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2014年1月 8日 (水曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・24

1992年のリリース。当時、予算が無くて買いそびれ、そのうちと思っていたら廃盤になって、あららとガッカリしていたら、昨年、中古盤だけど格安で手に入れた。ふふふっ、だからジャズのCDコレクションは止められない(笑)。

そのアルバムとは『GRP All-Star Big Band』(写真左)。1993年1月31日に東京・五反田のゆうぽうとで収録されたライブを納めたアルバムである。GRPレコードの契約ジャズメンがズラリと顔を並べた、メンバーの名前を見れば、今では夢のようなビッグバンドである。

GRPといえば、フュージョン・ジャズ、コンテンポラリー・ジャズがメインのジャズ・レーベルでありながら、このビッグバンドの企画は意外だった。メンバーの中で、有名どころをちょっと並べてみる。

Randy Brecker (tp), Eric Marienthal (as), Bob Mintzer (ts), Tom Scott (bs), Dave Grusin, David Benoit, Kenny Kirkland, Chick Corea, Ramsey Lewis (p), Gary Burton (vib), Alex Acuna (perc), Lee Ritenour (g), John Patitucci (b), Dave Weckl (ds) などなど。

凄いメンバーですね。でも、やっぱり、フュージョン・ジャズ、コンテンポラリー・ジャズがメインのジャズメン達です。よって、このメンバーでビッグバンド・ジャズをやるというのですから、面白そうですよね。リリース当時は興味津々でした(だったら、さっさと買ったら良かったのに・・・笑)。

しかも、このビッグバンド、フュージョン・ジャズ、コンテンポラリー・ジャズがメインのジャズメン達が集まりながら、「ど」が付くほどのジャズ・スタンダードを演奏しまくるのです。どんな「どスタンダード曲」なのか。収録曲を並べてみましょう。
 

Grp_allstar_bb

 
冒頭、ロリンズの手なる「Airegin」、コルトレーンの手なる「Blue Train」、そして、パーカーの狂的アドリブで有名なビ・バップ・ナンバー「Donna Lee」。ハービーのモード・ジャズの傑作「Maiden Voyage」、シルバーの有名ファンキー・チューン「Sister Sadie」、モーガンのジャズ・ロック曲「The Sidewinder」。

続くは、マイルスのハードバップとモードの架け橋的チューン「Seven Steps To Heaven」、ゴルソン・ハーモニー炸裂の「I Remember Clifford」。ショーターのウネウネモーダルな「Footprints」、ラテン・ジャズの定番「Manteca」、モンクの傑作「'Round Midnight」、チックの名曲・定番、哀愁エキゾチックな「Spain」。

どの曲も、他ではビッグバンドで演奏されるのが珍しい、若しくは、ビッグバンドで演奏されることは無い名曲ばかりがズラリと並んでいます。ねっ、凄いでしょう。なかなか隅に置けない選曲をしているんですよ。「ど」が付くほどのジャズ・スタンダード曲ですが、ジャズ・ミュージシャンの手なるスタンダード曲なんですよね。

演奏内容はと言えば、非常に端正でダイナミックで、歌心満点、テクニック最高、凄く安定感があって、スピード感も抜群、絵に描いた様な、「これぞビッグバンド」と言える、素晴らしいものです。音の厚みも適度、あまりに出来が良いので、それが鼻につくかと危惧するけど、実はそうはならない。聴き終えた後の爽快感は格別です。

他ではビッグバンドで演奏されるのが珍しい、若しくは、ビッグバンドで演奏されることは無い、ジャズ・ミュージシャンの手なるスタンダード曲を優れたアレンジで、ビッグバンドする。これは確かに、新鮮な響きがする、それまでに聴いたことのないビッグバンドな音がする。

恐らく、これは選曲とアレンジの勝利だと思います。一期一会な素晴らしい現代のビッグバンドの名演のひとつでしょう。今は廃盤状態。中古で、格安で入手出来てラッキーでした。

 
 

大震災から2年9ヶ月。決して忘れない。まだ2年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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