも維持するには難しい速度。とにかく、ボサノバのボーカルは難度が高い。ボーカリストのテクニックと資質が問われる、というか、ボーカリストにとって、実にやっかいな代物である。
 

Diana_quiet_night

 
が、さすがはダイアナ・クラール。実に素晴らしい歌唱である。いやいや、ボサノバ&バラードだけで、CD1枚分を飽きさせもせず、一気に聴かせてしまうなんて、なんて素晴らしいボーカルだろう。週末の暖かくした部屋の中で、バーボン片手に聴きたいなあ〜。ゆったりしていて癒されます。

ボサノバ・ジャズには、なぜかオーケストラはつきもの。オーケストラの存在が、このアルバムの好みを分けるかもしれない。日本では、ボサノバ・ジャズの伴奏はシンプルであるべき、という傾向がありますからねえ。でも、少なくとも、僕の耳には「トゥーマッチ」では無いです。奥ゆかしくて心地良いオーケストラの響き。良い感じだ。さすが、クラウス・オガーマン。

純ジャズの雰囲気はちょっと少ないかもしれないけれど、今風のトレンドに乗った上質のジャズ・ボーカルが聴けます。ダイアナ・クラールのボーカルは、もう完全無欠のジャズ・ボーカルです。

オーケストラが入ったゴージャスなボサノバ・ジャズ。これはジャズじゃ無い、なんて固いこと言わないで、時には、イージーリスニングなジャズも良いのでは。でも、単なるイージーリスニングなジャズなんだろう、なんて先入観は禁物。実は、そこはかとなく、硬派な純ジャズ風な演奏も入っていて、うっかりすると「ガツン」とやられますぜ(笑)。

 
 

大震災から2年10ヶ月。決して忘れない。まだ2年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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