こんなアルバムあったんや・31
昨年末、思い切って購入した、ハービー・ハンコックの米コロムビア期を網羅した34枚組ボックス『The Complete Columbia Album Collection』。僕にとっての価値は、ハービーのリーダー作のうち、廃盤になって久しい、未入手のアルバムの幾枚かが、このボックス盤に入っているということ。
その廃盤になって久しい、未入手のアルバムの一枚が、これ。Herbie Hancock & Foday Musa Suso『Village Life』(写真左)。1984年、信濃町のCBSソニースタジオでの録音。1984年と言えば、フュージョン・ジャズは衰退し、純ジャズ復古の動きは加速されつつあったが発展途上。ジャズとしても、実に中途半端な時代だった。
実は、僕はこのアルバムを聴いたことが無かった。ハービーのディスコグラフィーには、必ず挙がるアルバムなので、その存在やアルバム・ジャケットのイメージは知ってはいたが、聴いたことが全く無い。今回、34枚組ボックス『The Complete Columbia Album Collection』に同梱されていたので、このアルバム『Village Life』はお目当ての一枚だった。
ハービー・ハンコックは、エレクトリック・ シンセ YAMAHA DX-7 とドラム・マシーン RX-11を担当。1980年代のデジタル・サウンドである。
そして、このアルバムの目玉ミュージシャンは、Foday Musa Suso。片仮名表記にすると「フォデイ・ムサ・スソ」となる。ここでは以降「スソ」と呼ばせていただく。このスソは、アフリカの弦楽器「kora(コラ)」と「talking drum(トーキング・ドラム)」の弾き手。歌もこなす。
このアルバム、ハービーの演奏する1980年代の最先端のデジタル楽器の音と、スソの演奏するアフリカのネイティブな生楽器の音とがデュオするとどんな音になるのか、興味津々である。
で、これが実にマッチしているんですよね。いや〜ビックリしました。というか、ハービーがエレクトリック・ シンセ YAMAHA DX-7を駆使して、スソのアフリカン・ネイティブな生楽器にマッチする音を創り出していると表現した方が良いかもしれない。
とにかく、1980年代の最先端のデジタル楽器の音とアフリカのネイティブな生楽器の音、意外と相性が良い。
ゆったりとしみじみと、印象的で繊細なフレーズを、1980年代の最先端のデジタル楽器の音とアフリカのネイティブな生楽器の音がコラボし、紡ぎ上げていく。爽快感、透明感抜群。心が洗われるような、心に染み入る暖かみのある、デジタルとアナログのデュエットである。
さて、この演奏がジャズかどうか、という議論が沸き上がりそうなんだが、そんな議論は、このアルバムの内容の前では「野暮」というものだろう。このデュオ演奏の根底に流れるリズム&ビートは自然なもの。一部、ジャジーな部分もあるが、このアルバム全体の音の雰囲気は、ワールド・ミュージックと評して良いだろう。
まあ、どのジャンルの音なのかなんていうのは、この際、どうでも良いこと。このアルバムは、1980年代の最先端のデジタル楽器の音とアフリカのネイティブな生楽器の音がコラボし、紡ぎ上げた、一期一会な響きに満ちている。このお目当ての一枚『Village Life』、手に入れて良かった。
いやはや、思わず「こんなアルバムあったんや」と叫びたくなるアルバムです。
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